退職届の書き方|退職願との違いで結果が変わる
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自分の意思で期日を決めて辞めるなら、退職届に退職日・提出日・所属と氏名・宛名を書きます。 会社と日程を相談して合意したいなら退職願です。まず会社指定の様式を確認し、下の記入例を自分の状況に合わせて直してください。
この文例は、期間の定めのない雇用で、自分の意思で退職する人向けです。契約期間の途中や会社から退職を求められた場合は、そのまま使わず、無料の公的相談窓口で状況を確認してください。
退職届の記入例と提出前の確認
自己都合で退職する場合の記入例です。〇の部分を置き換え、提出日は退職日と分けて記入してください。
退職届 株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 様 私儀 このたび、一身上の都合により、〇年〇月〇日をもって退職いたします。 〇年〇月〇日(提出日) 〇〇部 〇〇課 氏名 〇〇 〇〇
提出前に、次の点を確認してください。
- 会社指定の様式、提出先、就業規則を確認した
- 退職日と提出日を分けて記入した
- 宛名、所属、氏名、置き換え忘れを確認した
- 理由が自分の状況に合っていることを確認した
- 控えを残し、受け取ったことを確認する方法を決めた
記入例のどこを変える?
- 退職日:本文の「〇年〇月〇日」。空欄にせず、会社との調整や通知の到達日から決める。
- 提出日:署名の前の日付。退職日と取り違えない。
- 宛名・所属・氏名:会社の代表者名と自分の部署・氏名に置き換える。
- 退職理由:自己都合なら「一身上の都合」。会社都合や契約満了などは、この文例をそのまま使わない。
書式で迷ったら、会社指定の様式を先に使います。 指定がなければ手書きでも印刷でも構いません。民法627条1項は「解約の申入れ」と定めるだけで、縦書き・便箋・筆記具・押印まで指定していません。
封筒も同じです。色も大きさも折り方も、条文には出てきません。入れずに手渡しても、申入れが届いたことに変わりはありません。封筒が意味を持つのは、手渡しできずに送るときです。そのときは中身より届いたことをどう残すかが効いてきます。方法は退職届を郵送で出すときの手順にまとめました。
決まりがあるとすれば、勤め先の就業規則です。様式が定められている会社では、それに従うほうが手続きが早く進みます。規則に定めが無いなら、読める形であれば足ります。
理由は「一身上の都合」で足ります。 詳しく書く義務はありません。会社都合での退職なら「一身上の都合」と書かないほうがよく、離職理由の判定に影響することがあります。判定の仕組みは離職理由は会社の記載で決まらないにまとめました。
出す前に、退職願との違いを確かめる
先に違いを見てから、文例を使うか決めてください。
退職願(合意退職の申込み)
- 効力は会社が承諾したとき
- 承諾前なら撤回できる
- 会社と日程を相談したいとき
退職届(任意退職の申入れ)
- 承諾があればその時、なければ2週間後
- 承諾されると撤回できない
- 期日を確実にしたいとき
違うのは会社の承諾が要るかどうか
退職願を出すと、会社が承諾するまで退職は決まりません。退職願は、会社との合意で辞めるための申込みだからです。
厚生労働省の解説です。
しかし、注意しなければならないのは、合意退職は会社の承諾を得なければ労働契約を終了させることができないので、会社が退職を承認しない間はその効果が発生しないという点です。
「退職願を出したのに話が進まない」という状態は、制度としてはこの位置にあります。
承諾前に撤回できる場合
承諾前なら引っ込められます。
合意退職の申し込みの場合には、使用者が承諾するまでの間は、その申し込みを撤回することができます。
一方、退職届のほうは扱いが変わります。
全文を開く(127字)
一方、任意退職の申し入れと認められる意思表示がされた場合には、労働者の意思表示が会社に到達し、会社が承諾すればその時点で効果が発生しますが、承諾しなければ2週間後に効力が発生します。会社が退職を承諾すれば、労働者が一方的に撤回することはできなくなります。
同じ解説は、どちらを出しても退職の意思表示は簡単には撤回が認められないので、慎重に考えてから出すよう勧めています。
表題を書き分ければ結果が決まる、という単純な話でもありません。同じ解説には、争いになれば文書の表題だけでなく記載内容や当事者の言動から判断される、とも書かれています。
期日を確実にしたい場合
確実に辞めたい場合について、方針まで示されています。
全文を開く(127字)
とはいっても、確実に一定の期日をもって退職をしたいという場合には、必要な一定の期間(下記②の1参照)を見込んだうえで、合意退職の申し込みと解釈されないような表現で、退職の意思を明確に記載した「退職届」を提出して任意退職の申し入れを行うことが無難でしょう。
「合意退職の申し込みと解釈されないような表現で」という条件が付いています。つまり、文中に「お願い申し上げます」「ご承認いただきたく」のような承諾を求める言い回しを入れると、退職願として読まれる余地が生まれます。
退職日はいつ成立する?
