広域求職活動費と移転費|面接と引っ越しの費用が出る
本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
この記事の見出し(13)
失業給付というと基本手当(毎月振り込まれる失業手当のこと)だけが知られていますが、雇用保険には探すためにかかった費用を出すしくみもあります。
遠くの会社へ面接に行く旅費、そこで泊まる宿泊料、決まってからの引っ越し代。どれも条文に額が書かれています。
名前が4つある
雇用保険法59条1項は、支援費が出る場面を並べています。
求職活動支援費は、受給資格者等が求職活動に伴い次の各号のいずれかに該当する行為をする場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。
各号は3つで、そこに別の条(58条)の移転費を加えると4つになります。
| 名前 | 何のため | 条 |
|---|---|---|
| 広域求職活動費 | 遠くの会社へ面接に行く | 規則96条 |
| 短期訓練受講費 | 短い講座を自費で受ける | 規則100条の2 |
| 求職活動関係役務利用費 | 面接の間に子どもを預ける | 規則100条の6 |
| 移転費 | 決まった先へ引っ越す | 法58条 |
金額はどれも雇用保険法施行規則にあり、ハローワークの案内より細かく決まっています。

面接の旅費と宿泊料
広域求職活動費は、安定所の紹介で遠くの会社を訪ねるときに出ます。旅費に加えて宿泊料が付きますが、距離の条件があります。
規則98条2項によると、宿泊料は1泊8,700円です。ただし訪問先を管轄する安定所が大都市圏の外にある場合は7,800円になります。そして鉄道賃の計算のもとになる距離が400キロメートル未満だと、宿泊料は出ません。
泊まれる数も表で決まっていて、訪ねる会社が3か所以上か2か所以下かで変わります。400〜800キロメートルなら3か所以上で2泊、2か所以下で1泊です。
つまり「遠い会社を、まとめて回るほど手厚い」という組み方になっています。
講座の費用は2割が戻る
短期訓練受講費は、安定所の職業指導を受けて短い講座を受け、修了したときに出ます。規則100条の3に額があります。
短期訓練受講費の額は、受給資格者等が前条に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用の額に百分の二十を乗じて得た額(その額が十万円を超えるときは、十万円)とする。
払った額の20%で、上限は10万円です。対象は入学料と受講料に限られます。
教育訓練給付金を受けた講座は対象外です。同じ講座で二重には出ません。教育訓練給付のほうは教育訓練給付金は誰が使えるかにあります。
子どもを預けた費用は8割
求職活動関係役務利用費は、面接や訓練の間に保育などのサービスを使ったときに出ます。規則100条の7では、負担した費用の80%です。
1日あたり8,000円が上限で、日数にも上限があります。面接等をした日は15日まで、訓練を受けた日は60日までです。
引っ越しは、移転料と着後手当に分かれる
移転費は法58条1項にあります。
移転費は、受給資格者等が公共職業安定所、職業安定法第四条第九項に規定する特定地方公共団体若しくは同法第十八条の二に規定する職業紹介事業者の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。
中身は規則87条で6つに分かれます。鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・移転料・着後手当です。
移転料は距離で決まり、規則89条の表では50キロメートル未満の93,000円から2,000キロメートル以上の282,000円まであります。これは家族を連れて動く場合の額で、単身なら半分になります。
着後手当は規則90条にあります。
着後手当の額は、親族を随伴する場合にあつては七万六千円(鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が百キロメートル以上である場合は、九万五千円)とし、親族を随伴しない場合にあつては三万八千円(鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が百キロメートル以上である場合は、四万七千五百円)とする。
単身で100キロメートル以上動けば47,500円です。これは旅費や移転料とは別に付きます。
船や車で行くと、距離が4倍で計算される
読み落としやすい規定が2つの条に同じ形で入っています。規則89条2項と98条3項です。船賃か車賃をもらう人は、その計算のもとになる距離の4倍を、鉄道賃の距離に含めて計算します。
宿泊料が出る境目は400キロメートルなので、船や車で100キロメートル動けばその条件を満たす計算になります。移転料の表も同じように上の段へ動きます。
離島や、鉄道の通っていない地域から動く人ほど有利になるという組み方です。自分の経路がどれに当たるかは、安定所の窓口で計算してもらうことになります。
会社から出るなら、その分は引かれる
どちらにも同じ条件が入っています。規則86条2号です。
当該就職又は公共職業訓練等の受講について、就職準備金その他移転に要する費用(以下「就職支度費」という。)が就職先の事業主、訓練等施設の長その他の者(以下「就職先の事業主等」という。)から支給されないとき、又はその支給額が移転費の額に満たないとき。
就職先が引っ越し代を出すなら、その分は出ません。足りない場合は差額だけが出ます(規則91条)。広域求職活動費も同じで、訪問先の会社が交通費を出すなら、その分は引かれます。
だから面接の案内が来たら、交通費が出るかどうかを先に聞くことになります。
待期と給付制限が明けてからでないと出ない
もう1つ共通の条件があります。規則86条1号と96条1号は、待期(法21条)や給付制限(法32条)の期間が過ぎた後であることを求めています。
自分の意思で辞めた場合は給付制限があるので、その間に面接へ行っても対象外です。給付制限そのものは失業保険は自己都合だといつからもらえるかにまとめました。

