教育訓練給付金|離職後1年の期限
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自分で払う講座にも、戻ってくる仕組みがある
辞めた後に資格を取ろうと考えると、講座の費用が先に立ちます。数万円から、専門的なものだと数十万円かかります。
ハローワークが窓口になる学び直しの制度は2系統あります。ひとつは受講料が無料の公的な職業訓練で、もうひとつが自分で費用を払って受けた講座について、後から一部が戻る教育訓練給付金です。無料の訓練のほうは職業訓練と失業給付|給付制限の解除に整理しているので、ここでは後者を扱います。
戻る割合は講座の種類で変わります。ハローワークインターネットサービスはこう説明しています。
対象となる教育訓練は、そのレベルなどに応じて3種類あり、それぞれ給付率が異なります。
引用元に挙げられている3種類を並べると、次のようになります。
| 種類 | 給付率 | 1年間の上限 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 40%(資格取得して就職すると50%) | 20万円(同25万円) |
| 専門実践教育訓練 | 50%(資格取得して就職すると70%、さらに賃金が5%以上上昇すると80%) | 40万円(同56万円・64万円) |
どの講座がどの種類かは、自分では決められません。 厚生労働大臣が指定した講座だけが対象で、種類も指定の側で決まっています。講座を選ぶ前に、指定を受けているかを確認する順序になります。
なお、賃金の上昇による上乗せは2024年(令和6年)10月1日以降に受講を開始した場合に限られると明記されています。それ以前に始めた人には適用されません。

離職した人には「1年以内に受講を開始」という期限がある
ここが後から取り返せない部分です。離職して被保険者でなくなった人の要件は、こう示されています。
雇用保険の資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ、雇用保険に加入していた期間が3年以上
期限がかかっているのは「修了」ではなく「受講開始」です。 講座を探している、申し込むか迷っている、という状態のまま1年が過ぎると、その時点で対象から外れます。求職活動が長引いたときに気づきにくいところです。
初めて受給する場合は、必要な加入期間が短くなります。ただし短くなる年数が種類で違います。専門実践教育訓練のページにはこうあります。
(1)、(2)とも、過去に教育訓練給付金を受けたことがなく、初めて教育訓練給付を受給しようとする方については、雇用保険に加入していた期間が2年以上あれば受給可能となります。
一般教育訓練と特定一般教育訓練では、同じ位置に「1年以上」と書かれています。初回でも、専門実践だけは2年必要という差があります。
過去に受けたことがある人には、別の間隔の条件があります。
なお、上記要件に加え、教育訓練給付金を受給したことがある場合は、前回の教育訓練給付金支給日から今回の受講開始日の前日までに3年以上経過していることが必要です。
- 離職日の翌日(雇用保険の資格を喪失した日)
1年以内受講を開始する
かつ、雇用保険に加入していた期間が3年以上であること
1か月以内ハローワークに申請する
訓練修了日の翌日から起算して1か月以内
- 給付を受ける
- 1年に間に合わない事情がある
- 延長の申し出がある
1年に間に合わない事情があるときは、延長の申し出がある
1年の期限には例外が用意されています。
受講開始日に被保険者でない方のうち、被保険者資格を喪失した日以降1年間のうちに妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由により引き続き30日以上教育訓練の受講を開始できない日がある場合には、ハローワークにその旨を申し出ることにより、当該被保険者資格を喪失した日から受講開始日までの教育訓練給付金の対象となり得る期間(適用対象期間)を、その受講を開始できない日数分(最大19年まで)、延長することができます。
読み取れるのは、申し出が必要で自動ではないこと、対象になる事情が挙げられていること、延ばせる長さが「受講を開始できない日数分」であることです。休んだ期間より長く延びるものではありません。
申し出には様式があり、期限も条文にある
案内のほうには書かれていないことが、施行規則の側にあります。雇用保険法施行規則101条の2の5第2項が、出すものを名指ししています。
