転職エージェントの使い方|渡す情報の範囲
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転職エージェントに登録すると、経歴も連絡先も相手に渡ります。
「どこまで話すべきか」「後で使われないか」と気になったときに、線を引いているのは法律です。 会社ごとの方針より先に、そちらを見ておきます。
集めてよい範囲が決まっている(職業安定法5条の5・規則4条の4)
職業安定法に、こう書かれています。
公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。
長いので、効くところだけ取り出します。
- 業務の目的の達成に必要な範囲内で集める
- 目的を明らかにして集める
- 収集の目的の範囲内で保管し、使用する
つまり「何のために聞くのか」を示さずに集めることは想定されていません。答えにくい質問が来たときに、何に使うのかを聞き返してよいということです。
管理についても定めがあります。
公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
目的は「見られる形」で示すことになっている(規則4条の4)
その目的をどう示すかも、施行規則に書かれています。
法第五条の五第一項の規定により業務の目的を明らかにするに当たつては、インターネットの利用その他適切な方法により行うものとする。
インターネットの利用が例に挙がっています。つまり、登録前にサイト上で確かめられる形が想定されています。
登録画面のどこにも書かれていない場合は、そこが1つの判断材料です。利用規約やプライバシーポリシーに、何のために集めてどう使うかが書かれているかを見てから登録すると、後で困りません。

何を答えるかで迷ったとき
実際に聞かれて迷うのは、他社の選考状況、現在の年収、家族のこと、健康状態などです。
判断の順番はこうなります。
- その質問は、紹介という目的に必要か
- 必要だとして、何に使うと説明されたか
- 説明が無いなら聞く
紹介の質を上げるために必要な情報と、こちらの立場を弱くする情報は別です。他社の選考が進んでいるかどうかは、前者にも後者にもなり得ます。答えたくないなら、答えない理由を述べる必要はありません。
求人を受けない場合が条文にある(5条の6第1項)
エージェント側にも、受け取ってはいけない求人があります。職業安定法は原則として全ての求人を受理するとしたうえで、例外を並べています。
その内容である賃金、労働時間その他の労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当であると認められる求人の申込み
第五条の三第二項の規定による明示が行われない求人の申込み
後者は、求人企業が労働条件を明示しなかった求人です。条件を出さない求人は、そもそも受け付けないことができます。
だから「条件は面談で」と言われて中身が出てこないときは、求人票に何が書かれているかを確かめてよい場面になります。求人票の読み方は求人票の見方にまとめました。
苦情を言う先も決まっている(43条の7)
うまくいかなかったときの定めもあります。
募集情報等提供事業を行う者は、労働者になろうとする者、労働者の募集を行う者、募集受託者、職業紹介事業者その他厚生労働省令で定める者から申出を受けた当該事業に関する苦情を適切かつ迅速に処理しなければならない。
苦情の処理が義務として書かれています。続く条では、そのための体制を整えることも求められています。
有料職業紹介事業者のほうには、苦情の処理に関する事項をあらかじめ明示する定めが別にあります。つまり契約する前に、苦情の窓口を知らせることになっています。
複数使うか、1社に絞るか
法律の側から見ると、複数使うことを妨げる定めはありません。求職者から手数料を取れないので、こちらの費用も増えません。仕組みは転職エージェントはなぜ無料なのかにあります。
実際の使い分けは、立場の違いで決めるのが分かりやすくなります。求人を紹介する立場と、エージェントを引き合わせる立場では届出が違います。前者は許可、後者は届出です。確かめ方は未経験のIT転職は許可番号を確認するにまとめました。
求人を紹介する
- 許可を受けて行う
- 許可番号を名乗る
- 求職者からは手数料を取れない
エージェントを引き合わせる
- 届出をして行う
- 届出受理番号を名乗る
- 紹介するのは求人ではなく相手先
求人そのものを持っているかどうか。持っていない側は、条件の交渉も相手先に移る
もう1つの軸は、研修まで含むかどうかです。求人の紹介だけを受ける形と、JAIC就職カレッジのように面接対策や研修を組み合わせる形では、渡す情報の量も時間の使い方も変わります。こちらは18歳から35歳までと、就職を希望する地域に条件があります。
入口の形も窓口で違います。キャリナビ転職は、申し込みがLINEの友だち追加から始まります。面談の日程をそこで決めてから、相談に進む流れです。最初に渡すものがフォームの入力か、LINEの表示名かという違いになります。対象は20歳から34歳までです。
求人を受けない場合の続き
先ほどの例外には、もう1つ読者に効くものがあります。労働に関する法律に違反して処分や公表を受けた事業者からの求人も、受理しないことができるとされています。
つまり、紹介される求人は素通しではありません。ハローワークや職業紹介事業者を通す意味の1つがここにあります。自分で直接応募する場合には、この選別が働きません。
とはいえ受理しないことが「できる」という書き方なので、必ず外れるわけではありません。最後は自分で確かめることになります。確かめる材料は求人票と、会社が答えなければならない数字です。

面談で何を持っていくか
初回の面談で用意しておくと話が早いものがあります。
- 直近の勤務先の在籍期間(雇用保険に入っていた月数が分かるとなおよい)
- 希望する勤務地と、譲れない条件を2つか3つ
- 応募を避けたい業界や企業があるならその名前
譲れない条件を先に出しておくと、合わない求人が減ります。逆に「特にありません」と答えると、紹介の幅は広がりますが精度は落ちます。
在職中か離職後かで動き方が変わる点は20代の転職は在職中かで順序が変わるにまとめました。
断るときに気にしなくてよいこと
紹介された求人を断る、途中でやめる、連絡を止める。どれも契約違反にはなりません。求職者側に費用が発生しないので、違約金のような話も出てきません。
ただし応募して選考が進んだ後の辞退は、相手企業にも影響します。内定辞退の扱いは内定辞退で損害賠償を求められるかにまとめました。
20代なら対象年齢を先に見る
第二新卒向け・20代向けのエージェントには年齢の条件があります。外していると、登録してから断られます。条件の違いは第二新卒は離職者数を聞けると20代の転職は在職中かで順序が変わるに整理しました。
まとめ
- 集められる個人情報は「業務の目的の達成に必要な範囲内」。目的を明らかにして集めることまで条文にある
- 答えにくい質問には、何に使うのかを聞き返してよい
- 労働条件を明示しない求人は、受理しないことができると条文にある
- 苦情の処理は義務。有料職業紹介事業者は窓口を事前に明示する
- 複数使うことを妨げる定めは無い。求職者に費用は発生しない
- 断ることに違約金は発生しない
聞かれたことに全部答える必要はありません。目的を確かめてから決めてください。