退職届を内容証明郵便で送るとき
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退職届を出そうとしたら受け取ってもらえない、上司が席を外し続ける、そもそも連絡が取れない。こういうとき、郵送に切り替えるという手があります。
ただ「送った」だけでは足りません。何を証明する必要があるのかを先に見ておきます。
効力が生じるのは、届いた時(民法97条1項)
退職の意思表示は、伝えた時点ではなく相手に届いた時点で効力を持ちます。民法にこう書かれています。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
基準は到達です。 会社が受け取りを拒む、あるいは「そんなものは受け取っていない」と言う状況では、ここが争点になります。だから郵送するなら、届いたことを後から示せる形にしておく必要があります。
なお、送るものが「退職願」だと到達だけでは終わりません。退職願は合意退職の申込みで、会社が承諾するまで効力が発生しないためです。厚生労働省は、期日を確実にしたい場合に「退職届」を出すことを勧めています。どちらを出すかで撤回できるかどうかも変わります。書き分けは退職届の書き方|退職願との違いで結果が変わるに整理しました。

内容証明が証明するのは「差し出したこと」
内容証明はよく名前が出ますが、証明する範囲は限定されています。日本郵便の説明です。
一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。
もう少し詳しい定義も示されています。
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
「差し出された」までです。 どんな文面をいつ誰に向けて送ったかは残りますが、相手に届いたかどうかはこのサービスの対象ではありません。
届いたことは配達証明で
到達を示すのは別のサービスになります。
一般書留とした郵便物について、配達したという事実を証明するサービスです。
内容証明と配達証明は別物で、両方を付けて初めて「この文面を送り、相手に届いた」が揃います。 片方だけだと、争いになったときに片側しか示せません。
内容証明
- いつ、どんな文面を、誰から誰あてに差し出したか
配達証明
- 配達したという事実
違うのは証明する対象。差し出した文面か、配達したという事実か
どちらも一般書留であることが前提です。普通郵便には付けられません。
いくらかかるか
内容証明郵便は、通常の郵便料金に加算料金が乗ります。日本郵便の案内です。
内容証明の加算料金は 480円 (2枚目以降は290円増)となります。
これに一般書留の料金と、基本の郵便料金が足されます。一般書留にすることは条件になっているので、選ばないという選択はありません。配達証明を付けるなら、その料金もさらに加算されます。
退職届は1枚に収まることが多いので、加算は480円で済みます。それでも合計は1,000円を超えます。普通郵便で送る場合との差はここです。
なお謄本を閲覧するときの料金も480円で、差し出した日から5年以内であれば差出郵便局で閲覧できます。同じ期間内なら、謄本を提出して再度証明を受けることもできます。
出せる郵便局が限られている
窓口に行ってから断られることがあります。
差し出すことのできる郵便局は、集配郵便局および支社が指定した郵便局です。
日本郵便自身が、確認してから行くよう案内しています。
すべての郵便局において差し出すことができるものではありませんので、あらかじめ差し出そうとする郵便局へお尋ねください。
近所の小さな郵便局では扱っていないことがあります。 出社しない前提で動いているときに二度手間になるので、行く前に電話で確認してください。オンラインで完結するe内容証明(電子内容証明)もあり、そちらは郵便局に行く必要がありません。
用意するもの
窓口に持って行くのは、送る文書そのものと、その写しです。
(1)の謄本2通(差出人および郵便局が各1通ずつ保存するもの)
つまり同じ内容のものが合計3通(相手に送る分・自分の控え・郵便局の保管分)要ります。封筒には差出人と受取人の住所氏名を書いておきます。
謄本には字数と行数の制限があるので、長い文章を書くつもりなら先に様式を確認してください。退職届は短い文書なので、通常は問題になりません。
料金は郵便物の基本料金に、内容証明と一般書留の加算料金が乗る形です。枚数で変わるうえ、配達証明を付けるかどうかでも変わるので、合計額はここに書きません。郵便局の窓口か日本郵便のページで確認してください。

出した後に効いてくる保管期間
差し出した後の扱いも決まっています。
差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存されている謄本の閲覧を請求することができます。また、差出人は差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に謄本を提出して再度証明を受けることができます。
自分の控えを失くしても、5年以内なら郵便局に残っています。 退職から時間が経ってから未払い賃金などで争いになった場合でも、この期間内なら証明を取り直せます。
2週間の起算点になる
期間の定めのない雇用は、解約の申入れから2週間で終了します。その2週間を数え始めるのは、申入れが会社に届いた日です。 郵送にすると、投函した日ではなく配達された日が起点になります。
配達までの日数を見込んでおかないと、想定より退職日が後ろにずれます。2週間の数え方そのものは退職代行で即日辞められる?に整理しました。有給を充てて出社しない形にする場合も、起点は同じです。
送っても動かないときがある
ここまでは自分でできる手順です。費用は郵便料金だけで済みます。それでも解決しない場面があります。
- 届いたのに会社が何も返してこない
- 退職日や有給の扱いで折り合いがつかない
- 離職票や源泉徴収票が送られてこない
1つ目は、実は大きな問題になりません。 退職は会社の承諾を必要とせず、2週間の経過で契約が終わります。返事が無くても効力は生じています。
問題になるのは2つ目です。有給の消化や退職日の調整は交渉にあたるため、書面を送っただけでは進みません。 ここから先は、交渉できる相手に頼むかどうかの判断になります。報酬を得る目的で法律事務を扱うことは弁護士法72条で制限されているので、民間業者は会社と交渉できません。運営元ごとの範囲は退職代行の窓口を運営元で選ぶに整理しています。
3つ目の書類については、それぞれ別の窓口があります。会社と直接やり取りしなくても動かせるので、退職の書類は受け取るものと返すものを確認してください。
内容証明を使うほどではない場合の送り方は退職届を郵送で出すときの手順にまとめました。
まとめ
- 退職の意思表示は、届いた時から効力を生じる
- 内容証明が証明するのは「差し出したこと」。届いたことは配達証明で別に証明する
- どちらも一般書留が前提。普通郵便には付けられない
- 出せる郵便局は限られる。行く前に確認するか、e内容証明を使う
- 同じ内容のものが3通要る(相手・自分・郵便局)
- 差し出した日から5年以内なら、郵便局の控えで再証明できる
- 2週間の起算点は投函日ではなく配達された日
まず自分で送ってみて、返事が無いだけなら心配は要りません。交渉が必要になった時点で、頼む先を考えれば足ります。