第二新卒の転職は離職者数を聞ける
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第二新卒で転職先を探すとき、いちばん怖いのは同じことの繰り返しです。
入ってみたら話が違った。また辞めることになる。それを避けるための情報を、会社に出させる仕組みが法律にあります。
求めれば答えなければならない情報がある(若者雇用促進法13条)
青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)に、こう書かれています。
労働者の募集を行う者及び募集受託者は、学校卒業見込者等募集に当たり、当該学校卒業見込者等募集に応じ、又は応じようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならない。
「求めに応じ」「提供しなければならない」です。 努力義務ではありません。黙っていても出てきません。ただし聞けば出さなければなりません。
「応じようとする」も入っています。応募を決める前に聞いてよいということです。

第二新卒は対象に入るのか(省令2条)
条文の「学校卒業見込者等」という言葉が引っかかります。新卒だけの話に見えますが、対象者は省令が定めていて、そこにこう並んでいます。
学校又は専修学校を卒業した者
卒業した者、です。 在学中の人だけではありません。条文にも省令にも、卒業から何年以内という制限は書かれていません。
ただし条件があります。この義務がかかるのは「学校卒業見込者等であることを条件とした募集」に対してです。第二新卒歓迎・既卒歓迎とうたっている求人はここに当たります。逆に、経験者だけを対象にした求人では、この仕組みは使えません。
何を聞けるのか(省令3条・7条)
省令が挙げている項目のうち、第二新卒にとって重いものを並べます。
まず採用と離職の実数です。
直近の三事業年度に採用した者(新たに学校若しくは専修学校を卒業した者若しくは新たに公共職業能力開発施設若しくは職業能力開発総合大学校の行う職業訓練を修了した者又はこれに準ずる者(以下「新規学卒者等」という。)に限る。)の数及び当該採用した者のうち直近の三事業年度に離職した者の数
採用した人数と、そのうち辞めた人数の両方です。 3年ぶんあるので、たまたま悪かった年かどうかも見分けられます。割合ではなく実数なので、「離職率は低いです」という説明を自分で検算できます。
勤続年数も入っています。
その雇用する労働者の平均継続勤務年数
働き方の側では、次の2つが挙げられています。
その雇用する労働者一人当たりの直近の事業年度における平均した一月当たりの所定外労働時間
その雇用する労働者一人当たりの直近の事業年度において取得した有給休暇の平均日数
残業時間と有給の取得日数が、平均という形で数字になります。面接で「残業は少ないほうです」と言われたときに、これを聞けば数字が出ます。
育成の体制についても項目があります。
新たに雇い入れた新規学卒者等からの職業能力の開発及び向上その他の職業生活に関する相談に応じ、並びに必要な助言その他の援助を行う者を当該新規学卒者等に割り当てる制度の有無
いわゆるメンター制度の有無です。「ある」か「ない」かを答えます。曖昧な返事にはなりません。
聞き方でつまずかないために
3つの区分(募集採用の状況/職業能力の開発/職場への定着)があり、会社はそれぞれから1つ以上を選んで公表します。ただし応募者が求めた場合は、その求めた事項に答えることになります。
つまり**「気になる項目を名指しで聞く」のが確実**です。「御社の情報を教えてください」だと、公表済みのものを案内されて終わります。
聞きにくいと感じるなら、エージェント経由という方法があります。法律は募集する側に義務を課しているので、間に人が入っても義務は消えません。自分の名前で聞きたくない場合の逃げ道になります。
会社側にも努力義務がある(若者雇用促進法4条)
事業主の責務も定められています。
事業主は、青少年について、その有する能力を正当に評価するための募集及び採用の方法の改善、職業の選択に資する情報の提供並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を講ずることにより、雇用機会の確保及び職場への定着を図り、青少年がその有する能力を有効に発揮することができるように努めなければならない。
「その有する能力を正当に評価するための募集及び採用の方法の改善」とあります。短い在職期間だけを見て切り捨てることは、この方向とは逆になります。
聞いたことで態度が変わる会社なら、そこで分かったことになります。情報を出さない、出し渋る。その対応自体が判断材料になります。

公表していない会社もある