前項の申出をしようとする者は、教育訓練給付金適用対象期間延長申請書(様式第十六号)に前項の理由により引き続き三十日以上教育訓練を開始することができないことを証明することができる書類を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。
決まった様式の申請書と、開始できないことを証明できる書類の2つです。口頭で伝えるだけでは足りないということになります。
認められたときは、同条第3項により通知書が出ます。
管轄公共職業安定所の長は、第一項の申出をした者が同項に規定する者に該当すると認めたときは、その者に教育訓練給付金適用対象期間延長通知書(様式第十七号)を交付しなければならない。
通知書が来て初めて、延びたことが形になります。 申し出たつもりで通知書が届いていないなら、そこで止まっている可能性があります。
同条第1項は、申し出ができる期間も定めています。理由に当たるようになった日の翌日から、被保険者でなくなった日を起算日として20年を経過する日までのあいだです。延ばせる上限も20年と書かれています。案内が「最大19年まで」と書いているのは、もとの1年と合わせて20年になるためです。
体調を理由に辞めた場合は、在職中にしか手続きできない制度もあわせて確認しておくほうがよいところです。退職日の決め方に関わる部分は体調で辞める前に|傷病手当金と退職日にまとめています。
加入期間の数え方は、転職を挟んでも切れないことがある
「雇用保険に加入していた期間」は支給要件期間と呼ばれ、定義があります。
支給要件期間とは、受講開始日までの間に同一の事業主に被保険者等(一般被保険者、高年齢被保険者または短期雇用特例被保険者)として雇用された期間をいいます。
同一の事業主とあるので、転職していると足りないように読めます。ただし続きに通算の規定があります。
この被保険者資格を取得する前の1年間に、他の事業所に雇用され、被保険者等だったことがある場合は、この被保険者等であった期間も通算します。
前職を辞めてから次に入るまでが1年以内なら、前職の期間も足せるということです。転職を何度かしている人が「3年に届かない」と自己判断して諦めるのは早いことになります。
一方で、過去に教育訓練給付金を受けたことがある場合は、その受講開始日より前の期間は通算されないと書かれています。同じ制度を続けて使うことは想定されていません。
自分が要件を満たすかどうかは、支給要件照会という手続きで受講前に確認できます。ただし方法が限定されています。
また、電話による照会は個人情報保護のため及びトラブルのもとになるおそれがあるため、行うことができません。
照会票を書いて、来所・代理人・郵送・電子申請のいずれかで出す形です。電話で済ませようとすると、そこで1往復無駄になります。
戻る金額の計算に、入らない費用がある
一般教育訓練の支給額はこう定められています。
受講者が教育訓練施設者に対して支払った教育訓練経費の20%に相当する額をハローワークから支給します。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円、4千円を超えない場合は支給されません。
下限があります。 20%が4千円を超えない、つまり講座費用が2万円程度に収まる場合は支給されません。安い講座を選ぶと対象から外れることがあります。
そして「教育訓練経費」に何が入るかが、思っているより狭いです。
一般教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練経費とは、申請者本人が教育訓練実施者に対して支払った入学料と受講料(最大1年分)の合計をいい、検定試験の受験料、受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費、教育訓練の補講費、教育訓練施設が実施する各種行事参加のための費用、学債など将来受講者に対して現金還付が予定されている費用、受講のための交通費、パソコンなどの器材の費用、クレジット会社に対する手数料、支給申請時点での未納の額などについては含まれません。
資格を取るための出費のうち、試験の受験料は入りません。 通学の交通費も、講座で使うパソコンも入りません。分割払いにしたときのクレジット手数料も対象外です。資格取得にかかる総額の20%が戻るわけではなく、入学料と受講料に対する20%です。
割引を使ったときの扱いも明記されています。
