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内定辞退で損害賠償を求められるか

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この記事の見出し(9)
  1. 結論は「基本的に問題ない」
  2. それでも契約は成立している
  3. 働くことは強制されない
  4. 「信義則に反する」とは何か
  5. 内々定は段階が違う
  6. 在学中に辞退した場合の相談先は別になる
  7. 伝えるときに残しておくもの
  8. 労働条件が違っていた場合は別の話
  9. まとめ

内定を受けたあとで、辞退したいと思うことがあります。別の会社から条件のよい話が来た、家庭の事情が変わった、調べたら評判が違った。理由はさまざまです。

このとき気になるのが、断ったことで損害賠償を求められないかどうかです。このページは、厚生労働省の「確かめよう労働条件」の記述から線引きを確認します。

結論は「基本的に問題ない」

同省のQ&Aは、労働者側からの辞退についてこう書いています。

一方、内定者側からの内定辞退は、基本的に問題ないものの、それがあまりに信義則に反するような場合は、損害賠償を求められる可能性もあり得るので、誠実と言えるか否かについて考えておかなければなりません。

出発点は「基本的に問題ない」です。 そのうえで、例外として信義則に著しく反する場合が挙げられています。断ること自体が違法になるとは書かれていません。

内定辞退の本題を示す図。左に求職者、右に企業を簡略な図形で配置し、書類と矢印で内定のやりとりを表現。上部の天秤で「損害賠償が問題となる可能性」と「基本的に問題ない側面」を対比させ、破線の分岐で内々定など段階の違いを示すイメージ図です

それでも契約は成立している

例外があるのは、内定が法律上どう扱われるかによります。

採用内定の状態において、既に、労働者と使用者との間に一定の労働契約が成立しているのであれば、使用者から内定を取り消されたり、又は労働者から内定を辞退したりすることは、一方的な契約破棄になります。

内定はただの約束ではなく、労働契約が成立している状態と扱われることが多いとされています。そこから見ると、辞退は契約を一方的に破ることにあたります。

内定の段階ですでに労働契約は成立していると認められる場合には、労働者側からする一方的な破棄は契約違反になりかねず、事由によっては損害賠償責任が課される場合があります。

「契約違反になりかねず」とあります。必ずそうなるとは書かれていません。まず示されているのは、成立している契約を破る行為にあたる、ということだけです。

働くことは強制されない

そのうえで、はっきり限界が引かれています。

しかし、労働者の意思に反して労働契約の履行を義務づけることはできないため、損害賠償責任に止まります。

「損害賠償責任に止まります」という部分が、この論点の核です。 辞退したのに入社させられる、という結果は起きません。

つまり、最も重い場合でも金銭の問題として処理されるということです。逆に言えば、断ったのに入社を迫られている状況があれば、それは制度の想定を超えています。

会社が内定を取り消す

  • 解雇にあたる
  • 最も重い結果は取消しが無効になること

本人が内定を辞退する

  • 一方的な契約破棄
  • 最も重い結果は損害賠償に止まる

違うのは重さ

同じ「断る」でも、どちらから断るかで扱いが違う

会社側からの取消しは解雇として扱われ、合理的な理由が要ります。その非対称は内定取り消しは解雇にあたるに整理しました。

「信義則に反する」とは何か

条文のように具体的な基準は示されていません。示されているのは「誠実と言えるか否かについて考えておかなければなりません」という求め方です。

ここから読み取れるのは、判断されるのが断ったかどうかではなく、断り方だということです。決めた時点で早く伝える、連絡が取れる状態を保つ、といった行動がそのまま材料になります。

逆に、入社日の直前まで黙っている、連絡を絶つ、といった進め方は「誠実」の側から遠くなります。辞退の決断そのものより、その後の時間の使い方のほうが効いてきます。

会社が採用の準備に費やした費用を請求してくる、という話を見かけることがありますが、Q&Aが挙げているのは信義則に著しく反する場合という限定です。条件を満たさない請求に応じる義務はありません。

