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入社日の交渉|退職日の翌日にできるか

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この記事の見出し(11)
  1. 入社日に法律の定めは無い
  2. 退職日の翌日にすると手続きが消える(健康保険法35条・36条)
  3. 同じ日に入る場合の括弧書き(36条)
  4. 1日でも空くと手続きが要る(37条1項)
  5. 月末の1日で年金の月数が変わる(19条1項・2項)
  6. 有給を消化すると退職日が後ろへ動く(民法627条1項)
  7. 早くしたいと言われたときの下限(労働基準法15条1項)
  8. 入社日を決める前に確かめること(労働基準法15条1項)
  9. 給付を受けている場合の注意
  10. 決まった後にやること
  11. まとめ

内定が出ると、次に決めるのが入社日です。

この日をいつにするかで、手続きの量が変わります。1日ずれるだけで、役所へ行く回数が増えることがあります。

入社日に法律の定めは無い

まず、入社日を何日後にしなければならない、という決まりはありません。会社と本人の合意で決まります。つまり相談できます。

「内定が出たら会社の言う日に入るしかない」と考える人がいますが、在職中なら退職の段取りがあります。事情を伝えて動かすのがふつうです。

退職日の翌日に入社すると健康保険と年金の切り替え手続きが不要になることを、隣接するカレンダーと短い矢印で即時のつながりを示し、重なる盾と貯金箱のアイコンで保険と年金が途切れず継続する様子、チェックマークと取り消し印で事務手続きが消えることを表したイメージ図です

退職日の翌日にすると手続きが消える(健康保険法35条・36条)

日程を決めるときの分かれ目がここです。健康保険の資格を取る日は条文にあります。

被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条から第三十八条までにおいて同じ。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。

使用されるに至った日からです。入社日そのものに資格が始まります。

失う側はこう書かれています。

被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。

「翌日」から失います。 つまり退職日の当日は、まだ前の会社の保険に入っています。

この2つを重ねると、退職日の翌日に入社すれば空白が生まれません。 国民健康保険への加入も、国民年金への切り替えも要らなくなります。

同じ日に入る場合の括弧書き(36条)

上の条文には括弧があります。「その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日」です。

辞めた日に別の会社へ入った場合は、その日に切り替わるという意味です。翌日にずれる扱いにはなりません。二重に入っている状態も作られません。

つまり日程の詰め方には2つあります。退職日の翌日に入社するか、同じ日に入るか。どちらでも空白は出ません。

退職日の翌日に入社する

  • 空白が生まれない
  • 国民健康保険への加入も、国民年金への切り替えも要らない

1日でも間がある

  • その期間はどこの健康保険にも入っていない状態になる
  • 加入と切り替えの手続きが要る

違うのは1日だけ。それで手続きが2つ増える

退職日と入社日の置き方で、手続きが要るかどうかが変わる

1日でも空くと手続きが要る(37条1項)

逆に、退職日の翌日から入社日までに1日でも間があると、その期間はどこの健康保険にも入っていない状態になります。

短くても手続きは要ります。国民健康保険に入るか、前の会社の健康保険を任意継続するかを選ぶことになります。任意継続には期限があります。

第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。

20日以内です。 ただし書があり、正当な理由があると保険者が認めるときは、期間の経過後の申出でも受理できると定められています。

選び方は退職後の健康保険と国民年金にまとめました。空白が1週間でも、手続きの手間は1か月空くときと変わりません。

月末の1日で年金の月数が変わる(19条1項・2項)

退職日を月末にするか、その前日にするかで変わるものがあります。厚生年金保険法に、月数の数え方が書かれています。

被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

資格を失った月は入りません。 そして資格を失うのは退職日の翌日です。

31日まである月で考えます。31日に辞めると、資格を失うのは翌月1日なので、その月は算入されます。30日に辞めると、資格を失うのは31日なので、その月は算入されません。

1日の差で、厚生年金に入っていた月数が1か月変わります。将来受け取る額に効いてくるところです。

同じ月に次の会社へ入る場合の定めもあります。

被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。

間を空けずに移るなら、月末で区切らなくても月数は途切れません。気にする必要があるのは、翌月まで空く場合です。

有給を消化すると退職日が後ろへ動く(民法627条1項)

日程を詰めるとき、見落とされるのが有給です。残りを消化してから辞めると、退職日はその分だけ後ろへずれます。

入社日を先に決めてしまうと、有給を捨てることになります。順番としては、残り日数を数える → 退職日を置く → 入社日を相談する、になります。

数え方は退職前の有給消化|断られたときの根拠にまとめました。

労働基準や期限の下限、月末による年金の月数変化、有給消化で退職日が後ろに動くことと、事前確認や給付受給者への注意、決定後の手続き一覧をはかり・砂時計・短い隙間のあるカレンダー・荷物アイコン・虫眼鏡と書類・警告三角とチェックボックスで示したイメージ図です

早くしたいと言われたときの下限(労働基準法15条1項)

会社から「来週から来てほしい」と言われることがあります。在職中なら、辞めるほうにも日数が要ります。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

申し入れてから2週間です。 これが物理的な下限になります。

ただし引き継ぎを考えると、実務では1か月前後を見ておくほうが現実的です。切り出す段取りは退職は何ヶ月前に言えばいいかにまとめました。

入社日を決める前に確かめること(労働基準法15条1項)

日付だけ先に決めて、条件を後から見るのは順序が逆です。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

明示は義務です。 書面が出ていない段階で日付だけ確定させると、後から条件が違ったときに動きにくくなります。

確かめる項目は労働条件通知書で確認する項目にまとめました。返事の期限そのものの扱いは内定の承諾期限は待ってもらえるかにあります。

給付を受けている場合の注意

離職してから探していて、失業給付を受けている途中に決まった場合、入社日によって受け取れる額が変わります。

残っている日数が多いほど、再就職手当の額も大きくなります。入社日を1か月遅らせると、その分の日数を先に使ってしまいます。

条件は再就職手当|早く決まると残りが戻るにまとめました。

決まった後にやること

入社日が決まったら、前の会社の任意継続を選んでいた場合はそちらをやめる手続きが要ります。転職が決まったら任意継続はどうやめるかにあります。

新しい会社の保険証は、入社日に手元へ届くとは限りません。届かない間に病院へ行くときの扱いは入社直後に保険証が無いまま病院に行くときにまとめました。

初日までに出す書類とその期限は入社初日までに出す書類と期限にまとめました。

まとめ

  • 入社日を何日後にする、という法律の定めは無い。相談できる
  • 健康保険の資格は入社日から始まり、退職日の翌日に前の資格を失う
  • だから退職日の翌日に入社すれば、切り替えの手続きが要らない
  • 同じ日に入る場合も、その日に切り替わる形で空白は出ない
  • 1日でも空くと、国民健康保険か任意継続の手続きが要る。任意継続は20日以内
  • 有給の残りを数えてから退職日を置き、入社日はその後に相談する
  • 急かされても、辞めるほうには申入れから2週間が要る

順番は、有給を数える・退職日を置く・入社日を相談する。この順です。

出典