割引制度などが適用された場合は、割引後の額が教育訓練経費となります。
早期申込割引などで安くなった場合、給付の計算も安くなった後の金額に対して行われます。
逆に、加えられる費用もあります。受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を教育訓練経費に加えることができるとされています(加えられる額は2万円まで)。
手続きの期限は、受講の前と後の2回ある
一般教育訓練は、修了後の申請だけで完結します。
給付を受けるには、訓練修了日の翌日から起算して1か月以内にハローワークに申請が必要です。
1か月です。 修了して気が緩んでいる時期に期限が来るので、修了証明書と領収書を受け取ったらそのまま手続きに行くくらいの段取りが要ります。
特定一般教育訓練と専門実践教育訓練は、受講を始める前にも手続きがあります。
専門実践教育訓練給付金を受けるためには、ハローワークの訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けて、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載した「ジョブ・カード」の交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります。
同じ条件が特定一般教育訓練にも書かれています。受講開始日の2週間前を過ぎてから相談に行っても間に合いません。 講座の申込期限ではなく、この2週間前から逆算して動くことになります。
専門実践教育訓練を昼間通学で受ける人には、訓練中の生活費にあたる給付もあります。
専門実践教育訓練の教育訓練給付を受給される方のうち、昼間通学生の専門実践教育訓練を受講しているなど、一定の要件を満たした方が失業状態にある場合に、訓練受講をさらに支援するため、雇用保険の基本手当の日額の60%に相当する額をハローワークから支給する制度です。(令和8年度末までの暫定措置)
暫定措置と明記されている点と、割合が変わっている点に注意してください。 2025年(令和7年)4月1日より前に受講を開始した場合は80%とされており、引き下げられています。対象者は受講開始時に45歳未満などの要件を満たす人に限られ、通信制・夜間制は除かれます。
民間のスクールが対象かどうかは、会社ではなく講座で決まる
ここからはプログラミングやWebデザイン、動画編集のスクールの話です。数十万円するものが多く、対象かどうかで負担が大きく変わります。
まず押さえるところがあります。厚生労働省の注意喚起文書にこう書かれています。
教育訓練給付制度は、「教育訓練講座」を指定しているものであって、会社を認定するものではありません。当制度上、「厚生労働省指定教育訓練施設(会社)」「教育訓練給付制度指定教育訓練施設(会社)」はありませんので、「指定教育訓練施設」や「指定会社」と称する勧誘にはご注意ください。
指定されるのはコース単位です。 同じスクールでも、あるコースは対象でも別のコースは対象外ということが起こります。「このスクールは国の給付が使えます」という言い方だけで申し込むのは危ないです。自分が受けるコースは外れていた、ということが起きます。

対象かどうかは自分で検索できる
窓口に行かなくても確かめられます。厚生労働省のページにこうあります。
現在、教育訓練給付金の対象として厚生労働大臣の指定を受けている講座は、教育訓練講座検索システムで検索できます
このシステムでは、学校名・講座名・分野や資格名のキーワードで探せます。スクールの名前を入れて、自分が受けようとしているコース名がそのまま出てくるかを見るのが一番早い確かめ方です。
ただし、掲載されていれば安心というものでもありません。システム側にこう書かれています。
本システムには、指定期間中の講座のほか、指定開始前の講座も掲載しています。
指定が始まる前の講座も混ざっているということです。だから最終的な確認は次のように求められています。
指定期間中に受講を開始した場合に、給付の対象となりますので、受講に当たっては、受講開始日が、当該講座の指定期間中かどうか、給付手続き予定のハローワークと、受講予定の教育訓練施設へ確認するようお願い申し上げます。
見るのは受講開始日です。 申し込んだ日でも修了した日でもありません。指定には期間があり、期間が切れた後に受講を始めた分は対象になりません。実際に、指定を取り消された講座の例もシステム上で公表されています。
