再就職手当|早く決まると残りが戻る
使い切らないと損、ではない
失業給付を受けている間に再就職が決まると、「残りの分をもらい損ねた」と感じる人がいます。実際は逆で、残した日数に応じて手当が出ます。
厚生労働省の案内には、給付率がこう書かれています。
3分の2以上残して早期に再就職した場合
この場合は残日数の70%、3分の1以上残した場合は60%です。早く決まるほど率が高くなる設計になっています。
計算式は「基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率」です。基本手当日額が6,000円で90日分のうち60日残っていれば、6,000 × 60 × 0.7 = 25万2,000円。決して小さい額ではありません。
8つの要件をすべて満たす必要がある
厚生労働省の案内は、支給を受けるには下記のすべての要件を満たす必要がある、として8つを挙げています。要点を並べます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 待期 | 受給手続き後、7日間の待期期間の満了後に就職したこと |
| 残日数 | 就職日の前日までの認定を受けたうえで、残日数が所定給付日数の3分の1以上あること |
| 前の会社 | 離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがある事業主も不可 |
| 給付制限中の経路 | (後述) |
| 期間 | 1年を超えて勤務することが確実であること |
| 雇用保険 | 原則として、雇用保険の被保険者になっていること |
| 過去の受給 | 過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと |
| 内定の時期 | (後述) |
「1年を超えて勤務することが確実」という要件があるため、短期の契約や、更新が見込まれない派遣は対象になりません。 案内にも、雇用期間が1年以下で更新に目標達成が条件付けられている場合や、更新が見込まれない派遣就業は該当しないと明記されています。
自己都合で辞めた人が引っかかりやすい点
8つのうち、知らないと落とす可能性が高いのがこれです。
求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
これは離職理由による給付制限がある人、つまり自己都合で辞めた人に適用されます。
最初の1か月は、就職の経路が問われます。 ハローワークか、許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で決まった場合に限られます。求人サイトから自分で応募して決めた場合や、知人の紹介で入った場合は、この期間だと対象外になります。
一方、倒産や解雇などで給付制限がない人は扱いが違います。案内には、給付制限がない方は待期期間経過後であれば就職の経路は問わない、知人の紹介や新聞広告により就職した場合でも受給の対象になる、と書かれています。
同じタイミングで決まっても、辞め方によって結果が変わります。 自己都合で辞めていて、待期満了から1か月以内に決まりそうなら、経路を意識してください。
在職中に決めた転職では出ない
もう一つ、性質の違う要件があります。
受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
辞める前にすでに内定していた会社に入る場合は対象外ということです。在職中に転職活動をして、決めてから辞めるパターンがこれに当たります。
これは損得の話ではありません。在職中に決めれば無収入の期間がそもそも発生しないので、比較する対象が違います。辞めてから探すか在職中に動くかの費用比較は仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかで扱っています。
手続きの順序で注意する点
要件のなかに「就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで」という条件が入っています。
つまり、就職が決まったら、入社日の前日までに認定を受けておく必要があります。 決まった時点でハローワークに連絡し、認定日の扱いを確認してください。ここを飛ばすと残日数が確定せず、要件を満たさなくなる可能性があります。
「早く決める」ことを目的にしない
給付率が下がる前に決めたほうが得に見えますが、条件の合わない会社に入って早期に辞めれば、次の受給資格から作り直すことになります。1年を超えて勤務することが確実、という要件がある以上、制度も長く続く就職を前提にしています。
判断の順序としては、条件の合う会社を探すことが先で、手当は結果としてついてくるもの、と考えるほうが実態に合います。
その意味で、探す速度を上げるのは理にかなっています。とくに自己都合で辞めた人は、待期満了後1か月の間は職業紹介事業者の紹介という経路が要件になるので、その窓口を持っておくこと自体が要件を満たす手段になります。
ハローワークでの職業相談も、民間の職業紹介事業者での相談も、どちらも求職活動実績として数えられます。
エージェントの費用を誰が払っているか、どこで利害がずれるかは転職エージェントはなぜ無料なのかにまとめています。
決まったあとにもう一つある
再就職手当を受けた人が再就職先に6か月以上雇用され、その6か月間の賃金が離職前より低い場合には、就業促進定着手当を受けられるとされています。
年収が下がる転職をした場合の補填にあたるもので、再就職手当とは別の手続きです。申請できる期間は6か月経過後の2か月間だけで、上限の計算に使う割合は2025年4月に変わっています。転職して6か月後に申請する手当で扱っています。
まとめ
- 給付を残して再就職すると、残日数の60%または70%が支給される
- 3分の2以上残せば70%、3分の1以上残せば60%
- 要件は8つあり、すべて満たす必要がある
- 自己都合で辞めた人は、待期満了後1か月はハローワークか職業紹介事業者の紹介で決まる必要がある
- 辞める前から内定していた会社に入る場合は対象外
- 就職日の前日までに失業の認定を受けておく
支給額と要件は個別の事情で変わります。この記事は厚生労働省の案内にもとづいています。自分が該当するかは、管轄のハローワークの給付窓口で確認してください。