年内に再就職しないときの確定申告
辞めた年の所得税は、多めに引かれたままになっている
給与から毎月引かれている所得税は、1年間その給与が続く前提で計算された概算です。年末に会社が年末調整をして、実際の年収に合わせて精算します。
年の途中で辞めると、この精算の機会が無くなります。国税庁はこう説明しています。
しかし、中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられませんから、所得税及び復興特別所得税が納め過ぎとなっている場合があります。
多く引かれたぶんは、黙っていても戻ってきません。 自分で申告して初めて還付されます。ここは住民税と違い、手続きをしないと確定しない部分です。
年内に再就職したかどうかで分かれる
まず、自分がどちらに当たるかを確認してください。
このうち、中途退職した同じ年に再就職をした場合は、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をすることになっていますから、所得税及び復興特別所得税の納め過ぎは解消します。
| 状況 | やること |
|---|---|
| 年内(その年の12月まで)に再就職した | 新しい勤務先に前職の源泉徴収票を出す。年末調整で精算される |
| 年内に再就職しなかった | 翌年に自分で確定申告する |
**再就職した人の実務は「前職の源泉徴収票を新しい勤務先へ渡すこと」**です。これを出し忘れると、新しい勤務先は前職分を含めて計算できません。結局は自分で確定申告することになります。
源泉徴収票は退職後に前の勤務先から交付されます。届いていない場合は、まず前の勤務先に請求してください。
再就職した側で何をいつ出すのか、出せなかったときにどうなるのかは転職した年の年末調整|前職の源泉徴収票にまとめています。以降は、年内に再就職しなかった場合の話です。
確定申告の時期を待つ必要はない
「確定申告は2月中旬から3月15日まで」と思われがちですが、還付の申告は別です。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
翌年1月1日から出せます。 混み合う2月〜3月を待つ理由はありません。
期限のほうも長く取られています。
この申告は、中途退職した年の翌年以降5年以内であれば行うことができますが、申告に必要な添付書類がそろい次第早めに行うことをお勧めします。
過去に辞めて申告していない年があるなら、さかのぼって出せる可能性があります。ただし書類が揃わないと進まないので、早いほうが確実です。
戻る額を増やすのは、自分で払った保険料
退職後に国民健康保険と国民年金へ切り替えた人は、その保険料を自分の口座から払っています。これは所得から差し引ける社会保険料控除の対象です。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。
同じページでは、控除の対象となる社会保険料として、国民年金・厚生年金保険の保険料、国民健康保険の保険料または国民健康保険税、介護保険料、雇用保険の被保険者として負担する労働保険料などが挙げられています。
在職中は給与から天引きされていたので意識しませんが、退職後に自分で払ったぶんは申告しないと反映されません。
- 国民年金の保険料は、日本年金機構から送られる控除証明書を添付または提示する必要があります
- 保険料を払った記録(納付書の控え・口座の記録)は捨てないでください
退職直後の切替そのものは退職後の健康保険と年金|20日と14日に整理しています。免除の申請をした期間は、そもそも払っていないので控除にもなりません。
失業給付は所得に入らない
申告のときに迷いやすいのが、ハローワークから受け取った基本手当の扱いです。
雇用保険法第13条から第56条の2の規定に基づき支給される求職者給付は、同法第10条に規定する失業等給付に該当し、同法第12条の規定により課税されないことになっています。
収入として申告する必要はありません。 配偶者控除などの判定で使う合計所得金額にも含めません。
裏を返すと、失業給付だけで暮らした期間は所得が発生していないということです。その年の給与が少ないほど、源泉徴収された税額が納め過ぎになっている可能性は高くなります。
求職活動そのものの手続きは失業給付の求職活動実績|何が数えられるかにまとめています。
住民税は別の手続き
所得税が戻ることと、住民税の負担は別の話です。
住民税は前年の所得に対してかかり、退職した翌年に収入が無い状態で請求が来ます。 辞める月によっては最後の給与から一括で引かれます。この仕組みは退職月で変わる住民税|最後の給与が減るで扱っています。
確定申告をすると、その内容は住民税の計算にも使われます。所得税の還付を受けるためだけでなく、翌年の住民税を正しく計算してもらうためにも申告の意味があります。
手元に用意するもの
- その年に勤務した会社すべての源泉徴収票
- 国民年金の控除証明書、国民健康保険の納付額が分かるもの
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書(加入していれば)
- 還付金の振込先になる本人名義の口座
- マイナンバーが分かるもの、本人確認書類
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って入力することで申告書を作成・提出できるとされています。
金額の目安を書かない理由
「退職すると平均で〇万円戻る」といった数字は、このページには書きません。
還付額は、辞めた月・その年の給与総額・扶養の有無・払った保険料で人ごとに変わります。一つの数字を出すと、当てはまらない人が「戻らなかった」と受け取ることになります。 個別の金額は、作成コーナーに実際の数字を入れるか、税務署に相談してください。
まとめ
- 年の途中で辞めて年内に再就職しないと年末調整を受けられず、所得税が納め過ぎのまま残る
- 年内に再就職した場合は、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に出せば精算される
- 還付の申告は確定申告期間と関係なく、翌年1月1日から5年間できる
- 退職後に自分で払った国民年金・国民健康保険の保険料は社会保険料控除の対象になる
- 失業給付(求職者給付)は課税されない。所得として申告しない
- 住民税は前年の所得にかかる別の負担。申告の内容は住民税の計算にも使われる
申告の内容で迷う場合は、所轄の税務署または国税局電話相談センターが相談先になります。