この仕組みには限界もあります。3つの区分から1つ以上を選べばよいので、求人票に出ているのは一部だけになりがちです。
出ていない項目を知りたいなら、自分から求めることになります。求人票を見て「これしか書いていない」で終わらせず、書いていない項目こそ聞く価値があると考えてください。公表する項目を会社が選べるということは、選ばなかった項目にこそ差が出ます。
聞くタイミングは、面接より前のほうが動きやすくなります。面接の場で残業時間を問うと、選考への影響を気にして踏み込みにくくなります。応募を決める前なら、まだ相手も自分も構えていません。
数字は自分で計算し直す
答えが返ってきたら、そのまま受け取らずに計算してください。
採用数と離職数が3年ぶんで出るので、割り算をすれば辞めた割合が出ます。このとき見るのは全体の平均ではなく、年ごとの動きです。3年のうち1年だけ跳ね上がっているなら、その年に何かがあったことになります。面接で「この年は何がありましたか」と聞ける材料になります。
残業時間は「一人当たり」「一月当たり」の平均です。部署によって大きく違うことがあるので、平均が小さくても安心はできません。配属予定の部署ではどうかを、続けて聞くのが実際の使い方になります。
有給の平均日数も同じで、付与日数ではなく取得日数です。付与が20日で取得が5日なら、制度はあるが使えていないと読めます。
求人票そのものの見方
この制度で得られるのは会社の側の数字です。求人票に書かれた労働条件が実際と違っていた場合の扱いは、別の法律にあります。条件を変えるときには変えたと明示する義務があり、黙って差し替えることは認められていません。
詳しくは求人票の見方にまとめました。面接から内定までの間に条件が動いたときは、こちらが効きます。
短く辞めたことをどう扱うか
面接では前職を辞めた理由が必ず聞かれます。何を答えるかは退職理由を面接でどう伝えるかにまとめました。聞かれる範囲にも線があります。
離職理由が会社の記載で決まらない点は離職理由は会社の記載で決まらないにあります。自己都合と書かれていても、実態で変わることがあります。
エージェントを使うかどうか
第二新卒向けのエージェントは、対象年齢が決まっています。そこを外していると、申し込んでから断られます。仕組みそのものは転職エージェントはなぜ無料なのかにあります。
上限は窓口によって6歳も違います。このサイトが載せているものだと、UZUZ第二新卒が18〜29歳、JAIC就職カレッジが18〜35歳です。29歳を超えているなら、まず対象年齢で絞り込むところから始まります。
窓口の対象年齢と、求人の側に書かれている年齢制限は別のものです。求人に年齢を書ける場合は省令に限定列挙されています。第二新卒が対象になる「長期勤続によるキャリア形成」の例外もそこです。条文は40代の転職で求人に年齢制限を書ける条件で追いました。
年齢のほかに地域の条件が付くこともあります。JAIC就職カレッジは、就職を希望する地域が東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・岐阜・三重・大阪・京都・兵庫・福岡・熊本のいずれかであることが条件です。運営は株式会社ジェイックで、東京証券取引所と名古屋証券取引所の上場企業(証券コード7073)です。有料職業紹介事業の許可は2026年1月期の有価証券報告書に記載があり、有効期間は2023年8月1日から2028年7月31日までとされています。
上場企業は有価証券報告書で許可を確かめられます。公式サイトに許可番号が見当たらないときの、もう1つの調べ方になります。
なお、在職中に探すか辞めてから探すかで、先に確かめることが変わります。失業給付は、雇用保険に加入していた期間を暦の月ではなく11日以上働いた月で数えるので、辞める前に数えておく必要があります。20代の転職は在職中かで順序が変わるにまとめました。
ここで出させた数字は、そのまま志望動機の材料になります。志望動機が書けないのは情報不足に書き方を整理しました。
面接の逆質問としてそのまま使える形は逆質問は答える義務がある項目からに整理しました。
まとめ
- 第二新卒歓迎の求人には、求めれば答えなければならない情報が法律で決まっている
- 対象者に「学校又は専修学校を卒業した者」が入っていて、年数の制限は条文に無い
- 聞ける中身は、直近3年の採用数と離職数、平均勤続年数、平均残業時間、有給の平均日数、メンター制度の有無
- 離職は割合ではなく実数で出るので、自分で計算できる
- 「情報をください」ではなく項目を名指しで聞く
- エージェント経由でも義務は消えない
入る前に数字で聞けることがある、というのがこの制度の要点です。
在学中の就活で使うエージェントは、根拠になる条文が同じ職業安定法です。費用を誰が払うかと許可番号の確かめ方は就活エージェントとはにまとめました。