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派遣の3年ルールは2種類ある

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この記事の見出し(10)
  1. 自分に掛かるほうの3年(労働者派遣法35条の3)
  2. もう1つは派遣先の事業所に掛かる(40条の3)
  3. 3年の見込みがあると義務が変わる(30条1項)
  4. 雇用安定措置として何が挙げられているか
  5. 3年より前に切られる場合
  6. 5年の無期転換は、数える単位が違う(労働契約法18条1項)
  7. 期限の前に確認しておくこと
  8. 期限で辞めることになった場合
  9. 次を探すとき
  10. まとめ

派遣で働いていると「3年で終わり」と言われます。ところが「延長できる」という話も同時に出てきて、どちらなのか分からなくなります。

どちらも正しく、掛かる相手が違う制限が並んでいるからです。厚生労働省のリーフレットは「すべての業務において、①事業所単位、かつ②個人単位の期間制限を適用」と示しています。このページは、労働者派遣法の条文からその2つを分けます。

なお、対象から外れる人もいます。

ただし、「派遣元で無期雇用されている派遣労働者」や「60歳以上の派遣労働者」などは、期間制限の対象外です。

派遣元と無期雇用で契約している場合は、この記事の期限は掛かりません。まず自分の雇用契約が有期か無期かを確認してください。

自分に掛かるほうの3年(労働者派遣法35条の3)

厚生労働省は結論をこう書いています。

同じ事業所で3年を超えて働くことは、基本的にできません。

条文で見ると、自分自身に掛かる制限はこうなっています。

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。

単位は「組織単位ごとの業務」です。 会社全体でも、派遣先の事業所全体でもありません。一般に課やグループにあたる範囲で、同じ人を3年を超えて出してはならない、という規定です。

ここから、組織単位が変われば同じ派遣先で続けられることになります。別の課へ移る形なら、この制限には掛かりません。

派遣の3年ルールの2種類(個人単位と事業所単位)と延長が可能なのは事業所単位だけであることのイメージ図です

もう1つは派遣先の事業所に掛かる(40条の3)

別の条文は、派遣先の側を縛っています。こちらは事業所ごとの制限で、過半数労働組合などからの意見聴取を経れば3年ずつ延長できます。

延長できると聞くのは、この事業所単位のほうです。ただし条文は、延長した場合について続けて書いています。

派遣先は、前条第三項の規定により派遣可能期間が延長された場合において、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(同条第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けてはならない。

事業所の期間を延長しても、同じ人を同じ組織単位で3年を超えて使うことはできません。

  • 3年事業所単位

    掛かる相手派遣先の事業所。過半数労働組合などからの意見聴取を経れば3年ずつ延長できる

  • 3年個人単位

    掛かる相手自分+組織単位(一般に課やグループ)。延長できない

2つは別々に掛かる。事業所単位を延長しても、同じ人を同じ組織単位で3年を超えて使うことはできない

事業所単位と個人単位(労働者派遣法)。派遣元で無期雇用の人と60歳以上は対象外

ここが噛み合わないところです。「延長したから大丈夫」と言われても、自分の3年は動きません。

3年の見込みがあると義務が変わる(30条1項)

期限が近づいたときに何が起きるかも条文にあります。派遣元には雇用安定措置が定められていて、通常は努力義務です。

派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して三年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者に係る前項の規定の適用については、同項中「講ずるように努めなければ」とあるのは、「講じなければ」とする。

「努めなければ」が「講じなければ」に読み替えられます。3年の見込みがある人については、努力義務ではなく義務になるということです。

つまり、期限が来たときに何もされないまま終わるのは、条文の想定と違います。派遣元に対しては、措置を講じる義務があるという前提で話ができます。

雇用安定措置として何が挙げられているか

義務になる「措置」の中身も条文に並んでいます。派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用、その他雇用の安定を図るための措置です。

どれを選ぶかは派遣元が決めます。希望を出せますが、指定はできません。そのうえで、提示された内容が現実的かどうかは自分で判断することになります。

たとえば「新たな派遣先の提供」であれば、通勤時間や賃金が今と大きく変わらないかを見ます。条件が下がる提案を受け入れる義務はありません。措置を講じる義務は派遣元側にあり、受け入れる義務が自分側にあるわけではないという関係です。

3年より前に切られる場合

期間制限とは別に、契約そのものが更新されないこともあります。こちらは3年を待たずに起きるので、混同しないでください。

有期契約の更新については、更新上限の有無が労働条件の明示事項になっています。契約時に何が示されるかは労働条件通知書で確認する項目に整理しました。「更新は最大3回まで」といった上限があるなら、その契約は何年後かに終わることが決まっています。

