失業保険とバイト|4時間と20時間で変わる
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「働いたら止まる」と思って申告しない人がいる
失業給付を受けている間に、生活費が足りずアルバイトを考える人がいます。このとき二通りの誤解が起きます。
ひとつは「働いたらその分の給付は消える」という誤解。もうひとつは「少しなら黙っていても分からない」という誤解です。
実際には、働いた日の給付は消えるのではなく後ろにずれる扱いがあります。 そして黙っていることのほうに、給付の停止と返還という重い結果が用意されています。
線は2本あります。1日4時間と、週20時間です。どちらの線をまたぐかで扱いが変わります。

まず、働いたら申告する
ハローワーク渋谷は、受給期間中のアルバイトについてこう案内しています。
パート、アルバイト、研修等の名称、及び収入の有無を問わず、認定日に申告をしてください。原則として、1日の労働時間が4時間未満の場合は、「内職・手伝い」となり、1日の労働時間が4時間以上の場合は、「就労・就職」となります。
読み落とされやすいのは「収入の有無を問わず」のほうです。給料が出ていなければ申告しなくてよい、ではありません。
全国共通の様式である失業認定申告書の注意書きにも、同じことが書かれています。
なお、賃金などの報酬がなくても就職又は就労したことになるものであること
無給の研修や、知人の仕事の手伝いも対象に入り得るということです。判断するのは自分ではなくハローワークなので、まず出すのが申告書の役割です。
1日4時間以上働いた日
4時間の線を超えた日は「就労」として扱われます。ハローワーク神戸の案内です。
4時間以上のアルバイト等(就労)をした日数分、認定期間のお支払いできる日数から差し引かれます。差し引いた日数については、後の認定期間以降に繰り越しとなり、受給期間内であれば受け取ることができます。
ここが冒頭の誤解に対する答えです。差し引かれた日数は消えるのではなく、後ろに繰り越されます。 28日間の認定期間のうち3日働けば、その回は25日分になり、残りの3日分は支給の終わりのほうに回ります。
ただし条件がついています。「受給期間内であれば」の部分です。
失業給付には受給期間という別の期限があり、原則として離職日の翌日から1年です。繰り越した先がこの満了日を越えると、越えた分は受け取れません。 所定給付日数(何日分もらえるか)が多い人や、受給の開始が遅れた人ほど、この壁に近いところにいます。
働いた日数が多いほど終わりが後ろにずれるので、期限までの余白がどれだけあるかは先に数えておいたほうが確実です。受給の開始時期がどう決まるかは失業保険は自己都合だといつから受け取れるかにまとめています。受け取れる立場かどうかの要件は辞める前に|失業給付の受給要件のほうです。
1日4時間未満の日
4時間に届かない日は「内職・手伝い」の扱いになります。
4時間より短い時間のアルバイト等(内職)をした日に関しては、給料が入り次第、失業保険の基本手当日額から減額または4時間以上の就労と同様に繰り越しになります。
短時間なら影響がない、ではありません。収入の額によって、その日の基本手当が減らされることがあります。 また「給料が入り次第」とあるとおり、判定は働いた日ではなく収入が入った日を基準に動きます。働いた月と申告する月がずれることになります。
減額の金額をこの記事に書いていない理由
減らされる額の計算には、収入から差し引く控除額という数字が使われます。この控除額は毎年8月1日に見直されます。直近では厚生労働省が令和7年7月22日の報道発表で、同年8月1日からの変更を公表しています。
つまり、記事に金額を書いた時点で、翌年の8月には古くなります。ハローワーク神戸自身も、金額については窓口に送っています。
減額金額は窓口にてお問い合わせください。
自分がいくら減るかは、実際に働く前に窓口で確認してください。 この記事で確認できるのは、減額という仕組みがあることと、それが収入額で動くことまでです。
週20時間を超えると「就職」になる
もう1本の線が週20時間です。1日ごとの調整では済まなくなります。
なお、パート、アルバイト等の名称であったとしても、週20時間以上の継続的な仕事に就いた場合は「就職」と取り扱うことになります。
呼び方がアルバイトでも、継続して週20時間以上なら「就職」として扱われるということです。そうなると基本手当の支給は終わります。同じ週20時間は雇用保険に入る側の条件でもあるので、そのまま被保険者になります。線の引き方は雇用保険の加入条件は週20時間と31日にまとめました。
ただし、これは損だけの話ではありません。就職として扱われる場合、所定給付日数が残っていれば再就職手当の対象になり得ます。要件には就職の経路や雇用の見込みに関するものが含まれるため、決めてから調べるのでは間に合わないことがあります。要件は再就職手当|早く決まると残りが戻るにまとめています。
その再就職手当を受けたあとに、賃金が前より低い場合の手当がもう1つあります。同じ会社に6か月と、申請できる期間が2か月だけという条件がつきます。就業促進定着手当は賃金が下がったときに出るに整理しました。
