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離職理由は会社の記載で決まらない

公開

離職票に書かれた理由は、会社の申告であって結論ではない

退職後に届く離職票には、会社が記載した離職理由が載っています。ここに「自己都合」と書かれているのを見て、そういうものとして受け入れてしまう人が多いところです。

ただ、この記載がそのまま確定するわけではありません。ハローワークインターネットサービスは、受給資格を決める場面についてこう説明しています。

ハローワークでは、受給要件を満たしていることを確認した上で、受給資格の決定を行ないます。このときに、離職理由についても判定します。

判定するのはハローワークです。 会社の記載は判定の材料のひとつであって、最終的な区分ではありません。

そして、食い違いがあるときの窓口も同じページに明記されています。

なお、離職理由に異議がある場合(実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、自己都合退職とされている場合など)は、ハローワークにご相談ください。

ハローワークにおいて、事実関係を調査のうえ、離職理由を判定します。

例として挙げられているのが退職勧奨を自己都合として処理されたケースであることに注意してください。これは実際に起きるものとして想定されている、という意味になります。

区分が変わると、受け取れる日数が変わる

離職理由の区分は3つに分かれます。特定受給資格者、特定理由離職者、それ以外の離職者です。

差が最も大きく出るのは所定給付日数です。ハローワークインターネットサービスが公開している日数を並べると、次のようになります。

被保険者であった期間特定受給資格者(45歳以上60歳未満)それ以外の離職者(全年齢)
1年未満90日90日
1年以上5年未満180日90日
5年以上10年未満240日120日
10年以上20年未満270日120日
20年以上330日150日

20年以上勤めて45歳以上で辞めた場合、330日と150日で180日の差になります。 基本手当日額が6,000円なら100万円を超える差です。

日数だけではありません。受給資格そのものも変わります。

特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます。

通常は離職以前2年間に12か月必要とされているところ、期間の条件が軽くなります。勤務期間が短くて「どうせ対象外だろう」と考えている人ほど、区分を確認する意味があります。

自己都合に見えて、特定受給資格者に当たりうる場面

会社が自己都合として処理しがちで、実態としては会社側の事情に近いものがあります。ハローワークが公開している範囲の概要から、転職相談で実際に出てきやすいものを挙げます。

事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

退職を勧められて辞めた場合です。 退職届を自分で書いていても、勧奨があったなら実態は異なります。ただし、もともと常設されている早期退職優遇制度に応募した場合は除かれると書かれています。

賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者

未払いの額に基準があります。「少し遅れた」ではなく、3分の1を超える額が期日までに支払われなかった場合です。

労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

入社時に示された条件と実際が著しく違ったケースです。この場合、労働条件通知書が手元にあるかどうかで、示せるものが変わります。入社時に何を確認しておくかは内定時に労働条件通知書で確認する項目に整理しています。

このほか、長時間の時間外労働、ハラスメントに対して事業主が必要な措置を講じなかった場合、事業所の移転で通勤が困難になった場合なども範囲に含まれています。具体的な時間数や条件が定められているので、当てはまりそうなら原文で確認してください。

自分の都合で辞めても「特定理由離職者」がある

体調や家庭の事情で辞めた場合、自己都合であることに変わりはありません。ただし、正当な理由のある自己都合として別に扱われる区分があります。

体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者

このほか、妊娠・出産・育児で受給期間の延長措置を受けた場合、家族の介護のために辞めざるを得なかった場合、通勤が不可能または困難になった場合などが挙げられています。

体調を理由に辞めた人が、ここを知らずに一般の自己都合として処理されている場合があります。 退職前の段階で使える制度については体調で辞める前に|傷病手当金と退職日に書いています。

判定の材料になるのは、辞める前に確認できる書類

判定はハローワークが行いますが、その入力になるのは会社が提出する離職証明書です。

また、会社がハローワークに提出する「離職証明書」については、離職前に本人が氏名の記載をすることになっていますので、離職理由等の記載内容についても確認してください。

本人が氏名を書く場面があるということは、記載内容を目にする機会があるということです。 ここで内容を確認しないまま署名すると、後から食い違いを説明する手間が増えます。

もっとも、退職時のやりとりが難しい状況では、落ち着いて確認できないこともあります。届いた離職票の内容に納得できない場合は、受給資格の決定のときに相談するのが次の機会になります。届く時期と種類は退職後に会社から受け取る書類にまとめています。

公的機関のページにも古い記述が残っている

ひとつ注意があります。今回引用したハローワークインターネットサービスの手続き案内には、給付制限について待期期間満了後2か月間とする記述が残っています。

自己都合退職の給付制限は改正されており、岩手労働局の資料には次のように示されています。

令和7年4月1日以降に自己都合で退職した場合、給付制限期間は原則1か月です

公式サイトに書いてあるから正しい、とは限りません。 同じ機関のページでも、改正が反映される時期に差が出ます。期間や金額に関わる部分は、資料の日付を見るか、窓口で直接確認してください。給付制限の扱いは退職代行のその後|転職活動への影響でも触れています。

まとめ

  • 離職票の記載は会社の申告で、離職理由を判定するのはハローワーク
  • 異議がある場合は相談でき、事実関係を調査のうえ判定すると明記されている
  • 区分が変わると所定給付日数が変わる。45歳以上60歳未満で20年以上勤めた場合、330日と150日の差になる
  • 特定理由離職者は、被保険者期間が6か月以上あれば受給資格を得られる
  • 退職勧奨、賃金の3分の1を超える未払い、労働条件の著しい相違などは特定受給資格者の範囲に挙げられている
  • 体調や家庭の事情による離職は、正当な理由のある自己都合として別に扱われる区分がある

区分の判断は個別の事情で変わります。当てはまりそうなときは、離職票を持って管轄のハローワークで相談してください。

出典