退職の段取り帳

iDeCo一時金と退職金の控除|受取順と重複期間

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2026/8/30公開

iDeCoの一時金と会社の退職金を両方受け取るなら、先に受け取るもの、受け取る年、勤続・加入期間の重なりを順に確かめます。 期間の枠内にあるだけで控除が必ず減るわけではありません。実際に重なった期間がある場合に、控除額を調整する仕組みです。

「5年」「10年」「19年」という呼び名だけで決めると、受取順や2026年の改正を見落とします。まずは自分の2つの受取予定を下の3段に当てはめてください。これは税額や、どの受け取り方が得かを示す図ではありません。

先→後の受取順前年以前のどこまで調べるか

  1. 退職金 → 退職金

    前年以前4年内

    一般の退職手当どうし

  2. iDeCoなどの老齢一時金 → 退職金

    前年以前9年内

    先の一時金が2026年1月1日以後。以前の受取は原則4年内

  3. 退職金 → iDeCoなどの老齢一時金

    前年以前19年内

    順番を逆にした場合

先の受取と後の受取を組み合わせ、重なりを調べる対象期間を選ぶ(所得税法施行令70条)

ここでいう4年・9年・19年は、過去の受取を調べる期間です。その枠に入っても、勤続期間と加入期間に重なりがなければ、重複排除の計算をする前提がありません。受け取る年が同じ場合も、この3段の条文とは分けて確認します。

重なった期間は控除から外れる

退職所得控除は勤続年数で決まります。ところが退職金を2回以上受け取ると、期間が重なることがあります。

同令70条1項2号が、その場合の扱いを定めています。

同令70条1項2号を開く

次に掲げる場合において、その年に支払を受けた退職手当等につき第六十九条第一項各号の規定により計算した期間の基礎となつた勤続期間等(同項第三号に規定する勤続期間等をいう。以下この条において同じ。)の一部がその年の前年以前に支払を受けた退職手当等(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める退職手当等とする。次項において「前の退職手当等」という。)に係る勤続期間等(次項において「前の勤続期間等」という。)と重複している場合その重複している部分の期間を法第三十条第三項の勤続年数とみなして同項の規定を適用して計算した金額

重なっている部分について計算した金額を、控除額から差し引く仕組みです。同じ期間を2回使わないためです。

では、いつまで遡って重複を見るのか。そこが3つに分かれます。

3つの期間(所得税法施行令70条1項)

同号のイ・ロ・ハが、それぞれ違う年数を置いています。

イは、退職金を受け取ってからまた退職金を受け取る場合です。

全文を開く(117字)

その年の前年以前四年内に退職手当等(前号に規定する前に支払を受けた退職手当等を除く。)の支払を受け、かつ、その年に退職手当等の支払を受けた場合(ロ及びハに掲げる場合に該当する場合を除く。)その年の前年以前四年内に支払を受けた退職手当等

前年以前4年内です。「5年ルール」と呼ばれているのはこれで、条文の数字は4です。前年から数えるので、実際の間隔としては5年になります。

ロは、確定拠出年金の一時金を先に受け取った場合です。

全文を開く(141字)

その年の前年以前九年内に第七十二条第三項第七号(退職手当等とみなす一時金)に掲げる一時金(令和八年一月一日以後に支払を受けたものに限り、前号に規定する前に支払を受けた退職手当等を除く。)の支払を受け、かつ、その年に退職手当等の支払を受けた場合(ハに掲げる場合に該当する場合を除く。)

前年以前9年内です。同じ理由で「10年ルール」と呼ばれます。

ハは、順番が逆の場合です。

全文を開く(109字)

その年の前年以前十九年内に退職手当等(前号に規定する前に支払を受けた退職手当等を除く。)の支払を受け、かつ、その年に第七十二条第三項第七号に掲げる一時金の支払を受けた場合その年の前年以前十九年内に支払を受けた退職手当等