内々定は段階が違う

同じQ&Aは、内々定を別に扱っています。

採用の内々定は、内定の段階に比べて多くの場合に労働契約を締結したとの認識には至っていないと考えられます。

労働契約が成立していないなら、破る契約もありません。そのため内々定の辞退は、内定の辞退よりさらに問題になりにくい位置にあります。

ただしQ&Aは、拘束関係の度合いが強ければ「採用内定」と認められることもあり得るとしています。呼び方ではなく、実際にどこまで拘束されていたかで判断されるという書き方です。研修に参加していた、他社の選考を止めるよう言われていた、といった事情があるなら内定に近い扱いになる可能性があります。

後半の論点を示す図。在学中に辞退する場合と契約成立後の対応を並列の経路で示し、それぞれが労働相談窓口や法律相談につながる矢印で表現。通知時に残すべき書類のコピーや送付記録、通話記録などをアイコン化して示すイメージ図です

在学中に辞退した場合の相談先は別になる

内々定の話が出たので、窓口の側にも1つ線があります。この記事の末尾に並ぶ相談先のうち、4件は新卒での就職を希望する人を対象外にしています。 第二新卒・既卒・フリーターを扱うサービスなので、在学中の学生は入り口が違います。

在学中なら、新卒の就職支援を扱う窓口になります。就職エージェントneo は2027年卒と2028年卒の在学生が対象で、卒業後の既卒者は扱っていません。辞退したあとにまだ就職活動を続ける場合、対象年度が合うかを先に見てください。

対象と扱う範囲は就活エージェントとは|無料の仕組みと確かめ方に、資格の確かめ方は就活エージェントのおすすめを数字で確かめるに書きました。

伝えるときに残しておくもの

辞退の意思表示は、届いた時点で効力を持ちます。電話で伝えたあとに、同じ内容をメールで送っておくと記録が残ります。

残しておく意味は、伝えた事実と日付を示せることにあります。信義則が問題になるとすれば、争点は「いつ伝えたか」になるためです。理由を細かく説明する必要はありませんが、伝えた日は分かるようにしておいてください。

書面の作り方は、退職の場合と考え方が近くなります。退職届の書き方|退職願との違いで結果が変わるに、撤回できるかどうかが書き方で変わる点を整理しました。

労働条件が違っていた場合は別の話

辞退の理由が「提示された条件が求人票と違った」場合は、扱いが変わります。この場合、そもそも合意していない条件を示されたことになるためです。

求人票の条件を変えて契約しようとする場合、職業安定法は変更内容の明示を求めています。見るべき順序は求人票の見方|違う条件なら明示義務があるにあります。書面で確認する項目は労働条件通知書で確認する項目にまとめました。

条件が食い違ったまま入社するより、辞退のほうが結果として傷が浅いことがあります。判断の材料は、口頭の説明ではなく書面のほうに残ります。

探し直すときに、面接の前を用意している窓口がある

もう一度探すことになったとき、就職を支援する事業者を挟む道もあります。JAIC就職カレッジは、面接に進む前に無料の就職支援講座と面接対策を用意していると公式サイトで案内しています。辞退した理由を次の面接でどう話すかは、そこで整理できる部分です。

ただし対象になる年齢と、就職を希望する地域には条件があります。 条件はそのまま下に載せているので、申し込む前に自分が入っているかを見てください。

内々定の段階で会社側から取り消された場合は、こちらから断る場合と扱いが変わります。契約が成立していなくても、期待権の侵害として損害賠償が認められうるとされています。会社側からの取消しは内々定を取り消されたときに残るものにまとめました。

承諾する前に期限を延ばしてもらえるかは、民法の申込みと承諾のルールが土台になります。内定の承諾期限は待ってもらえるかにまとめました。

まとめ

  • 厚生労働省は内定辞退を「基本的に問題ない」としている
  • 例外は、あまりに信義則に反する場合。そのときは損害賠償の可能性がある
  • 内定は労働契約が成立している状態と扱われることが多く、辞退は一方的な契約破棄にあたる
  • ただし履行は義務づけられない。責任は損害賠償に止まる
  • 会社からの取消しは解雇として扱われる。方向によって扱いが違う
  • 内々定は労働契約締結の認識に至っていないことが多く、さらに問題になりにくい
  • 判断されるのは断ったかどうかではなく、断り方と時期

決めたなら、早く伝えることがそのまま「誠実」の側の材料になります。

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