スクールの説明で、そのまま受け取ってはいけない言い方
同じ注意喚起文書には、事実と違う勧誘の例が並んでいます。読者が実際に目にしそうなものを挙げます。
教育訓練給付金の支給対象者には、一定の要件があり、誰でも給付を受けられるものではありません。
「受講すれば必ず支給される」「誰でも受け取れる」という説明に対する注記です。上に書いたとおり、加入期間や1年以内という要件があり、満たさない人は対象外です。
教育訓練給付制度の指定講座は、資格試験に合格することを保証する制度ではありません。
教育訓練給付制度は、指定講座を受講したことにより特別に認定資格が与えられたり、必ず仕事が提供されたりするというものではありません。
指定は「就職できる」「資格が取れる」の保証ではありません。 指定講座であることと、そのスクールを出た後に仕事が決まるかどうかは、別の話になります。
文書にはほかにも、実質的な値引きの扱いが書かれています。受講料の一部を後から返す、パソコンを無償で渡す。こうした分は教育訓練経費から差し引かなければなりません。差し引かずに申請すると不正受給に当たるとされています。キャンペーンの内容によっては、自分の申請に影響します。
未経験から仕事につなげるときに確かめること
スクールを選ぶときは、卒業後の進路の話をどう扱っているかも見てください。人材紹介を兼ねているスクールもあり、その場合は職業紹介の許可が要ります。確かめ方は未経験のIT転職は許可番号を確認するにまとめました。
講座とは別に、職業紹介そのものを行う事業者に相談する道もあります。その場合も見るところは同じで、有料職業紹介事業の許可を持っているかどうかです。UZUZ第二新卒は会社概要に有料職業紹介事業許可 13-ユ-305514 を載せています。JAIC就職カレッジは、運営会社が上場企業として出している有価証券報告書に許可の有効期間を書いています。
**スクールが「仕事を紹介する」と言った場合と、紹介事業者が紹介する場合では、確かめる相手が違います。**前者は講座の話に紹介が付いているので、給付の対象かどうかとは別に、許可の有無を見ることになります。
受講中の生活費も先に決めておくほうが安全です。失業給付を受けながら受講できるかは講座の種類で変わります。無料の公的な訓練なら条件が軽くなるので、職業訓練と失業給付|給付制限の解除を先に見てください。
手取りの見込み額を書かない理由
この記事に「いくら戻るか」の目安を書いていません。給付率だけでも3段階あり、そこに講座費用、割引の有無、資格取得と就職の時期、賃金の変化が掛かります。ひとつの金額を出すと、当てはまらない人が受け取り方を誤ります。
自分の場合を出したいなら、順序はこうなります。
- 受けたい講座が指定講座か、どの種類かを確認する
- 入学料と受講料の合計を出す(割引後の額で)
- 種類ごとの給付率を掛け、上限と比べる
- 支給要件照会で、自分の加入期間と1年以内かどうかを確認する
早く決まったほうが得になる給付は別にもあります。受給日数を残して就職したときの扱いは再就職手当|早く決まると残りが戻るに整理しています。
まとめ
- 教育訓練給付金は、自分で払った講座費用の一部が後から戻る制度。無料の職業訓練とは別
- 種類は3つで、給付率は20%・40%・50%が起点。上乗せの条件がそれぞれ違う
- 離職した人は、離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要がある
- 妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上開始できないときは、申し出により延長できる
- 加入期間は、前職を辞めて1年以内に次へ入っていれば通算される
- 受験料・交通費・パソコン・クレジット手数料は経費に入らない。割引後の額で計算する
- 申請は修了日の翌日から1か月以内。特定一般と専門実践は受講開始の2週間前までに別の手続きが要る
- 指定されるのは会社ではなく講座。同じスクールでもコースによって対象かどうかが違う
- 対象講座は教育訓練講座検索システムで自分で探せる。ただし指定開始前の講座も載っている
- 見るのは受講開始日が指定期間の中にあるかどうか
- 「必ずもらえる」「合格できる」「仕事を紹介する」は、厚生労働省が事実と違う勧誘として挙げている
指定講座かどうかと、自分が要件を満たすかは窓口で確認できます。講座に申し込む前に照会しておくのが、この制度で一番損をしない順序です。