仕事の悩み相談ガイド

辞める前に|失業給付の受給要件

本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

公開

この記事の見出し(9)
  1. 辞めた後に確認すると、間に合わないことがある
  2. 加入期間は「月数」ではなく「働いた日数のある月」で数える
  3. 「通算」なので、同じ会社で続いていなくてもよい
  4. 「失業の状態」の定義は、思っているより狭い
  5. 休んでから受け取りたいときは、受給期間の延長がある
  6. 金額の目安をこの記事に書かない理由
  7. 辞める前に確認する順序
  8. まとめ
  9. 要件を満たしたあとに要るもの

辞めた後に確認すると、間に合わないことがある

失業給付(基本手当)は、辞めれば自動的に出るものではありません。要件は2つあり、どちらも辞める前にしか整えられない部分を含んでいます。

ハローワークインターネットサービスは、受給の要件を2つに分けて示しています。「失業の状態にあること」と、「一定の被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)があること」です。加入期間のほうはこう書かれています。

離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。

引用中の「※補足2」は原文に付いている注記番号です。この補足に数え方が書かれていて、そこが読み飛ばされやすいところになります。

離職理由によっては、条件が軽くなります。

ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

区分ごとに並べると、次のようになります。

区分見る期間必要な被保険者期間
一般の離職者離職の日以前2年間通算12か月以上
特定受給資格者・特定理由離職者離職の日以前1年間通算6か月以上

自分がどの区分になるかは、会社が離職票に書いた理由で確定するわけではありません。 判定の主体と、区分によって給付日数がどれだけ変わるかは離職理由は会社の記載で決まらないに整理しています。

加入期間を、働いた日がある月だけ数える方法と、別の就業期間が通算され同じ合計に入ること、退職前にハローワークで確認する手順を図解したイメージ図です

加入期間は「月数」ではなく「働いた日数のある月」で数える

ここが一番誤解されやすい部分です。在籍していた月がそのまま1か月と数えられるわけではありません。

被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と計算します。

読み取れることを挙げます。

  1. 区切りは暦月ではなく、離職日から1か月ごと。月末退職でなければ、給与明細の月とはずれる
  2. 賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月だけが1か月に数えられる
  3. 11日に届かない場合でも、時間数が80時間以上あれば1か月に数えられる

休職していた期間、欠勤が多かった月、シフトが減っていた月は、在籍していても1か月に数えられないことがあります。休職の扱いそのものは会社の就業規則で決まるので、期間の数え方も規則を見ないと出ません。休職は法律ではなく就業規則で決まるにまとめました。辞める時期を月末で調整するより先に、11日または80時間を満たす月がいくつあるかを数えるほうが影響が大きい場面があります。

なお、月末で調整することで動くのは社会保険料のほうです。月末に辞めるか前日に辞めるかで何が変わるかは退職日を月末にするか、前日にするかにまとめました。

短時間勤務で働いている場合は、そもそも雇用保険に加入しているかどうかから確認が必要です。給与明細の控除欄に雇用保険料が引かれていなければ、被保険者ではありません。

「通算」なので、同じ会社で続いていなくてもよい

引用にある「通算して12か月以上」は、離職の日以前2年間という枠の中であれば、複数の勤務先の期間を合わせて数えられると読めます。転職して1年ほどで次を辞める場合、前の会社の期間が枠に入っていれば足りることがあります。

ただし、過去に基本手当を受給していた場合にその前の期間をどう扱うかは、このページには書かれていません。書かれていないことを推測して判断しないでください。 受給歴がある人は、離職票を持ってハローワークで確認する手順になります。

「失業の状態」の定義は、思っているより狭い

もうひとつの要件が失業の状態です。定義はこう示されています。

ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。

「いつでも就職できる能力がある」ことが要件に含まれています。 続いて、当てはまらない例が挙げられています。そのなかに次があります。

定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき

疲れきって辞める人にとって、ここは無視できない部分です。定年後に働き続ける場合は基本手当ではなく別の給付になるので、高年齢雇用継続給付金は賃金が75%未満に下がったときを参照してください。同じページには、病気やけがのためすぐに就職できないとき、妊娠・出産・育児のためすぐに就職できないときも挙げられています。辞めた直後にまず休みたい、という状態は、この要件からは外れます。

体調を理由に辞めるかどうかを考えている場合は、在職中にしか判断できない制度があります。退職日の決め方に関わる部分は体調で辞める前に|傷病手当金と退職日にまとめています。

なお、受給が始まった後にアルバイトをすること自体は禁じられていません。1日4時間と週20時間という2本の線があり、働いた日の給付は消えるのではなく後ろに繰り越されます。ただし申告は収入の有無を問わず必要です。線の引かれ方は失業保険とバイト|4時間と20時間にまとめました。

休んでから受け取りたいときは、受給期間の延長がある

すぐに求職できない事情がある場合に、給付そのものを諦める必要はありません。

雇用保険の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)ですが、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。ただし、延長できる期間は最長で3年間となっています。

基本の枠は1年です。 所定給付日数(何日分もらえるか)が枠に収まらないほど長い人は、例外の扱いになります。多くの人は「離職の翌日から1年」で考えて構いません。

延長できるのは「働くことができなくなった日数だけ」で、事情が無くても後ろへずらせるものではありません。申請が要る点も同じです。 30日以上働けなくなった日の翌日以降に、早期に申請することが原則と書かれています。

