退職の書類は受け取るものと返すもの
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手続きが止まる原因は、たいてい書類が来ていないこと
辞めた後の手続きは、失業給付・健康保険・税金と窓口がばらばらです。それぞれ別の書類が要ります。
どれも会社から受け取るもので、自動的に全部が揃うわけではありません。 待っていれば届くもの、請求しないと出ないもの、そもそも自分で保管しているはずのものが混ざっています。
ここでは、どの書類がどの手続きに要るのかと、届かないときにどこへ言えばよいのかを整理します。

離職票は失業給付の入口になる
ハローワークで基本手当(失業給付のこと)の手続きをするには、離職票が要ります。ハローワークインターネットサービスは、退職前後の流れをこう説明しています。
離職後、「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」が届きます(受取りに行く場合もあります)。
会社がハローワークに手続きをして、そこから交付される書類なので、退職日にその場で渡されるものではありません。数週間かかることがあります。
同じページでは、在職中にやっておくこととして、雇用保険被保険者証(雇用保険に入っていたことを示す書類)の有無を確認することと、会社がハローワークに提出する離職証明書の記載内容、特に離職理由を確認することが挙げられています。離職理由は給付制限の有無に関わる部分です。
届いた離職票の離職理由に納得できない場合、そこで確定するわけではありません。判定の仕組みと、区分によって受け取れる日数がどれだけ変わるかは離職理由は会社の記載で決まらないに整理しています。
届かない場合の窓口も明記されています。
なお、会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合等については、住居地を管轄するハローワークにお問い合わせください。
会社と連絡が取れなくても、手続きが詰むわけではありません。 まずハローワークに事情を伝えてください。
さらに、届くのを待たずに申し込みだけ先に済ませる方法があります。受給資格の仮決定手続きといい、行った日にさかのぼって扱われます。失業給付は申し込んだ日が起点なので、待った分がそのまま入金の遅れになります。行ける時期と持ち物は離職票が届かない|仮決定手続きで待たないに整理しました。
手続きを始めた後に必要になる求職活動の実績は失業給付の求職活動実績|何が数えられるかにまとめています。
源泉徴収票には交付の期限がある
源泉徴収票は、確定申告にも、年内に再就職した場合の年末調整にも使います。国税庁はこう定めています。
給与所得の源泉徴収票は、上記の提出範囲に関わらず、また、源泉徴収票のみなし提出の特例により市区町村に給与支払報告書を提出した場合であっても、すべての受給者に対し、その年の翌年の1月31日まで(年の中途で退職した方の場合は、退職の日以後1か月以内)に交付しなければなりません。
引用中の「上記の提出範囲」とは、税務署へ提出する対象の話です。税務署に出すかどうかに関わらず、本人には交付されます。
2026年に引用の文言が変わり、みなし提出の特例に触れる部分が加わりました。令和9年1月1日以後は、会社が市区町村へ給与支払報告書を出していれば税務署への提出は済んだものとみなされます。ただし本人への交付は別で、そちらは変わりません。会社が税務署に出さなくなっても、自分の手元には届きます。
年の途中で辞めた場合の期限は退職の日以後1か月以内です。1か月を過ぎても届かないなら、前の勤務先に交付を求めてください。
使い道は再就職したかどうかで変わります。この分岐は年内に再就職しないときの確定申告で扱っています。
年内に再就職した
- 新しい勤務先に提出する
- 前職分を含めて年末調整される
年内に再就職しなかった
- 翌年の確定申告で使う
違うのは出す先。前者は新しい勤務先に出さないと、その年の年末調整ができない
前者の場合、新しい勤務先に出さないとその年の年末調整ができません。提出が間に合わなかったときに自分で確定申告して精算する流れまで含めて、転職した年の年末調整|前職の源泉徴収票に整理しました。
退職証明書は請求しないと出ない
離職票や源泉徴収票と違い、退職証明書は自分から請求して初めて交付される書類です。茨城労働局は労働基準法の内容をこう説明しています。
使用者は、労働者が退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)について、証明書を請求した場合においては、これを遅滞なく労働者に交付しなければならない。
書ける項目も決まっています。
なお、証明書には、使用者は、労働者が請求しない事項を記入してはならない。
請求していない事項を書くことはできません。 たとえば退職の事由を書いてほしくない場合、その項目を請求から外せば記載されません。
退職証明書が要る場面は限られますが、次のようなときに使います。
- 離職票がまだ届かない段階で、退職した事実を示す必要があるとき
- 国民健康保険や配偶者の扶養の手続きで、退職日の確認を求められたとき
- 転職先から提出を求められたとき
なお、解雇の予告をされた日から退職の日までの間に解雇の理由について証明書を請求した場合も、遅滞なく交付しなければならないとされています。
健康保険と年金の手続きに要るもの
国民健康保険に切り替える場合、市区町村の窓口では退職日が確認できる書類を求められます。何を持参するかは自治体によって案内が異なるので、先に住んでいる市区町村のページを確認してください。 一般には離職票や退職証明書、健康保険の資格喪失を証明する書類が該当します。
任意継続を選ぶ場合は期限が短く、退職日の翌日から20日以内です。国民年金の切替は14日以内です。どちらを選ぶかの判断材料は退職後の健康保険と年金|20日と14日に整理しています。
