退職は何ヶ月前に言えばいいか
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退職はいつ言えばいいのか。民法は2週間としていますが、就業規則が1か月前や2か月前としている会社もあります。
どちらが効くかは、先に自分の会社の就業規則を見てから考えることになります。 ここを見ないまま切り出すと、相手の言い分に反論できません。
退職の定めは必ず書かれている(労働基準法89条3号)
就業規則に何を書くかは、労働基準法が並べています。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
そして、並んでいる項目のひとつがこれです。
退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
必ず記載する事項に入っています。 就業規則がある会社なら、退職の申し出をいつまでにするかは、そこに書かれています。
「知らなかった」で切り出すと、後から「規則では1か月前だ」と言われます。先に読んでおけば、その会話を飛ばせます。

見せてもらう根拠がある(労働基準法106条1項)
就業規則を見たことがない、という人は多くいます。ただ、会社には周知させる義務があります。
労働基準法106条1項は、就業規則などを「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない」と定めています。
しまい込んでよいものではありません。どこにあるか分からないなら、聞くところから始めてください。見せてもらえない状態そのものが、後の話し合いの材料になります。
何ヶ月前に言えばいいのか(民法627条1項)
いちばん多い疑問がここです。何日前までに伝えれば辞められるのか。多くの就業規則は「退職の1か月前までに申し出ること」と書いています。一方、民法の定めはこうです。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2週間です。 就業規則の1か月と食い違いますが、この点については民法が優先されると解されています。
とはいえ、実務では就業規則に沿って早めに伝えるほうが穏やかに進みます。何ヶ月前かを聞かれたら就業規則の数字で答え、2週間は最終ラインとして持っておく。 この二段構えが、いちばん揉めない形です。最初から2週間で押し切ろうとすると、引き継ぎの話がこじれます。
月給制でも2週間で足りる(民法627条1項)
「うちは月給制だから、2週間では辞められない」と言われることがあります。根拠として持ち出されるのが民法627条2項ですが、条文はこうです。
期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。
「使用者からの」と書かれています。 2020年の改正で、この項は会社の側からの申入れに限られる形になりました。
つまり月給制であっても、労働者から辞める場合は1項の2週間です。言われたときに条文を知っていれば、その場で話が止まります。
就業規則
- 1か月前までに申し出ること、とする例が多い
- 退職に関する事項は必ず記載する事項
民法627条1項
- 解約の申入れの日から二週間
- 月給制でも労働者からは2週間
食い違ったときは民法が優先されると解されている。就業規則の数字は、話を穏やかに進めるための目安
誰に、いつ言うか
法律は相手を定めていません。慣行として直属の上司が最初になります。先に人事や役員に伝えると、上司の顔をつぶす形になって話がこじれます。
時間帯は、業務が動いていない時間を選んでください。朝いちばんや締切前は、相手にも余裕がありません。
伝える場は、立ち話ではなく別室が向いています。「お話ししたいことがあるので、15分ほどいただけますか」と先に枠を取ると、切り出しそのもので消耗しません。
理由をどこまで話すか(労働基準法22条)
理由を細かく説明する義務はありません。不満を並べると、改善案を出されて話が長くなります。
「一身上の都合」で足ります。 転職先が決まっているかどうかも、言わない選択があります。伝えると引き止めの材料が増えることがあるためです。
一方で、体調や家庭の事情がある場合は、伝えたほうが日程の相談がしやすくなります。言わない自由があると知ったうえで、自分で選ぶのが実際のところです。

切り出す時期をどう決めるか
日付を決めるとき、確かめておくと損をしないものがあります。
- 有給が何日残っているか
- 賞与の支給日と、支給の条件に在籍が入っているか
- 退職金の対象になる勤続年数に届いているか
有給の残りは退職前の有給消化|断られたときの根拠にまとめました。残したまま辞めると、そのまま消えます。
賞与や退職金の条件も、就業規則に書かれています。上で見せてもらった規則を、そのまま確かめてください。
口頭の後は書面にする
切り出した後は、書面を出して日付を残します。口頭だけだと「聞いていない」と言われたときに証拠がありません。
書き方は退職届の書き方|退職願との違いで結果が変わるにまとめました。退職願と退職届は効果が違います。
受け取ってもらえない場合の送り方は退職届を内容証明で送るときにあります。
辞めた後に請求できる証明書(労働基準法22条1項・3項)
切り出す段階では先の話ですが、知っておくと安心できるものがあります。
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
請求すれば交付する義務があります。 さらに次の定めがあります。
前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
こちらが求めていないことを書くのは禁じられています。退職の事由を書いてほしくないなら、その項目を外して請求できます。
どうしても切り出せないとき
段取りを整えても、言葉が出ないことがあります。相手が話を聞かない、過去に強い引き止めを見ている、という場合もあります。
そのときの整理は辞めたいと言えないときにまとめました。言えないこと自体は、こちらの落ち度ではありません。
交渉が必要な状態なら、窓口の選び方が変わります。有給や退職日の交渉ができるのは労働組合と弁護士で、民間業者にはできません。違いは退職代行|弁護士と労働組合の違いにまとめました。
引き継ぎを理由に賠償や給与の話が出たときの整理は引き継ぎをしないと賠償されるかにまとめました。
賞与の支給日との兼ね合いで退職日を決めるときはボーナスをもらってから退職するタイミングにまとめました。
まとめ
- 何を言うかより先に、就業規則の「退職に関する事項」を読む
- 就業規則は必ず記載する事項に入っていて、会社には周知させる義務がある
- 就業規則の1か月と民法の2週間が食い違う場合、民法が優先されると解されている
- 月給制でも労働者からは2週間。627条2項は「使用者からの」申入れの定め
- 相手は直属の上司から。理由は「一身上の都合」で足りる
- 有給の残り・賞与の条件・退職金の勤続年数を先に確かめる
- 口頭の後は書面にして日付を残す
規則を読んでから切り出すと、話が短く済みます。