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再就職手当|早く決まると残りが戻る

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この記事の見出し(11)
  1. 使い切らないと損、ではない
  2. 計算に使う日額には頭打ちがある(雇用保険法56条の3第3項1号)
  3. 8つの要件をすべて満たす必要がある
  4. 雇われるかわりに、事業を始めた場合(雇用保険法施行規則82条の2)
  5. 自己都合で辞めた人が引っかかりやすい点
  6. 在職中に決めた転職では出ない
  7. 手続きの順序で注意する点
  8. 「早く決める」ことを目的にしない
  9. 受け取った分は、使ったことになる
  10. 決まったあとにもう一つある
  11. まとめ

使い切らないと損、ではない

失業給付を受けている間に再就職が決まると、「残りの分をもらい損ねた」と感じる人がいます。実際は逆で、残した日数に応じて手当が出ます。

厚生労働省の案内には、給付率がこう書かれています。

3分の2以上残して早期に再就職した場合

この場合は残日数の70%、3分の1以上残した場合は60%です。早く決まるほど率が高くなる設計になっています。

計算式は「基本手当日額(失業給付の1日あたりの額) × 支給残日数 × 給付率」です。基本手当日額が6,000円で90日分のうち60日残っていれば、6,000 × 60 × 0.7 = 25万2,000円。決して小さい額ではありません。

失業給付の残日数から一部が再就職手当として戻る仕組みを、カレンダーからコインに矢印でつなぎ、量が減ることを秤で示したイメージ図です

計算に使う日額には頭打ちがある(雇用保険法56条の3第3項1号)

計算式に出てくる基本手当日額は、賃金が高い人ほど大きくなるわけではありません。基本手当(失業給付)の日額そのものの決め方は、雇用保険法16条1項にあります。

基本手当の日額は、賃金日額に百分の五十(二千四百六十円以上四千九百二十円未満の賃金日額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十、四千九百二十円以上一万二千九十円以下の賃金日額(その額が同条の規定により変更されたときは、その変更された額)については百分の八十から百分の五十までの範囲で、賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た金額とする。

賃金日額が上がるほど率は下がり、刻みは一万二千九十円のところで終わります。そのうえで再就職手当には、別の頭打ちが掛かります。雇用保険法56条の3第3項1号の括弧書きが、この一万二千九十円の半分を超える日額は、その額として扱うと決めています。日額がそれを超えている人は、超えた分が計算に乗りません。

上の計算例の6,000円は、この頭打ちのすぐ手前です。 賃金日額の高かった人ほど、実際の手当は計算より小さくなります。

この一万二千九十円は固定ではありません。雇用保険法18条1項が見直しを義務づけています。

厚生労働大臣は、年度(四月一日から翌年の三月三十一日までをいう。以下同じ。)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。以下同じ。)が平成二十七年四月一日から始まる年度(この条の規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。

変わるのは8月1日からです。前の年の額で計算すると、見込みがずれます。 申請するときは、その年の額をハローワークで確かめてください。

8つの要件をすべて満たす必要がある

厚生労働省の案内は、支給を受けるには下記のすべての要件を満たす必要がある、として8つを挙げています。要点を並べます。

要件内容

  1. 待期7日間の待期期間の満了後に就職したこと受給手続き後
  2. 残日数所定給付日数の3分の1以上就職日の前日までの認定を受けたうえで
  3. 前の会社前の事業主に再び就職したものでないこと資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがある事業主も不可
  4. 給付制限中の経路(後述)
  5. 期間1年を超えて勤務することが確実であること
  6. 雇用保険原則として被保険者になっていること
  7. 過去の受給過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと
  8. 内定の時期(後述)
厚生労働省の案内は、支給を受けるにはこのすべてを満たす必要があるとしている

「1年を超えて勤務することが確実」という要件があるため、短期の契約や、更新が見込まれない派遣は対象になりません。 案内にも、雇用期間が1年以下で更新に目標達成が条件付けられている場合や、更新が見込まれない派遣就業は該当しないと明記されています。

雇われるかわりに、事業を始めた場合(雇用保険法施行規則82条の2)

上の8つは、どれも雇われることを前提にしています。条文はもう1つの形を並べて書いています。雇用保険法施行規則82条の2です。

一年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就き、又は事業(当該事業により当該受給資格者が自立することができると公共職業安定所長が認めたものに限る。)を開始した受給資格者であつて、就業促進手当を支給することが当該受給資格者の職業の安定に資すると認められるものとする。

「職業に就き、又は事業を開始した」と並んでいます。自分で事業を始めた場合も、再就職手当の対象に入ります。 案内が雇用の話で書かれているので、開業を選んだ人が自分は関係ないと読むところです。

ただし条件の付き方が違います。

雇われる

  • 1年を超えて引き続き雇用されることが確実だと認められること
  • 雇用契約の期間と更新の見込みで判断される

事業を始める

  • その事業で自立できると公共職業安定所長が認めたものに限られる
  • 契約書ではなく、安定所長の認定が要る

違うのは、確かなことを誰が判断するか

同じ規則の1文の中で、雇用と事業では確かめ方が分かれている

括弧の中が効いています。事業のほうは「開始した」だけでは足りません。その事業で自立できると安定所長が認めたものに限る、という絞りが入ります。 何をもって自立と認めるかは条文にありません。開業の内容を持って窓口で相談することになります。