申請には期限がある
もらい忘れが起きやすいのはここです。
| 名前 | 期限 |
|---|---|
| 移転費 | 移転の日の翌日から1か月以内(規則92条) |
| 短期訓練受講費 | 講座を修了した日の翌日から1か月以内(規則100条の4) |
引っ越して落ち着いてから思い出しても、1か月を過ぎていれば出ません。先に安定所へ相談しておくほうが確実です。
使えるかを確かめる順番
- その面接や講座は、安定所の紹介か職業指導によるものか
- 待期と給付制限は明けているか
- 相手先から費用が出るか、出るとしていくらか
- 動いた日から1か月以内に申請できるか
1つ目が要になります。自分で見つけた求人に自分で行った場合は対象になりません。安定所での探し方は失業給付の求職活動実績|何が数えられるかに整理しました。
ただし1つ目は、制度によって条件が違います。次の2つの節で分けます。
面接の旅費は、安定所の紹介に限られる
広域求職活動費の根拠は法59条1項1号です。
公共職業安定所の紹介による広範囲の地域にわたる求職活動
「公共職業安定所の紹介による」と書かれています。民間の転職エージェント経由の面接は対象になりません。
だから遠方の会社を受けるときの選び方はこうなります。
ハローワークの紹介
- 要件を満たせば広域求職活動費が出る
民間のエージェント
- 制度の対象外
- 会社が出すかは会社しだい
違うのはどこ経由で受けるか。エージェントを使う場合、旅費が出るかは求人ごとに違う
エージェントを使う場合、旅費が出るかは求人ごとに違うので、応募する前に担当者へ聞く項目になります。遠方の求人を扱っているかどうかも、エージェントによって差が出ます。
引っ越し代のほうは、民間の紹介でも出る
移転費は条件が違います。規則86条が支給の要件をこう定めています。
移転費は、受給資格者等が公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者(職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)第十三条の二第二項に規定する者を除く。第九十四条及び第九十五条において同じ。)の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合であつて、次の各号のいずれにも該当するときに支給するものとする。
「職業紹介事業者」が並んでいます。法58条1項の書き方も同じです。広域求職活動費の59条1項1号が「公共職業安定所の紹介による」と限定しているのと違います。
括弧の中の除外は、職業安定法施行規則13条の2第2項にあります。
法第十八条の二の厚生労働省令で定めるものは、法第三十二条の九第二項(法第三十三条第四項、第三十三条の二第七項及び第三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定により職業紹介事業の全部又は一部の停止を命じられている者及び法第四十八条の三第一項の規定により業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命じられている者(当該必要な措置を講じていない者に限る。)とする。
外れるのは、事業の停止を命じられている事業者と、業務改善命令を受けて措置をしていない事業者です。処分を受けていない事業者は、条文の側では対象に入ります。
面接の旅費(広域求職活動費)
- 対象外
- 59条1項1号が「公共職業安定所の紹介による」と限定
引っ越し代(移転費)
- 条文の側では対象
- 58条と規則86条に「職業紹介事業者」が並ぶ
違うのは条文の書き方。同じ求人でも、行きの旅費と引っ越し代で扱いが分かれる
ただし出るかどうかを決めるのは安定所です。規則86条1号は、管轄公共職業安定所の長が住所又は居所の変更を必要と認めたとき、としています。条文の対象に入ることと、認められることは別です。
金額は上に書いたとおりで、移転料が93,000円から282,000円、着後手当が単身で38,000円です。面接の旅費が出ないからといって、引っ越し代まで諦める必要はありません。 民間の紹介で遠方に決まったら、引っ越す前に安定所へ確かめてください。
ハローワークの求人と民間の求人は重なっていないので、両方を見ておくと選べる範囲が広がります。エージェントの実績の調べ方は転職エージェントの実績は人材サービス総合サイトで調べられるにまとめました。
遠方から就職する場合、そのエージェントがどの地域の求人を扱っているかが先に来ます。記事末尾の表に挙げたJAIC就職カレッジは、成果の対象になる地域を12都府県に定めています。東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・岐阜・三重・大阪・京都・兵庫・福岡・熊本です。住んでいる場所ではなく、就職を希望する地域のほうで区切られています。だから地方から都市部へ移る場合が、そのまま対象に入ります。
運営の株式会社ジェイックは有料職業紹介事業の許可を受けています。有価証券報告書に、許可の有効期間が2023年8月1日から2028年7月31日までと記載されています。上に書いた移転費の条文でいえば、職業紹介事業者にあたります。
まとめ
- 雇用保険には、探すためにかかった費用を出すしくみが4つある
- 広域求職活動費の宿泊料は1泊8,700円(大都市圏の外は7,800円)。400キロメートル未満では出ない
- 短期訓練受講費は払った額の20%、上限10万円。教育訓練給付を受けた講座は対象外
- 求職活動関係役務利用費は保育などの費用の80%。1日8,000円、面接は15日まで
- 移転料は距離で93,000円から282,000円。単身は半額。着後手当は単身で38,000円(100キロメートル以上は47,500円)
- 相手先から費用が出るなら、その分は引かれる
- 待期と給付制限が明けた後の行動でないと対象にならない
- 移転費と短期訓練受講費は、動いた日の翌日から1か月以内に申請する