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高年齢求職者給付金は一時金で出る|65歳以上の失業給付

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この記事の見出し(10)
  1. 65歳が境になる
  2. 要件は6か月。基本手当の半分
  3. 額は50日分か30日分
  4. 認定は1回で終わる
  5. 受け取る前に働き始めても消えない
  6. 差し押さえられない
  7. 受け取る前に亡くなったとき
  8. 自己都合だと給付制限がある
  9. 65歳になる前後で辞める日を選ぶとき
  10. まとめ

65歳を過ぎてから辞めると、受け取るものの名前が変わります。

基本手当(いわゆる失業保険)ではなく、高年齢求職者給付金になります。毎月の振り込みではなく、一度きりの一時金です。

65歳が境になる

雇用保険法37条の2がこう定めています。

六十五歳以上の被保険者(第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者及び第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者を除く。以下「高年齢被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、高年齢求職者給付金を支給する。

年齢の上限はありません。70歳でも75歳でも、雇用保険に入って働いていれば高年齢被保険者です。2017年の改正で65歳以上も加入の対象になったので、それ以降に働き始めた人にも資格があります。

同じ条の2項が、基本手当の規定を外しています。

高年齢被保険者に関しては、前節(第十四条を除く。)、次節及び第四節の規定は、適用しない。

前節が基本手当の規定です。除かれていないのは14条(被保険者期間の数え方)だけ。だから「基本手当と高年齢求職者給付金のどちらを選ぶか」という選択はありません。65歳以上で辞めれば、自動的にこちらになります。

65歳を境に基本手当ではなく高年齢求職者給付金が適用されることを、要件が短い(6か月)こと、一時金でまとまって支払われること(50日分か30日分)、認定が1回で済むこと、差し押さえられないことで保護されることを形・矢印・囲み・アイコンだけで表したイメージ図です

要件は6か月。基本手当の半分

高年齢受給資格は37条の3にあります。離職の日以前1年間に、被保険者期間(雇用保険に入っていた月数)が通算して6か月以上あれば資格が出ます。

基本手当は原則12か月なので、必要な期間が半分です。短く働いて辞めた人でも届きやすい設計になっています。

額は50日分か30日分

37条の4が日数を定めています。基本手当の日額に、次の日数を掛けた額です。

算定基礎期間1年

1年未満

30日分

1年以上

50日分

高年齢求職者給付金の額(雇用保険法)。基本手当と違って一時金で出る

算定基礎期間は雇用保険に入っていた通算の期間です。20年働いていても、1年でも、50日で頭打ちになります。基本手当が最長330日まで伸びるのと比べると、金額の差は大きくなります。

日額そのものの計算は基本手当と同じ規定を使うので、辞める前6か月の賃金から出した賃金日額に、給付率を掛けて求めます。

認定は1回で終わる

基本手当は4週間に1度ハローワークへ行って失業の認定を受けます。一時金にはこれがありません。37条の4第5項がこう定めています。

高年齢求職者給付金の支給を受けようとする高年齢受給資格者は、離職の日の翌日から起算して一年を経過する日までに、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければならない。

行くのは1回です。そのぶん、期限を過ぎると受け取れません。離職の日の翌日から1年が締め切りです。

この1年は延びません。基本手当の受給期間の延長(病気や出産で働けない期間を足す仕組み)は、除かれた前節の中にあります。体調を崩して手続きが遅れると、そのまま権利が消えます。

受け取る前に働き始めても消えない

37条の3第2項に、こういう場合が書かれています。給付金を受け取らないまま就職して、その後また失業したとき、1年の期間内であれば、もとの資格で受け取れます。

先に働き始めても、あわてて請求しなくてよいということです。ただし新しく資格を取り直した場合は、そちらが優先されます。

差し押さえられない

まとまった額が一度に入るので、借入がある人は気にするところです。雇用保険法11条が短く定めています。

失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

高年齢求職者給付金は失業等給付の一つなので、この条が及びます。受け取る権利を担保に入れることも、他人に譲ることもできません。

ただし守られているのは「受け取る権利」です。振り込まれて口座の残高になったあとは、他の預金と区別が付かなくなります。条文が守る範囲はそこまでと読むのが自然です。

65歳になる前後で辞める日を選ぶ場面を分岐するタイムラインで示し、自己都合による給付制限の待機を時計アイコンで表現し、受け取る前に働き始めても給付が消えないことや受け取る前に亡くなった場合の扱いを矢印と象徴的アイコンで表したイメージ図です

受け取る前に亡くなったとき

一時金は請求してから振り込まれるまでに間があります。その途中で本人が亡くなることがあります。雇用保険法10条の3に定めがあります。

失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。

読むところを挙げます。

  1. 請求できるのは「生計を同じくしていた」親族だけです。別居して独立していた子は条文の順位に名前があっても、この要件を満たさなければ請求できません
  2. 婚姻届を出していない事実上の配偶者も入っています。順位は条文の並びのとおりで、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順です
  3. 「自己の名で」とあります。相続として受け取るのではなく、請求する人自身の権利として受け取る形です

同じ条の3項は、同順位の人が複数いるとき、1人の請求で全員分としたものとみなすと定めています。きょうだいで別々に手続きする必要はありません。

自己都合だと給付制限がある

37条の4第6項が、基本手当の規定のうちいくつかを準用しています。その中に33条(給付制限)が入っています。

正当な理由がなく自分から辞めた場合は、こちらでも制限がかかります。 一時金だから関係ない、ということはありません。給付制限の期間そのものは基本手当と同じ考え方で決まります。

自己都合と会社都合の分かれ目は失業保険は自己都合だといつからかにまとめました。

65歳になる前後で辞める日を選ぶとき

64歳で辞めれば基本手当、65歳で辞めれば一時金です。被保険者期間が長い人ほど、基本手当のほうが総額は大きくなります。

ただし基本手当は失業していることが前提で、認定日ごとに求職活動の実績が要ります。一時金は1回で終わるので、すぐ働き始めるつもりの人には手間が少なくて済みます。どちらが得かは、辞めたあとに何をするかで変わります。

年金との関係も見るところがあります。高年齢雇用継続給付金は在職中の給付なので、辞めたあとのこの給付とは別のものです。

まとめ

  • 65歳以上で辞めると、基本手当ではなく高年齢求職者給付金になる。年齢の上限は無い
  • 要件は離職前1年間に被保険者期間が通算6か月。基本手当の半分
  • 額は基本手当の日額 × 50日(1年以上)か30日(1年未満)
  • 認定は1回。期限は離職の翌日から1年で、延長の仕組みは使えない
  • 受け取る権利は差し押さえられない(法11条)
  • 自己都合の給付制限は準用される

期限が1年で延びないところが、いちばん落としやすいところです。

出典