失業給付の受給中に働けなくなったら
求職活動ができない期間は、基本手当が出ない
失業給付の基本手当は、働ける状態にあって求職活動をしていることが前提になっています。したがって、受給中に病気やケガで動けなくなると、その期間は基本手当の対象から外れます。
収入が止まっている時期に体調を崩すと、給付まで止まることになります。ここに用意されているのが雇用保険の傷病手当です。ハローワークインターネットサービスの説明はこうです。
傷病手当とは、受給資格者が離職後、公共職業安定所に来所し、求職の申込みをした後に15日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、その疾病又は負傷のために基本給付の支給を受けることができない日の生活の安定を図るために支給されるものです。
読むべき条件が3つ入っています。求職の申込みをした後であること、15日以上引き続いていること、その理由が疾病または負傷であることです。
健康保険の傷病手当金とは別の制度
紛らわしいのは名前です。健康保険には傷病手当金があり、雇用保険には傷病手当があります。一文字違いですが、保険者も要件も別です。
| 健康保険の傷病手当金 | 雇用保険の傷病手当 | |
|---|---|---|
| いつの話か | 在職中に始まり、条件を満たせば退職後も続く | 離職して求職の申込みをした後 |
| 窓口 | 加入していた健康保険の保険者 | ハローワーク |
| 前提 | 働けない状態にあること | 失業給付の受給資格があること |
在職中に体調を崩して辞める場合の話は体調で辞める前に|傷病手当金と退職日にまとめています。退職日の決め方で結果が変わるので、辞める前の人はそちらが先です。
そして、両方を同時に受け取ることはできません。ハローワークインターネットサービスには次の記載があります。
疾病又は負傷について他の法令により行われる類似の給付を受ける日については支給されません。
健康保険の傷病手当金を受けている日は、こちらの対象にならないという意味になります。どちらに当たるかは自分の状況で決まるので、両方の窓口に同じ話をして確認するのが確実です。
14日以内と15日以上で扱いが分かれる
短い体調不良のたびに手続きが要るわけではありません。
14日以内の疾病又は負傷の場合には基本手当が支給されます。
14日以内なら基本手当のままです。 失業の認定日に申告することになりますが、給付そのものが止まるわけではありません。15日以上引き続いた場合に、傷病手当という別の枠に切り替わります。
金額の心配については、こう書かれています。
傷病手当の日額は基本手当の日額と同額です。
日額は変わりません。 傷病手当に切り替わることで金額が下がる、ということはないと読めます。ただし支給される日数は基本手当の所定給付日数の範囲で数えられるため、受け取れる総額が増えるわけでもありません。
30日以上のときは、延長という選択もある
長く続く場合には別の道があります。
受給資格者の申出によって、基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できます。
受給期間は原則として離職の翌日から1年間で、そこに最長3年の延長が加わるため合計で最大4年になります。受給期間そのものの考え方は失業給付の受給要件|被保険者期間の数え方で扱っています。
傷病手当はいま受け取るもので、受給期間の延長は後ろにずらすものです。同じ状況に対して性質の違う2つが用意されていることになります。
なお、延長した後に同じ理由で傷病手当を申請した場合、支給日数は延長がなかった場合の日数が限度になるとされています。両方を重ねて総額を増やす形にはなっていません。
どちらを選ぶかは、療養に見込まれる期間と、その後に働ける見通しによって変わります。ここは制度の説明ではなく個別の判断になるので、ハローワークの窓口で自分の状況を話してください。 体調そのものについては医療機関に相談する話で、この記事の範囲ではありません。
認定を受ける期限がある
手続きにも期限があります。
職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の認定日までに居住地を管轄する公共職業安定所で傷病の認定を受けなければなりません。
回復してから最初の認定日までが区切りになります。落ち着いてから思い出した頃には過ぎている、ということが起こりえます。
負担を減らす記載もあります。傷病手当支給申請書は、本人以外の代理人による提出や郵送でも差し支えないとされています。動けない状態のまま窓口へ行くことが前提にはなっていません。
申請書には医師の証明が必要になるため、受診した記録が残っている必要があります。体調を崩した時点で医療機関にかかっておくことが、結果として手続きの条件を満たすことにつながります。
求職の申込みより前に動けなくなった場合
条件の1つ目は「求職の申込みをした後」でした。辞めた直後に体調を崩して、ハローワークに行くこと自体ができていない場合は、この手当の対象になりません。
その場合に使えるのが受給期間の延長のほうです。30日以上働けない状態が続いていることが条件になります。手続きには期限があるので、動けるようになった時点で早めに確認してください。
離職票が手元にないという理由で止まっている場合は、退職後に会社から受け取る書類を確認してください。書類が届いていないだけであれば、請求できる相手が決まっています。
まとめ
- 求職の申込み後に15日以上働けない状態が続くと、基本手当ではなく傷病手当の対象になる
- 14日以内なら基本手当が支給される
- 傷病手当の日額は基本手当の日額と同額
- 健康保険の傷病手当金とは別の制度。他の法令の類似の給付を受ける日は支給されない
- 30日以上のときは受給期間を最大4年まで延長できる。傷病手当とは性質が違う
- 認定は、理由がやんだ後の最初の認定日までに受ける必要がある
- 申請書の提出は代理人や郵送でも差し支えないとされている
該当するかどうかは個別の事情で変わります。手続きの可否は、住居地を管轄するハローワークで確認してください。