離職票が届かないから健康保険の手続きができない、というのは誤解です。 窓口も根拠になる法律も別で、離職票を待つ必要はありません。詳しくは離職票が届かなくても健康保険の切替はできるに整理しました。
期限のほうが先に来るので、書類が揃うのを待って動かないほうが安全です。 窓口に事情を伝えれば、進め方を案内してもらえます。

受け取るだけでなく、返す書類もある
書類は受け取る側だけではありません。健康保険の資格を確認するために交付されている書類は、退職のときに会社へ返します。
健康保険法施行規則51条4項が、本人の側の期限を決めています。
被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この項において同じ。)は、次に掲げる場合においては、五日以内に、資格確認書を事業主に提出しなければならない。
掲げられている場合の1つが「被保険者の資格を喪失したとき」です。退職はこれにあたります。期限は5日以内です。
会社の側にも義務があります。同じ条の1項です。
事業主は、次に掲げる場合においては、遅滞なく、資格確認書を回収して、これを保険者に返納しなければならない。
条文が「資格確認書」と呼んでいるのは、健康保険の資格を確認するために交付される書類です。手元の書類の名称が違う場合は、加入している健康保険の窓口に確認してください。
任意継続を選ぶ場合は扱いが変わります。同じ条の2項で、任意継続被保険者は5日以内に自分で保険者へ返納することになっています。会社が回収する形ではありません。
受け取りの順番と目安
| 書類 | 出どころと届く目安 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 離職票 | 会社経由でハローワークから。退職後しばらくして届く | 失業給付の手続き |
| 源泉徴収票 | 前の勤務先から。退職の日以後1か月以内 | 確定申告、再就職先での年末調整 |
| 退職証明書 | 前の勤務先へ請求が必要。請求後、遅滞なく | 退職日や在籍の証明 |
| 雇用保険被保険者証 | 在職中に交付済みのことが多い | 再就職先に提出 |
自分で保管しているはずのものもあります。 雇用保険被保険者証は在職中に渡されていることが多く、退職時に出てくるとは限りません。在職中に有無を確認しておくと後が楽です。
渡された記憶が無い場合もあります。省令は交付を事業主を通じて行ってよいとしているので、会社が保管したままになっていることがあります。無いときの進め方は雇用保険被保険者証が手元にないときに整理しました。
会社に連絡しづらいとき
辞め方によっては、前の勤務先へ連絡すること自体が負担になります。
書類の請求は、退職の経緯とは切り離して考えて構いません。 交付は手続き上のもので、感情のやり取りではありません。電話が難しければ、書面やメールで請求した記録を残す方法もあります。
それでも動かない場合、離職票はハローワーク、労働基準法にもとづく退職証明書は労働基準監督署や労働局の総合労働相談コーナーが相談先になります。自分と会社の間だけで解決しなければならない話ではありません。
源泉徴収票が来ないときの窓口は税務署
書類ごとに窓口が違うので、源泉徴収票だけは相談先が変わります。税務署に届け出る手続きが用意されています。国税庁はこの手続きをこう説明しています。
源泉徴収票が支払者から交付されない場合の手続です。既に交付された源泉徴収票の再発行については、この手続の対象外です。
「源泉徴収票不交付の届出書」という名前で、提出先は納税地等を所轄する税務署長です。会社と連絡が取れない状態でも、こちらから動けます。前の勤務先の同意は要りません。
ひとつ、間違えやすい線があります。
既に交付された源泉徴収票の再発行については、この手続の対象外です。
一度受け取ったものを失くした場合は、この届出では扱えません。 その場合は前の勤務先に再発行を求めることになります。届出が使えるのは、そもそも交付されていない場合です。
失くした側の手順は源泉徴収票の再発行は税務署では扱えないにまとめました。前の勤務先が廃業しているときだけ、扱いが変わります。
離職票については、届く時期そのものに会社側の期限があります。2025年1月からはマイナポータルでも受け取れます。期限と受け取り方は離職票はいつ届くか|マイナポータルで受け取るにあります。
源泉徴収票については、交付の期限そのものが法律で決まっています。中途退職なら退職の日から1か月以内です。届かないときの手順は源泉徴収票の交付期限は退職後1か月にまとめました。
辞める前に揃えておくほうが楽な書類もあります。会社の保存義務は5年で、退職の証明は請求した項目しか書かれません。転職は書類を集めるところからにまとめました。
まとめ
- 離職票は会社経由でハローワークから交付される。交付されない場合は住居地を管轄するハローワークに問い合わせる
- 離職証明書の離職理由は在職中に確認しておく
- 源泉徴収票は、年の途中で退職した場合、退職の日以後1か月以内に交付しなければならないとされている
- 退職証明書は請求して初めて交付される。請求しない事項は記入できない
- 源泉徴収票が交付されない場合は、税務署への届出という手続きがある。ただし紛失時の再発行は対象外
- 健康保険と年金の期限は書類が揃う前に来る。待たずに窓口へ相談する
書類を待っている間に来る期限は、退職タイムラインに退職日を入れると日付で出ます。何を待ち、何を先に済ませるかを分けて見られます。
書類が届かない状態が続くときは、それぞれの制度の窓口が相談先になります。会社との交渉から始める必要はありません。
書類ごとの期限を横に並べると、数え始める日と主語が条文ごとに違うことが分かります。どれが自分の宿題でどれが会社の義務かは退職後の手続きは起算点が違うにまとめました。