ボーナスをもらってから退職するタイミング
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「賞与をもらってから辞めたい」と考えるのは自然なことです。
ただし賞与は、法律が支払いを義務づけている賃金ではありません。条件がどこに書かれているかを先に確かめると、退職日の置き方が決まります。
賞与は賃金だが、扱いが違う
まず定義です。労働基準法11条です。
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
賞与は賃金に含まれます。 ただし支払い方の原則からは外れています。24条2項です。
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
これが原則で、同じ24条2項のただし書きがこう続きます。
ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
賞与は毎月払いの例外です。だから「いつ、いくら」は法律の側で決まっていません。

条件は就業規則に書かれている(労働基準法89条4号・民法627条1項)
では何で決まるか。就業規則の必要記載事項に挙がっています。
臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
「定めをする場合においては」です。制度が無い会社もあります。制度がある場合、支給の条件はそこに書かれています。
多くの会社が置いているのが、支給日在籍要件です。「支給日に在籍していること」を条件にする定めで、これがあると支給日の前に退職日が来た場合、対象から外れます。
査定期間の全部を働いていても、支給日にいなければ出ない形になります。
退職日をどこに置くか(民法627条1項)
そこで、退職日を支給日より後ろに置くという判断が出てきます。これは制度の悪用ではなく、条件を読んだうえでの当たり前の選び方です。
一方で、辞める側にも下限があります。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
申し入れてから2週間です。支給日の直後に辞めたいなら、申し入れはその2週間以上前になります。
つまり支給日より前に退職の意思を伝えることになります。ここで気になるのが、伝えた後に減額されないかという点です。
伝えた後に減らされるか
賞与の額の決め方も就業規則に書かれています。査定期間の評価で決まる形が一般的で、退職予定であることを理由にゼロにする定めが置かれていることは多くありません。
まず自分の会社の条項を読んでください。支給の条件、査定の対象期間、支給日在籍要件の有無。この3つです。
就業規則は会社に周知の義務があるので、見せてもらえます。読む順序は退職は何ヶ月前に言えばいいかにまとめました。
「支給日在籍要件が無い」場合もあります。 その場合は査定期間を働いていれば対象になり、退職日を後ろへずらす必要がありません。
支給日在籍要件がある
- 支給日の前に退職日が来ると対象から外れる
- 査定期間を全部働いていても出ない
- 退職日を支給日より後ろに置くことになる
その要件が無い
- 査定期間を働いていれば対象になる
- 退職日を後ろへずらす必要がない
退職日を支給日より後ろへ置く必要があるかは、この要件の有無で決まる
有給の残りと重なる
賞与の支給日まで在籍する場合、有給の消化をどう組むかが問題になります。
在籍していれば有給消化中でも「在籍」です。 支給日在籍要件は出勤していることではなく、在籍していることを条件にしています。
有給を消化してから退職日を迎える形にすると、支給日を挟みやすくなります。残り日数の数え方と、断られたときの根拠は退職前の有給消化|断られたときの根拠にまとめました。
賞与にも社会保険料と税金がかかる
見込み額をそのまま受け取れるわけではありません。賞与からも健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料と所得税が引かれます。
そして退職の時期によって、社会保険料が引かれるかどうかが変わります。資格を失うのは退職日の翌日なので、月の途中で辞めた月に支給された賞与からは社会保険料が引かれない扱いになることがあります。
手取りで比べるときは、額面ではなく引かれた後の額で見てください。月末退職と月末前退職で厚生年金の月数が変わる話は入社日は退職日の翌日にできるかにまとめました。

転職先の入社日との兼ね合い
賞与を待つと、その分だけ入社日が後ろへ動きます。入社日は相談できますが、先に日付を確定させてしまうと動かせません。
順序としては、就業規則で支給日を確かめる → 退職日を置く → 入社日を相談する、です。入社日の決め方は入社日は退職日の翌日にできるかにまとめました。
社会保険の切り替えも、退職日と入社日の関係で手続きの量が変わります。1日でも空くと、国民健康保険か任意継続の手続きが要ります。
待つ価値があるかを数える
賞与を待つかどうかは、金額の比較で決まります。
- 賞与の見込み額(就業規則の計算方法から出す)
- 待つことで遅れる転職先の給与の差額
- 待っている間に求人が埋まる可能性
3つ目は数字になりませんが、実際にいちばん効きます。内定が出ている場合、返事の期限との兼ね合いも出てきます。内定の承諾期限は待ってもらえるかにまとめました。
会社都合で辞める場合
自分の都合ではなく、退職を迫られている場合は話が変わります。賞与を待つ余裕が無いこともありますし、離職理由の扱いも変わります。
判定の中身は離職理由は会社の記載で決まらないにまとめました。会社の記載がそのまま通るわけではありません。
まとめ
- 賞与は賃金に含まれるが、毎月払いの原則からは外れている
- だから「いつ、いくら」は法律ではなく就業規則で決まる
- 多くの会社に支給日在籍要件がある。無い会社もあるので確かめる
- 辞める側の下限は申入れから2週間。支給日より前に伝えることになる
- 有給消化中でも在籍しているので、支給日を挟める
- 就業規則には周知の義務があるので、条項は読める
まず自分の会社の支給条件を読んでください。要件が無ければ待つ必要はありません。