週20時間は、雇用保険の被保険者になるかどうかの線でもあります。 短期のつもりで始めた仕事が継続的なものになっていくと、扱いが変わる位置に近づきます。
待期の7日は「働かなかった日」で数える
見落とされやすいのが、受給が始まる前の期間です。
初めて失業保険の手続きに来所した日(受給資格決定日)から失業状態にあった日が通算して7日間経過するまでは、失業保険を受け取ることができない期間(待期)になります。
数えているのはカレンダーの7日ではなく「失業状態にあった日」の通算です。就労として扱われる日は失業状態にあった日に当たらないため、待期の満了はその分だけ後ろに動くことになります。
待期が終わらなければ支給は始まりません。手続き直後の1週間に仕事を入れると、受給の開始そのものが遅れることがあります。 どの日が通算されるかは働き方によって変わるので、待期中に働く予定があるなら先に窓口で確認してください。

1日の労働時間ごとの扱い
ここまでを1枚にすると次のようになります。
働き方給付への影響
- 1日4時間未満減額または繰り越し内職・手伝いとして扱われる。収入額による
- 1日4時間以上その日は支給されない就労として扱われる。日数は後ろへ繰り越し
- 継続して週20時間以上基本手当は終了就職として扱われる。再就職手当の対象になり得る
- 待期中に働いた日待期の満了がずれる失業状態の日に算入されない
いずれの場合も、申告そのものは必要です。扱いを決めるのは申告を受けたハローワークで、申告するかどうかを選べる仕組みにはなっていません。
申告しなかった場合
失業認定申告書の注意書きは、この点を正面から書いています。
申告しなければならない事柄を申告しなかったり、偽りの記載をして提出した場合には、以後失業等給付を受けることができなくなるばかりでなく、不正に受給した金額の返還と更にそれに加えて一定の金額の納付を命ぜられ、また、詐欺罪として刑罰に処せられることがあること。
返還だけでは終わらない構造になっています。 以後の給付が受けられなくなること、返還に加えて納付を命じられること、刑罰の対象になり得ることが並んでいます。
繰り返しになりますが、正しく申告した場合の4時間以上の就労は、日数が後ろにずれるだけです。申告して失うものと、申告せずに失う可能性のあるものが、まったく釣り合っていません。
なお、申告した内容は事業所への事実確認が行われる場合があります。認定日ごとの申告で何が求められるかは失業給付の求職活動実績|何が数えられるかで扱っています。
働く前に決めておくこと
順序としては、次の4つを先に決めておくと申告で迷いません。
- 1日の労働時間を4時間で区切る。 4時間ちょうどは「以上」の側に入ります
- 週の合計時間を20時間未満に収めるか、就職として扱われる前提で動くかを決める。 中途半端が一番読みにくくなります
- 働いた日、その日ごとの労働時間、事業所名、給与の締め日と支給日を記録する。 ハローワーク神戸は、この4点と4時間未満の日の収入額を窓口に持参するよう案内しています
- 待期中と、認定日の直前は避ける。 待期は満了が遅れ、直前の勤務は収入の申告が次回に持ち越されます
働く時間を決める前に、いつ決まりそうかを見る
4時間と20時間の線をどう使うかは、就職までにどれくらいかかりそうかで変わります。短く終わりそうなら日数を繰り越すほうが得ですし、長引きそうならその間の収入を作る話になります。
見込みを立てるには、求人の側を先に見ることになります。ハローワークの求人と民間のエージェントの求人は重なっていないので、両方を見ないと期間の見当がつきません。
エージェントに登録すること自体は、失業給付の扱いに影響しません。影響するのは働いた時間と収入のほうです。求職活動の実績になるかは求職活動実績になるものにまとめました。
バイトで食いつなぐ期間が長くなるほど、受給期間の1年が近づきます。先に求人を見て、決まるまでの見当をつけておくほうが、働き方も決めやすくなります。未経験から正社員を目指す場合はJAIC就職カレッジのような窓口もありますが、18歳から35歳までという条件と、対象になる地域の条件があります。
まとめ
- 名称や収入の有無を問わず、働いたら認定日に申告する
- 1日4時間以上は「就労」。その日は支給されないが、日数は後ろに繰り越される
- 繰り越せるのは受給期間内まで。原則として離職日の翌日から1年という別の期限がある
- 1日4時間未満は「内職・手伝い」。収入額により減額されることがある
- 減額に使う控除額は毎年8月1日に見直されるため、金額は窓口で確認する
- 継続して週20時間以上は「就職」扱い。再就職手当の対象になり得る
- 待期の7日は「失業状態にあった日」の通算なので、働くと満了が後ろにずれる
この記事は東京労働局(ハローワーク渋谷)と兵庫労働局(ハローワーク神戸)の案内、および全国共通様式の失業認定申告書にもとづいています。個別の判断は管轄のハローワークで確認してください。 同じ働き方でも、雇用保険の被保険者になるかどうかなどの事情で扱いが変わることがあります。