育児休業から復帰せずに辞める場合は、育児休業給付のほうの扱いも関わります。当初から退職を予定していたかどうかで支給の可否が変わり、受給中に辞めた場合の範囲は2025年4月に変わりました。線引きは育児休業給付金をもらってから辞められるかに整理しました。

求職の申込みをした後に働けなくなった場合は、延長とは別の制度になります。15日以上続くときは、雇用保険の傷病手当が基本手当の代わりに出ます。健康保険の傷病手当金とは別物で、名前だけが似ています。この2つの区別は雇用保険の傷病手当は受給中に働けなくなったときに整理しました。

なお、「延長」という言葉は別の制度にも使われます。そちらは受け取れる期間ではなく、給付日数そのものが増えるもので、本人の申請ではなく安定所長の認定で決まります。2つの違いは失業保険の延長は2つの意味があるに整理しました。

所定給付日数離職した日の翌日から数える枠

  1. 原則1年間
  2. 330日1年と30日
  3. 360日1年と60日
受給期間の枠(ハローワークの案内)。多くの人は「離職の翌日から1年」で考えてよい
「失業の状態」が就職意思や求職行動で限定されている点と、すぐ受け取る経路と受給期間を延長して後日受け取る経路の違い、受給後に必要な書類を示したイメージ図です

金額の目安をこの記事に書かない理由

1日あたりの金額の決め方も同じページに書かれています。

この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。

賞与が除かれる点と、賃金が低い人ほど率が高くなる点が読み取れます。手取りベースではなく、直前6か月に決まって支払われた賃金が計算の元になります。

そのうえで、上限額があります。

基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています。

この記事には、その金額を転記していません。 引用元では金額の表に日付が添えられており、実際、2026年8月16日に確認したときは「(令和8年8月1日現在)」に変わっていました。上限額は毎年8月1日付で見直されます。日付を見ずに金額だけ読むと、古い額を前提にすることになります。

金額の決まり方と、その日付時点の上限額は失業給付はいくらもらえるか|上限額は毎年8月に変わるに整理しました。そちらでは日付そのものを逐語で引用しているので、改定されれば出典の検査で分かります。

辞める前に確認する順序

要件のうち、辞めた後では変えられないものから並べると次のようになります。

  1. 雇用保険に加入しているか(給与明細の控除欄で分かる)。条文は「入る条件」ではなく「適用しない人」を並べる形なので、除外にあたらなければ届出が無くても被保険者です。除外の中身は雇用保険に入る条件|条文は「入らない人」を書いているに整理しました
  2. 11日以上または80時間以上の月が、2年間の枠内に12か月あるか
  3. 足りない場合は、区分が変わらないかを見る。特定受給資格者(倒産や解雇で辞めた人)か、特定理由離職者(やむを得ない理由で辞めた人)にあたらないか
  4. 辞めた後すぐに求職活動ができる状態か。できないなら延長の申請を前提に考える

在職中に転職活動をするか、辞めてから探すかという判断にも直結します。収入の空白をどう見るかは仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかに整理しています。

そもそも雇用保険に入っていたかどうかが不確かな場合は、雇用保険の加入条件は週20時間と31日で確認してください。週の所定労働時間と見込み期間で決まり、本人の希望では変わりません。条件は雇用保険の加入条件|週20時間の線にまとめました。

まとめ

  • 失業給付の要件は「失業の状態」と「被保険者期間」の2つ
  • 一般の離職者は離職の日以前2年間に通算12か月。特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月
  • 被保険者期間は暦の月では数えない。離職日から1か月ごとに区切り、賃金支払いの基礎日数が11日以上(または80時間以上)ある月だけを数える
  • 「通算」なので、2年間の枠内なら複数の勤務先の期間を合わせられる
  • 「しばらく休養しようと思っているとき」は失業の状態に当てはまらない
  • 受給期間は離職の翌日から原則1年。30日以上働けない事情があるときは、申請により延長できる

自分の被保険者期間が足りているかは、離職票が出てからでなくても、給与明細と入社日から見当がつきます。辞める時期を決める前に数えておくと、判断の材料が1つ増えます。

受給資格を満たしたあと、実際にいつから受け取れるかは失業保険はいつから受け取れるかに分けて書きました。

加入期間が12か月に届かないときは、特定理由離職者に当たるかを確かめます。条文上の範囲は特定理由離職者は条文では2種類しかないにまとめました。

65歳以上で辞めた場合は、そもそも基本手当ではなく一時金になります。日数と要件は高年齢求職者給付金は一時金で出るに分けました。

受給できる期間を止められる場合もあります。起業して事業に専念するときで、申出の期限が短いので失業保険の受給期間は延長できるを先に見てください。

要件を満たしたあとに要るもの

受給資格があることと、実際に振り込まれることは別です。基本手当は求職活動の実績を認定日ごとに確かめて支給されます。 要件を満たしていても、実績が無ければその回は出ません。

何をすれば1回として数えるかは求職活動実績は何をすれば1回かにまとめました。

求人を見ただけでは実績になりません。数える対象に挙げられているのは、求人者に面接したことです。職業紹介事業者等から職業を紹介され、または職業指導を受けたことも別に挙げられています。JAIC就職カレッジは、面接の前に無料の就職支援講座を用意していると公式サイトで案内しています。

ただし何回として数えるかを決めるのは、認定を行う窓口です。申告する前に聞いてください。

出典