5年の無期転換は、数える単位が違う(労働契約法18条1項)

3年ルールと並べて語られるのが、通算5年の無期転換です。単位が違います。労働契約法18条1項です。

同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。

数えるのは同一の使用者との間の契約期間で、組織単位ではありません。派遣で働く人にとっての「使用者」は派遣元なので、派遣先の課が変わっても、派遣元が同じなら通算は続きます。 3年ルールのほうは組織単位で数え直しになるので、そこが逆になります。

申し込むと、使用者は承諾したものとみなされます。断る余地は条文に置かれていません。期限は、現に締結している契約の期間が満了する日までです。

2項は、契約と契約のあいだに空白期間があった場合の扱いです。その空白が6か月以上(直前の契約が1年に満たない場合は別の計算)あるときは、空白の前の期間を通算に入れないとしています。いったん離れると数え直しになります。

契約時に何が示されるかは労働条件通知書で確認する項目に整理しました。

3年の見込みがあると義務が変わる点(雇用安定措置の発動)と、雇用安定措置の具体例(研修や再就職支援など)、3年より前に契約が終了する場合の分岐、さらに5年での無期転換の数え方が異なる点を矢印とアイコンで示したのイメージ図です

期限の前に確認しておくこと

条文の構造から、聞くべきことが決まります。

  • 自分の起点日はいつか。組織単位での就業開始日から数えます
  • 組織単位はどこまでか。課が変わるのか、同じ課の中の異動なのか
  • 事業所単位の延長がされているか。されていても自分の3年は延びません
  • 雇用安定措置として何を提示されるか。3年見込みなら義務です

口頭のやり取りは残らないので、日付が入る形にしてください。メールで確認する、書面をもらう、といった形です。

期限で辞めることになった場合

期間制限で契約が終わる場合、離職理由の扱いが問題になります。自己都合として処理されると、給付日数と給付制限で差が出ます。

判定するのは会社ではなくハローワークです。仕組みは離職理由は会社の記載で決まらないに整理しました。離職票に書かれた理由は会社の申告であって、結論ではありません。

区分が変わると保険料も動きます。国民健康保険料は前年の給与所得を100分の30として計算される制度があり、届け出が要ります。線引きは会社都合退職のデメリットはあるかにあります。

失業給付そのものの要件と、被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)の数え方は辞める前に|失業給付の受給要件にまとめました。派遣は契約の切れ目で被保険者期間が分断されて見えますが、通算されます。

次を探すとき

期限が決まっている以上、動き出す時期を先に決められるのが派遣の特徴です。求人を見る段階では、条件が書面でどう示されるかが判断材料になります。

職業安定法は募集する側に明示義務を課していて、条件を変えて契約する場合は変更の明示が必要とされています。見る順序は求人票の見方|違う条件なら明示義務があるに整理しました。

下に挙げたJAIC就職カレッジは、フリーター・離職中・未経験・中退を対象に掲げています。期限で契約が終わった人はこの「離職中」にあたります。対象は18歳から35歳で、就職を希望する地域が12の都府県のいずれかであることが成果の条件です。Remofulとは対象の区切り方が違うので、年齢と地域から先に見てください。

契約が請負や業務委託になっている場合は、そもそも派遣にあたるかから確認が要ります。告示は「請負の形式による契約」でも、要件を欠けば労働者派遣事業を行う事業主とするとしています。判断の基準は偽装請負かどうかは指示で決まるに整理しました。

そもそも派遣と正社員で何が違うのかは、契約の相手が分かれている点から出てきます。待遇についても、派遣先に雇用される通常の労働者と比べて不合理な相違を設けてはならないと条文にあります。比べ方は派遣と正社員は契約の相手が違うに整理しました。

まとめ

  • 派遣の期間制限は事業所単位と個人単位の2つがある
  • 個人単位は「組織単位ごとの業務」が単位。課が変われば別に数える
  • 事業所単位は意見聴取を経て3年ずつ延長できる
  • 延長しても、同じ人を同じ組織単位で3年を超えて使うことはできない
  • 3年の見込みがある人については、派遣元の雇用安定措置が努力義務から義務に変わる
  • 期限で辞めた場合の離職理由は、会社の記載ではなくハローワークが判定する

「延長されたから大丈夫」と言われたら、それは事業所単位のほうです。自分の3年は動きません。

出典