仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くか
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「とりあえず辞めてから探す」の値段を先に知っておく
限界が近いとき、「まず辞めて、それから考えよう」という判断は自然です。実際そのほうがいい場合もあります。
ただ、辞めた翌日から手続きと支払いが始まります。金額と期限を知らずに決めると、想定より早く貯金が減ります。先に数字を出しておきましょう。

辞めた翌日から発生する手続き
在職中は会社がまとめて処理していたものが、すべて自分の手続きになります。
20日以内健康保険(任意継続を選ぶ場合)
数え始める日退職日の翌日。前の会社の健康保険を継続する
14日以内健康保険(国民健康保険を選ぶ場合)
数え始める日退職日の翌日。市区町村の窓口で加入する
14日以内国民年金
数え始める日退職日の翌日。第1号被保険者に切り替える
届き次第失業給付の申請
数え始める日離職票が届く。ハローワークで求職の申込みをする
健康保険は任意継続か国民健康保険かを先に決める。期限が短いほうに合わせることになる
健康保険の任意継続について、健康保険法37条1項はこう定めています。
第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。
資格を喪失する日は退職日の翌日なので、実際には退職日の翌日から20日以内です。
ただし、同じ項に続きがあります。
ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
過ぎたら必ず駄目、とは書かれていません。 何が正当な理由かは保険者が判断するので、確実に間に合わせるほうがよいことは変わりません。ただ、過ぎてしまった場合にそこで諦めるのではなく、加入していた健康保険組合や協会けんぽに事情を伝える道はあります。
国民年金のほうは、日本年金機構が提出期限をこう示しています。
退職日の翌日から14日以内
期限が短いのが厄介な点です。 辞めた直後は精神的に消耗していることが多く、その時期に役所の窓口へ行く必要があります。
見落とされやすいのが保険料
在職中の給与明細に載っていた健康保険料は、実は半額です。残り半分は会社が負担しています。
任意継続では会社の負担分が無くなるので、自分で払う額は在職中の倍が目安になります。ただしそのまま2倍になるとは限りません。健康保険法47条1項が、こう定めています。
任意継続被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
「いずれか少ない額」とあります。退職時の標準報酬月額と、その保険者の平均額とを比べて、低いほうが使われます。給与が高かった人ほど、単純な2倍より安くなることがあります。
正確な額は加入していた健康保険組合や協会けんぽに確認してください。加入できる期間は2年間です。
2年より早く次が決まった場合、任意継続は自動では終わりません。 届出をしないと保険料の引き落としが続きます。やめ方は転職が決まったら任意継続はどうやめるかにまとめました。
国民健康保険を選ぶ場合の保険料は、前年の所得をもとに計算されます。前年に普通に働いていれば、収入が無い状態で前年並みの保険料を請求されることになります。
どちらが安いかは人によって変わるので、退職前に市区町村の窓口で国民健康保険の金額を試算してもらい、任意継続の額と比べるのが確実です。これは在職中でないと比較しにくいため、辞める前に済ませておく価値があります。
失業給付はすぐには入らない
自己都合で退職した場合、7日間の待期期間に加えて給付制限があります。2025年4月以降の退職なら原則1か月です。
つまり、離職票が届いてから手続きをして、そこからさらに1か月以上入金がありません。この間の生活費は自分で持つ必要があります。詳しくは退職代行のその後|転職活動への影響にまとめています。
その前に、自分が受給できる状態にあるかどうかを確認しておく必要があります。加入期間の数え方には条件があり、辞めた後では変えられません。辞める前に|失業給付の受給要件に整理しています。

在職中に動く場合の制約
一方、在職中の転職活動には別の難しさがあります。
時間が取れない。 面接は平日日中に設定されることが多く、有給を使うか業務の合間に調整する必要があります。消耗している状態でこれを重ねるのは簡単ではありません。
気持ちの余裕がない。 現職のストレスが大きいと、応募先を冷静に比べる余裕が失われます。「ここより良ければどこでもいい」で決めると、同じ理由で辞めることになりかねません。
この2点を軽くする手段として、転職エージェントを挟むやり方があります。求人の絞り込みと日程調整を任せられるので、在職中でも活動を進めやすくなります。無料で使えるものが多く、金銭的な負担は増えません。
切り替え手続きを丸ごと不要にする方法
ここまで書いた手続きは、退職日の翌日に次の会社へ入社できれば発生しません。前の会社の社会保険から次の会社の社会保険へ直接移るため、国民健康保険にも国民年金にも入る必要がないからです。
空白を作らないためには、内定先に入社日の相談をすることになります。「◯月末で退職予定なので、翌月1日入社にしたい」と早い段階で伝えておけば、調整してもらえることが多い部分です。
有給消化を挟む場合も同じで、有給消化中は在籍扱いなので社会保険はそのまま継続します。給与も出ます。つまり、有給消化期間に転職活動を進めて、退職日の翌日に入社できれば、金銭的な空白はほぼ生じません。
退職日そのものは動かせないので、逆算して動くかどうかで結果が変わります。逆算の具体的な数え方と、次が決まっている場合に手続きがどう変わるかは転職先が決まっている場合の退職代行に分けてまとめました。
判断の材料
どちらを選ぶかは、次の3つで整理できます。
貯金は何か月分あるか。 保険料と国民年金、生活費を足した金額で計算してください。給付制限の1か月を含めると、最低でも3か月分は見ておきたいところです。
有給は残っているか。 有給消化中は在籍扱いなので、その期間に活動できます。実質的に「在職中に動く」と「辞めてから」の中間を取れます。有給の交渉ができるかは退職代行の運営元によって変わるので、退職代行のLINE相談と運営元ごとの違いを先に確認してください。
いまの職場に通い続けられるか。 心身の状態が限界に近いなら、金銭的な計算より優先されます。無理をして体調を崩すと、転職活動そのものができなくなります。
なお、次を「勤め先」ではなく自分で始める場合は、ここまでの計算とは別の期限が加わります。青色申告の承認申請は事業開始から2か月以内で、開業届より先に切れます。出す書類と期限は開業届はいつまでに出すかに整理しました。
まとめ
- 辞めた翌日から、健康保険と国民年金の手続きが期限つきで発生する
- 任意継続の保険料は在職中の2倍になる。給与明細の額は会社が半分持った後の金額
- 失業給付は待期7日に加えて原則1か月の給付制限がある
- 有給が残っているなら、消化期間を活動にあてる形が現実的
- 心身の状態が限界に近い場合は、金銭の計算より優先してよい