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退職後の手続きは起算点が違う|14日と20日と1か月

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この記事の見出し(9)
  1. 起算点の書き方が条文ごとに違う
  2. 資格喪失日は退職日の翌日
  3. ただし書きがあるものと、ないもの
  4. 主語が自分ではないものが混ざっている
  5. 国民健康保険は主語が世帯主
  6. 自分が動く期限だけを並べる
  7. 確定申告が期限つきとは限らない
  8. 受け取るまで動かせないものがある
  9. まとめ

退職後にやることを調べると、日数だけが並んだ一覧が出てきます。14日、20日、1か月。数字は覚えられますが、いつから数えるのかは書かれていないことが多いです。

条文を開くと、そこがそれぞれ違います。しかも全部が自分の宿題ではありません。

起算点の書き方が条文ごとに違う

期限を定めている条文の文言を並べると、こうなります。このあとに出てくる国民健康保険は、起算点の文言そのものが置かれていません。離職票が届かないまま14日が来る場合の進め方は離職票が届かない間の国民健康保険にまとめました。

  • 14日国民年金の種別変更

    数え始める日当該事実があつた日から

  • 14日国民健康保険の資格取得の届出

    数え始める日資格を取得した日から。起算点の文言そのものが置かれていない。主語は世帯主

  • 20日任意継続の申出

    数え始める日資格を喪失した日から

  • 1か月源泉徴収票の交付

    数え始める日その退職の日以後。これだけ会社側の義務

源泉徴収票だけが退職日で、残りの3つは翌日から数える

退職後の期限は、日数だけでなく数え始める日が条文ごとに違う

同じ「退職」を指しているように見えて、指している日が同じとは限りません。

退職を起点に、条文ごとに起算点が異なることと、会社側の義務や個人の義務が混在する構造を、中央のドアアイコンから矢印で分岐する箱とバッジやカレンダー風のアイコンで示したイメージ図です

資格喪失日は退職日の翌日

健康保険法36条が、資格を失う日を定めています。

被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。

「翌日」と書かれています。3月31日に辞めたなら、資格を失うのは4月1日です。

任意継続の期限はここから数えます。健康保険法37条1項。

第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。

一方、源泉徴収票のほうは所得税法226条1項で「その退職の日以後」です。同じ出来事から数えるのに、1日ずれます。

日数が近い手続きを同じ日付で覚えていると、この1日で外れることがあります。

ただし書きがあるものと、ないもの

37条には後半があります。正当な理由があれば、20日を過ぎた申出も受理できると書かれています。

これは条文にはっきり置かれた例外です。「20日を過ぎたら絶対に無理」と書いてある解説を見かけますが、条文はそう定めていません。

一方、国民年金の種別変更にはこの形のただし書きがありません。同じ「期限」でも、条文の作りが違います。遅れたときにどうなるかは、条文を見ないと分かりません。

主語が自分ではないものが混ざっている

期限の一覧でいちばん誤解されやすいのは、ここです。所得税法226条1項の主語は「給与等の支払をする者」で、会社のほうです。

その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。

交付しなければならないのは会社です。読者がやることは、届かないときに催促することであって、自分で何かを提出することではありません。

離職票も同じで、手続きを進めるのは事業主の側です。届かないときの動き方は離職票が届かない|仮決定手続きで待たないにあります。

国民健康保険は主語が世帯主

主語で分けると、もう1つ本人ではないものが出てきます。国民健康保険法施行規則3条です。

法第六条各号のいずれにも該当しなくなつたため、被保険者の資格を取得した者があるときは、その者の属する世帯の世帯主は、十四日以内に、前条第一項各号に掲げる事項(被保険者の資格を取得した者の現住所及び従前の住所を除く。)を記載した届書を、当該世帯主が住所を有する市町村に提出しなければならない。

提出しなければならないのは世帯主です。一人暮らしなら自分が世帯主ですが、実家にいるなら親が主語になります。

そしてこの条文には、起算点の文言がありません。14日をどこから数えるかは、資格を取得した日から、と読むことになります。その日は法7条にあります。

都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至つた日又は前条各号のいずれにも該当しなくなつた日から、その資格を取得する。

健康保険を抜けた日、つまり退職日の翌日です。源泉徴収票だけが退職日で、残りの3つは翌日から数えます。

記事後半の論点である「自分が動く期限のみを並べる」と「受け取るまで動かせないもの」を、個人が対応すべき行動を示す矢印つきの箱群と受領待ちを示す鍵付き書類や砂時計アイコンで左右に分けて示したイメージ図です

自分が動く期限だけを並べる

主語で分けると、実際にカレンダーに入れるものはこれだけになります。

期限何を
14日以内国民年金の種別変更、国民健康保険の資格取得の届出(主語は世帯主)
20日以内任意継続の申出
翌年3月15日確定申告(納める側になる場合)

短いほうから片づけることになりますが、任意継続と国民健康保険は選ぶ関係にあるので、20日のほうを先に判断します。 決めてから14日の届出に進むほうが、二度手間になりません。

比べ方は退職後の健康保険の切り替え、年金側の手順は国民年金の切り替えは14日以内にあります。

確定申告が期限つきとは限らない

一覧に必ず入っている確定申告も、条文の作りを見ると2つに分かれます。

所得税法120条の確定所得申告は、計算した所得税の額が一定の額を超えるときに求められるものです。こちらは納める側の申告になります。

これに対して122条は書き出しが違います。

居住者は、その年分の所得税につき第一号から第三号までに掲げる金額がある場合には、次条第一項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)又は第百三十九条第一項若しくは第二項(予納税額の還付)の規定による還付を受けるため、税務署長に対し、第百二十条第一項各号(確定所得申告)に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。

「提出することができる」と書かれています。 還付を受けるための申告は、条文の上では権利であって義務ではありません。

年の途中で辞めて再就職しなかった場合、毎月の給与から引かれていた所得税は納めすぎになっていることがあります。そのときに出すのは122条の側なので、3月15日に間に合わなかったから終わり、という性質のものではありません。

どちらに当たるかの見分け方は失業手当は確定申告に書かないに整理しました。

受け取るまで動かせないものがある

順番を組むときに、もう1つ効いてくることがあります。自分の手続きの一部は、会社から書類が届いてからでないと進みません。

確定申告には源泉徴収票が要ります。失業給付の手続きには離職票が要ります。どちらも自分では期限を早められません。

だから待っている間にできることを先に済ませます。年金と健康保険の切り替えは、離職票が無くても進められる場面があります。

書類の全体像は退職の書類は受け取るものと返すものにまとめました。

まとめ

  • 起算点の文言は3通り。「資格を喪失した日」「事実があつた日」「退職の日以後」
  • 国民健康保険の届出には起算点の文言が無く、資格取得日から読むことになる
  • 資格喪失日は退職日の翌日(健康保険法36条)
  • 任意継続の20日は資格喪失日から、源泉徴収票の1か月は退職日から数える
  • 任意継続には「正当な理由」のただし書きがあり、国民年金の種別変更には無い
  • 源泉徴収票と離職票は会社側の義務。自分の宿題ではない
  • 国民健康保険の届出は、条文の主語が世帯主
  • 起算点は源泉徴収票だけが退職日で、残りは翌日
  • 自分が動くのは14日・20日・確定申告の3つ
  • 確定申告も、還付を受けるための申告(122条)は「提出することができる」と書かれている
  • 20日(任意継続)を先に判断してから、14日の届出に進む

金額の比べ方まで含めた判断は退職後の健康保険の切り替えにあります。

出典