源泉徴収票の見方|退職した年は欄が空く
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退職して受け取った源泉徴収票を開くと、途中の欄が空いていることがあります。書き忘れではありません。年の途中で辞めた人の源泉徴収票は、そうなるのが普通です。
上段に並ぶ欄
まず見るのは、用紙の上段に横並びになっている金額です。
| 欄 | 何の金額か |
|---|---|
| 支払金額 | 1年間に支払われた給与と賞与の合計 |
| 給与所得控除後の金額 | 支払金額から給与所得控除を引いた額 |
| 所得控除の額の合計額 | 社会保険料や扶養などの控除の合計 |
| 源泉徴収税額 | 実際に天引きされた所得税の合計 |
支払金額は税や社会保険料を引く前の総額です。手取りの合計ではないので、通帳の入金額を足しても一致しません。通勤手当は非課税の範囲であればここに入りません。

退職した年は2つが空欄になる
年末調整は、その年の最後の給与を払う会社が行います。年の途中で辞めて再就職していなければ、どの会社も年末調整をしていません。
そのため給与所得控除後の金額と所得控除の額の合計額が空欄のまま交付されます。この2つは年末調整で計算する欄だからです。
空欄でも書類として不備ではありません。確定申告か、年内に再就職した先の年末調整で埋まります。再就職先へ出す流れは転職した年の年末調整にまとめました。
源泉徴収税額は概算のまま
天引きされていた所得税は、月々の給与額から表で引いた概算です。1年の途中で給与が止まると、実際の年収は見込みより低くなります。
このとき天引き額のほうが本来の税額より多くなっていることが多く、確定申告をすると差額が戻ります。計算のしかたは退職した年の確定申告に分けました。
給与所得控除の額
給与所得控除後の金額を自分で計算したいときは、国税庁の表を使います。
支払金額給与所得控除額
- 190万円まで65万円
- 190万円超 360万円まで収入金額×30%+8万円
- 360万円超 660万円まで収入金額×20%+44万円
- 660万円超 850万円まで収入金額×10%+110万円
- 850万円超195万円(上限)
令和7年分から適用される金額です。この区分の元は所得税法28条3項にあります。
前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
条文は「六十五万円と当該収入金額から百九十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額」という書き方で、国税庁の表の「収入金額×30%+8万円」と同じ計算です。どちらで計算しても額は変わりません。
支払金額が660万円に届かない場合は、この計算ではなく表を引きます。所得税法28条4項です。
その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
前二項の規定にかかわらず、とあるので、660万円未満の人は上の速算では出しません。端数の扱いが違うぶん、自分で計算した額と1円単位でずれることがあります。
2枚以上あるときは合計する
年の途中で転職した人は、前職と現職の2枚を持つことになります。
同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払金額の合計額により上記の表を適用してください。
片方だけで判断すると控除額が変わります。たとえば前職350万円・現職200万円なら、それぞれでは30%の段ですが、合計550万円では20%の段になります。
30万円以下でも本人には交付される
税務署へ提出する範囲は、本人へ交付する範囲とは別に決まっています。
同一人(その年の中途において退職した受給者に限ります。)に対して、その年中の給与等の支払金額が30万円以下である給与等を支払った場合を除くすべての給与等。
中途退職で支払金額が30万円以下なら、会社は税務署へ出さなくてよいことになります。それでも本人への交付義務は別なので、金額が小さくても受け取れます。交付の期限は源泉徴収票の交付期限は退職後1か月にあります。
マイナンバーは書かれていない
税務署へ出す用にはマイナンバーを書きますが、本人へ渡すものには書かないことになっています。自分の源泉徴収票に番号が無くても、それが正しい形です。
再就職先から番号の記載を求められることはありません。番号は別の書類で提出します。
社会保険料等の金額はどこに出るか
所得控除の額の合計額とは別に、社会保険料等の金額という欄があります。健康保険・厚生年金・雇用保険として給与から引かれた額の合計です。
退職した年は所得控除の合計が空欄でも、この欄は埋まっていることがあります。年末調整をしていなくても、実際に引いた額は分かっているからです。確定申告のときは、この数字をそのまま社会保険料控除に使います。
退職後に自分で払った国民健康保険料や国民年金保険料は、会社が把握していないのでこの欄には入りません。自分で領収書や控除証明書を集めて足すことになります。切り替えの手続きは退職後の健康保険にまとめました。

扶養親族の欄で家族の状況が分かる
控除対象扶養親族の数や、配偶者の有無を書く欄があります。ここも年末調整で確定するので、退職した年は実態と合わないことがあります。
年の途中で家族の状況が変わった場合、その反映は確定申告か再就職先の年末調整で行います。源泉徴収票の記載が古いままでも、そこで直せます。
摘要欄を見落とさない
用紙の下のほうに摘要という欄があります。中途入社した人は、ここに前職の会社名・支払金額・源泉徴収税額・社会保険料が書かれていることがあります。
これは前職ぶんを合算して年末調整した証拠です。逆にここが空で、上の欄も空欄なら、年末調整はされていません。自分で確定申告することになります。
退職所得は別の用紙になる
退職金を受け取った場合、その分はこの用紙には入りません。退職所得の源泉徴収票という別の様式で交付されます。
給与とは税の計算方法が違い、勤続年数に応じた控除があるためです。金額の出し方は退職金にかかる税金にまとめました。
給与の源泉徴収票の支払金額に退職金が入っていたら、それは記載の誤りなので会社に確認します。
交付の形は紙とは限らない
本人の承諾があれば、書面ではなく電磁的な方法で提供できることになっています。社内システムからダウンロードする形の会社もあります。
確定申告で使う場合、電子データのままe-Taxへ添付できます。印刷したものを郵送で出すこともできますが、その場合は原本ではなく写しでよいとされている場面が多いので、提出先の指示を確認してから送ります。
いずれの形でも、記載されている内容は同じです。
見つからないとき
紛失した場合の再発行は、税務署ではなく会社に頼みます。会社が応じない場合の手順は源泉徴収票の再発行は税務署では扱えないにまとめました。
まとめ
- 支払金額は総額。手取りの合計ではない
- 退職した年は「給与所得控除後」と「所得控除の合計」が空欄になる
- 源泉徴収税額は概算。多くの場合は確定申告で戻る
- 2枚以上あるときは支払金額を合計してから表に当てる
- 本人用にはマイナンバーが書かれない
- 摘要欄に前職ぶんがあれば、年末調整は済んでいる