期間の定めのない雇用なら、会社の承諾が無くても、申し入れた日から2週間で雇用は終わります。前提になるのは民法627条1項です。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
「いつでも」と「二週間」です。 承諾は要件になっていません。
就業規則の「1か月前」との関係
就業規則に「1か月前まで」とあっても、2週間を大幅に延ばす規定や、会社の許可を条件にする規定は無効とされます。
就業規則に「退職の申し出は退職日の1ケ月前までにしなければならない」と定めている例について、労働局のページが取り上げています。厚生労働省の解説にも、この関係の説明があります。
そのため、会社の就業規則などで、この期間を大幅に伸ばすよう規定や上記の期間を超える場合にも会社の許可を条件とするような規定が設けられていたとしても、そのような規定は無効とされることとなります。
ただし、これは「就業規則を無視してよい」という意味ではありません。引き継ぎや有給の消化を含めて調整するなら、就業規則の期間に合わせたほうが摩擦は少なくなります。無効だと分かっていることと、それを使うかどうかは別です。
月給制の説明が食い違う場合
このページは、月給制でも労働者から辞めるときは「いつでも」「二週間」が基本と読んでいます。「当期の前半まで」という制限は、条文では使用者からの申入れに付いているためです。
月給制について、労働局のページにはこういう説明があります。
全文を開く(105字)
月給制等のように期間によって報酬が定められている場合には、賃金計算期間の前半に退職を申し入れた場合、その賃金計算期間の末日に退職することができ、後半に申し入れた場合、翌計算期間以降に退職が出来るとされています。
ところが、現在の627条2項の文言はこうです。
期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。
「使用者からの」と限定されています。 当期の前半までという制限も、条文上はこの使用者側の申入れに続けて置かれています。
つまり、条文の文言と、上の解説の書きぶりは一致していません。このページが条文の文言を優先しているのは、そのためです。
とはいえ、月末退職にしたいなら日付から逆算するのが確実です。争点にしないほうが早く、社会保険料の扱いも退職日で変わります。月末とその前日の差は退職日を月末にするかどうかで変わるものに整理しました。判断に迷う場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで確認してください。扱う範囲は退職相談は無料の公的窓口でできるにまとめています。
出したあとに証拠が残るか
手渡しでは、受け取っていないと言われたときに示すものが残りません。到達したことが要件になっている以上、そこが弱点になります。
郵便で送る方法と、内容証明が何を証明して何を証明しないのかは退職届を内容証明で送るときに整理しました。内容証明が証明するのは差し出した内容で、届いたことは配達証明という別のサービスです。
メールやチャットで送ってもよいか
民法627条1項は「解約の申入れ」とだけ定めていて、書面で出すこと自体を要求していません。上で見た様式の自由(縦書きか横書きか、便箋かコピー用紙か)と同じ理由です。メールや会社のチャットで伝えても、申入れとしての効力は生じます。
ただし、証拠の弱さはむしろ大きくなります。手渡しや郵便と違って送信履歴は残ります。それでも「届いていない」「見ていない」と言われることがあります。送信した記録だけでは、到達を示す力が弱いためです。既読が付く手段を選ぶ、送った直後に上司へ一声かけて到達を確認する。そういった対応で埋め合わせるほかありません。
就業規則にメールでの提出を禁じる定めがあれば、そちらに従うほうが手続きは早く進みます。書面での提出を条件にしている会社は珍しくありません。
自分で出せない状況なら
そもそも渡せない、渡すと引き止められて話が終わらない、という状態もあります。その場合、伝えること自体を代わってもらう選択があります。
運営元によってできる範囲が違います。 報酬を得る目的で法律事務を扱うことは弁護士法72条で制限されているため、退職日や有給の条件を調整する必要があるなら労働組合か弁護士が対応できる範囲になります。線引きは退職代行|弁護士と労働組合の違いで条文をたどりました。
辞めるときに、研修費用の返還を求められることがあります。労働基準法16条は違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることを禁じていますが、貸付としての実質があれば返還が認められる場合もあります。判断の要素は退職時の研修費用の返還に整理しました。
書面を出す前の、口頭で切り出す段取りは退職は何ヶ月前に言えばいいかにまとめました。
手渡しできないときの送り方は退職届を郵送で出すときの手順にまとめました。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 8件
- 出典
- 3件(法令 1)
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引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。