前年以前19年内です。

2026年1月1日で変わった

ロの括弧書きに条件が書かれています。「令和八年一月一日以後に支払を受けたものに限り」です。

つまり、この9年内という数字が当てはまるのは、2026年1月1日以後に一時金を受け取った場合だけです。

同じロの中に、それより前に受け取った場合の扱いも並んでいます。2026年1月1日より前に受け取った退職手当等については、前年以前4年内のままです。

改正前の説明を読むときは、先の一時金の支払日を確かめます。2026年1月1日より前か後かで、適用する期間が違います。

「確定拠出年金の一時金」の範囲

ロとハに出てくる一時金は、同令72条3項7号で定義されています。

同令72条3項7号を開く

確定拠出年金法第四条第三項(承認の基準等)に規定する企業型年金規約又は同法第五十六条第三項(承認の基準等)に規定する個人型年金規約に基づいて同法第二十八条第一号(給付の種類)(同法第七十三条(企業型年金に係る規定の準用)において準用する場合を含む。)に掲げる老齢給付金として支給される一時金

企業型年金規約と個人型年金規約の両方が入っています。個人型がiDeCoにあたるので、勤務先の企業型に入っていた人も、自分でiDeCoをやっていた人も、どちらもこの号の対象です。

年金として受け取る場合は、ここで扱う老齢一時金とは所得区分が異なります。受け取り方を決める前に、それぞれの課税を別に調べてください。

「3年重なったら210万円減る」とは計算しない

ここで間違えやすいのは、後の退職金が勤続25年なら、重なった3年も1年70万円で控除から引く、という考え方です。重複した3年が25年目に当たるかどうかだけでは、そのようには計算しません。

国税庁の2026年版の計算説明は、まず今回の勤続年数による控除額を出し、次に重複期間そのものを勤続年数とみなして計算した金額を引くと説明しています。前に受け取った金額がそのときの控除額より少ない場合などは、重複期間の扱いにも特例があります。この記事だけで税額まで決めず、二つの源泉徴収票と支払記録をそろえて確認してください。

退職所得控除の通常の年数計算は退職金の税金の記事で説明しています。そこで使う20年以下・超の単価を、重複した年が図の右側にあるという理由だけで掛けないでください。

同じ年に2か所から受け取る場合

70条1項2号が見ているのは、前年以前に受け取った場合です。条文がどの号も「その年の前年以前」で始まっているので、同じ年に受け取ったものは、この号では拾われません。

同じ年に2か所から受け取る場合の扱いは退職金の税金は勤続20年で控除の単価が変わるで国税庁の記載を引いています。計算が異なることがあると書かれている部分です。支給予定が分かったら、支払者と税の相談先へ同じ年に受け取る場合の計算を聞いてください。受取日を自由に変えられると決めつけないようにします。

確かめる順番

  1. 過去に退職金や一時金を受け取ったことがあるかを調べる
  2. 受け取った年と、その計算に使われた期間を源泉徴収票で確かめる
  3. 一時金なら、受け取った日が2026年1月1日以後かを見る
  4. そのうえで、イ・ロ・ハのどれに当たるかを当てはめる

前の勤続・加入期間を思い出すだけで書かず、過去の退職所得の源泉徴収票や一時金の書類を探します。手元にない場合は支払者へ聞いてください。

金額まで出すなら税務署か税理士に聞いてください。退職後の住民税のように、翌年に効いてくるものと合わせて見ることになります。

税理士に確かめるとき

上の重複期間は、退職所得の源泉徴収票を何枚も並べないと出ません。期間の始まりと終わりを書類でそろえます。端数や前に受け取った額による例外もあるため、見積もりの前に書類を渡してください。

税理士ドットコムは税理士の紹介窓口です。この計算を相談したい場合は、受取順、金額、期間の書類をそろえ、相談できる範囲を先に聞いてください。申込後の連絡方法や時期は申込画面で確かめます。

紹介が無料であることと、税理士に払う報酬は別です。 何にいくらかかるかは、紹介されたあとに直接確かめてください。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
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引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。

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