退職代行を使ったことは転職先にバレる?
「バレる」を分解すると、答えが出る
退職代行を使うか迷っている人が最後に引っかかるのが、この一点です。
ただ「バレる」という言葉のままだと考えが進みません。分解すると3つになります。
- 入社手続きで出す書類に、退職の伝え方が記録されるのか
- 転職先が前職に問い合わせて聞き出すことがあるのか
- 人づてに伝わるのか
1つずつ潰していきます。
入社手続きの書類に何が書かれているか
転職先に提出する書類は決まっています。それぞれ何が載っているかを並べると、こうなります。
| 書類 | 前職の社名 | 退職年月日 | 退職理由 | 退職の伝え方 |
|---|---|---|---|---|
| 雇用保険被保険者証 | 載る | 載る | 載らない | 載らない |
| 源泉徴収票 | 載る | — | 載らない | 載らない |
| 年金手帳・基礎年金番号 | 載らない | 載らない | 載らない | 載らない |
| 離職票 | (転職先には提出しない) | — | — | — |
給与等の支払をする者は、源泉徴収票を作成して受給者に交付することが所得税法で定められています。記載されるのは支払者の名称と支払金額で、辞め方は関係ありません。
退職理由(自己都合・会社都合)が記載されるのは離職票です。ただし離職票は本人に交付され、失業給付の手続きでハローワークに提出する書類です。転職先に出すものではありません。
つまり、退職の伝え方が記録された書類は存在しません。 自分で伝えても代行に依頼しても、提出書類は同一です。
前職への問い合わせについて
2つ目の経路です。採用側が前職に照会する「前職調査」は、本人の同意なく行うと個人情報保護法上の問題が生じるため、実務ではほとんど行われません。この点は退職代行のその後|転職活動への影響で詳しく整理しています。
前の会社が転職先に伝えることはあるか
「腹いせに次の職場へ言われるのでは」という不安を持つ人がいます。
個人情報を本人の同意なく第三者に提供することは、個人情報保護法で原則として制限されています。退職者の退職の経緯を、無関係な会社へ伝える行為はこれに触れます。
そもそも会社側に動機がありません。退職者について外部に語ることは、会社にとってリスクにしかならないためです。
依頼するときに渡す個人情報
見落とされがちですが、退職代行を使うと、業者に対して勤務先・氏名・雇用形態・連絡先といった情報を渡すことになります。「バレる」を心配するなら、こちらのほうが現実的な論点です。
ここでも運営元による差があります。弁護士には、職務上知り得た秘密を保持する義務が弁護士法で定められています。 民間業者には、この法律上の守秘義務がありません。契約書やプライバシーポリシーの範囲での約束になります。
依頼前に、取得した情報の利用目的と保存期間が明記されているかを確認してください。ここが曖昧な業者は、料金の安さに関係なく避けたほうが無難です。
唯一残るのは「人づて」
3つ目です。ここだけは書類の話では消せません。
- 同業の狭い業界で、前職と転職先に接点がある
- 前職の同僚とSNSで繋がっている
- 自分で話してしまう
3つ目が意外と多いようです。面接で聞かれてもいないのに説明したり、入社後の雑談で漏らしたりするケースです。話す必要がない場面では話さない、というだけで防げます。
業界が狭い場合は、この可能性をゼロにはできません。ただしその場合に伝わるのは「あの人は退職代行を使ったらしい」という情報であって、書類上の不利益ではありません。
実際に不利に働くのは別の要素
ここが本題かもしれません。採用側が職務経歴から読み取るのは、退職の手段ではなく在籍期間です。
短期離職のほうが影響が大きい。 1年未満での退職が続いていれば、その事実は書類に残ります。退職代行を使ったかどうかは残りません。どちらが選考に効くかは明らかです。
空白期間の説明。 離職から次の応募までが長い場合、何をしていたかは聞かれます。ここは準備しておく価値があります。
説明の一貫性。 職務経歴書の日付と面接での説明が食い違うと、そこは掘られます。退職代行の利用を隠すこと自体は問題ありませんが、辻褄の合わない説明を作るとかえって不利になります。
それでも気になる場合の考え方
退職代行を使うかどうかで迷っている時点で、いまの職場を辞めること自体は決まっているはずです。であれば、判断材料は「バレるか」ではなく「自力で伝えられるか」になります。
自力で伝えられるなら、費用をかける必要はありません。3回申し出て押し戻されている、上司と話すこと自体が難しい、といった状況であれば、時間が延びるコストのほうが代行費用より大きくなります。
なお、有給を残しているなら、代行の運営元によって交渉できるかどうかが変わります。この違いは退職代行はLINEで無料相談できる窓口まとめにまとめています。
まとめ
- 提出書類のどこにも、退職の伝え方は記録されない
- 退職理由が載る離職票は、そもそも転職先に提出しない
- 消せないのは人づての経路だけ。話さなければ大半は防げる
- 選考で実際に効くのは在籍期間と説明の一貫性であって、退職の手段ではない