どちらの形でも、条文の末尾は同じです。手当を出すことがその人の職業の安定に役立つと認められること。支給は、就職や開業そのものへの報酬ではありません。

自己都合で辞めた人が引っかかりやすい点

8つのうち、知らないと落とす可能性が高いのがこれです。

求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること

これは離職理由による給付制限がある人、つまり自己都合で辞めた人に適用されます。

最初の1か月は、就職の経路が問われます。 ハローワークか、許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で決まった場合に限られます。求人サイトから自分で応募して決めた場合や、知人の紹介で入った場合は、この期間だと対象外になります。

一方、倒産や解雇などで給付制限がない人は扱いが違います。

給付制限がない方は、待期期間経過後であれば、就職の経路は問いません。

案内はこれに続けて、知人の紹介や新聞広告等により就職した場合でも受給の対象になる、としています。

同じタイミングで決まっても、辞め方によって結果が変わります。 自己都合で辞めていて、待期満了から1か月以内に決まりそうなら、経路を意識してください。

在職中に決めた転職では出ない

もう一つ、性質の違う要件があります。

受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと

辞める前にすでに内定していた会社に入る場合は対象外ということです。在職中に転職活動をして、決めてから辞めるパターンがこれに当たります。

これは損得の話ではありません。在職中に決めれば無収入の期間がそもそも発生しないので、比較する対象が違います。辞めてから探すか在職中に動くかの費用比較は仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかで扱っています。

手続きの順序で注意する点

要件のなかに「就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで」という条件が入っています。

つまり、就職が決まったら、入社日の前日までに認定を受けておく必要があります。 決まった時点でハローワークに連絡し、認定日の扱いを確認してください。ここを飛ばすと残日数が確定せず、要件を満たさなくなる可能性があります。

再就職手当の8つの支給要件がすべて揃うことを連結した箱で示し、自己都合離職者が最初の1か月で引っかかりやすい点と手続きの順序に注意する様子をカレンダーと注意マークで表したイメージ図です

「早く決める」ことを目的にしない

給付率が下がる前に決めたほうが得に見えますが、条件の合わない会社に入って早期に辞めれば、次の受給資格から作り直すことになります。1年を超えて勤務することが確実、という要件がある以上、制度も長く続く就職を前提にしています。

判断の順序としては、条件の合う会社を探すことが先で、手当は結果としてついてくるもの、と考えるほうが実態に合います。

その意味で、探す速度を上げるのは理にかなっています。とくに自己都合で辞めた人は、待期満了後1か月の間は職業紹介事業者の紹介という経路が要件になるので、その窓口を持っておくこと自体が要件を満たす手段になります。

ハローワークでの職業相談も、民間の職業紹介事業者での相談も、どちらも求職活動実績として数えられます。

下の窓口のうちJAIC就職カレッジは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで事業主名称「ジェイック」として有料職業紹介事業の許可番号が引けます。対象は18歳から35歳で、就職を希望する地域が12の都府県のいずれかであることが成果の条件です。紹介による就職として数えてもらえるかは、ハローワークの給付窓口で先に確認してください。

エージェントの費用を誰が払っているか、どこで利害がずれるかは転職エージェントはなぜ無料なのかにまとめています。

受け取った分は、使ったことになる

再就職手当は「もらって終わり」ではありません。雇用保険法56条の3第4項が、受け取った額の扱いを決めています。

第一項第一号に該当する者に係る就業促進手当を支給したときは、この法律の規定(第十条の四及び第三十四条の規定を除く。)の適用については、当該就業促進手当の額を基本手当日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなす。

受け取った額を基本手当(失業手当のこと)の日額で割ると、日数が出ます。その日数分は、基本手当を受け取ったものとして扱われます。

残日数の60%を受け取ったなら、残日数の60%を使ったことになります。残るのは40%です。70%を受け取った場合は30%が残ります。

これが効くのは、再就職した先を短い期間で離職したときです。受給期間(原則は離職の日の翌日から1年)が残っていれば、残った日数について基本手当を受けられることがあります。そのときに何日残っているかが、この条文で決まります。

満額が戻るわけではない、ということでもあります。 再就職手当は残日数の6割か7割なので、残りの3割か4割は受け取らずに終わります。早く決めるほど率は上がりますが、100%にはなりません。

決まったあとにもう一つある

再就職手当を受けた人が再就職先に6か月以上雇用され、その6か月間の賃金が離職前より低い場合には、就業促進定着手当を受けられるとされています。計算のしかたと上限は就業促進定着手当は賃金が下がったときに出るにまとめました。

年収が下がる転職をした場合の補填にあたるもので、再就職手当とは別の手続きです。申請できる期間は6か月経過後の2か月間だけで、上限の計算に使う割合は2025年4月に変わっています。就業促進定着手当は賃金が下がったときに出るで扱っています。

資格を取ってから決めたい場合は、費用を補助する制度があります。教育訓練給付金には離職後1年以内という期限があるので、順序を先に決めておく必要があります。対象と期限は教育訓練給付金は離職後1年以内にまとめました。

まとめ

  • 給付を残して再就職すると、残日数の60%または70%が支給される
  • 3分の2以上残せば70%、3分の1以上残せば60%
  • 要件は8つあり、すべて満たす必要がある
  • 自己都合で辞めた人は、待期満了後1か月はハローワークか職業紹介事業者の紹介で決まる必要がある
  • 辞める前から内定していた会社に入る場合は対象外
  • 就職日の前日までに失業の認定を受けておく

支給額と要件は個別の事情で変わります。この記事は厚生労働省の案内にもとづいています。自分が該当するかは、管轄のハローワークの給付窓口で確認してください。

60歳以降の再就職では、再就職手当と高年齢再就職給付金のどちらか一方になります。高年齢雇用継続給付金は賃金が75%未満のときにまとめました。

出典