労働条件通知書で確認する項目
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まず書面と面接の説明を並べる
内定に返事をする前に、勤務地と変更の範囲、仕事の内容、働く時間、給与の内訳を通知書で確かめてください。面接で「残業は少ない」「転勤はない」と聞いたなら、その説明と書面を並べます。違う点があれば入社前にメールなど記録の残る方法で聞きましょう。
労働条件通知書は、契約するときに給与や働く時間などを確かめるための書類です。雇われるつもりで応募したのに業務委託と言われた場合は、書類の項目を見る前に契約の種類と実際の働き方を分けて聞いてください。
優先して見る7項目
労働条件通知書は情報量が多く、全部を同じ重さで読むと疲れます。転職で問題になりやすいのは次の7項目です。
項目見るポイント
就業場所とその変更の範囲
転勤があるか
範囲が「会社の定める場所」だけなら実質無制限
業務内容とその変更の範囲
職種変更があり得るか
始業・終業時刻、休憩
運用と一致しているか
面接で聞いた内容と照合
所定時間外労働の有無
「有」なら残業は前提
無いとは限らない
賃金の内訳
固定残業代が含まれるか
含まれるなら何時間分か
契約期間と更新上限
いつまで働けるか
有期契約なら決まっている
退職に関する事項
申し出の期限
特に注意したいのが賃金の内訳です。 「月給28万円」と提示されていても、そのうち5万円が45時間分の固定残業代なら、基本給は23万円です。45時間の残業が前提の設計だという意味でもあります。面接で聞いた金額と、通知書の基本給が食い違っていないかを照合してください。
試用期間があるなら、その長さと、期間中の賃金が本採用後と違うかも書面で確認できます。入社してからの扱いは試用期間中の解雇|14日を境に変わるに整理しています。
2024年4月から確認できることが増えた
2024年4月から、書面で示される項目が増えました。入社直後の勤務地や仕事の内容だけでなく、将来の異動や職種変更の範囲まで示されます。熊本労働局は、全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に追加された項目として、これを挙げています。
就業場所・業務の変更の範囲
改正前は「雇入れ直後」の就業場所と業務だけが明示対象でした。「勤務地:本社」とだけ書かれていて、3年後に地方支社へ異動になっても書面とは矛盾しませんでした。いまは転勤の可能性があるかどうかを入社前に読み取れます。
有期契約の場合はさらに項目がある
契約社員など期間の定めがある契約では、締結時と更新時に次も明示されます。
更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
「更新は最大3回まで」「通算5年まで」といった上限があるかどうかです。上限があるなら、その契約は何年後かに終わることが決まっています。
無期転換申込権が発生する契約の更新時には、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件も明示の対象になります。
必ず書かれる項目と、定めがあるときだけの項目
契約の期間、就業の場所と業務(変更の範囲を含む)、始業と終業の時刻や休憩・休日、賃金の決定と支払方法、退職に関する事項は、どの会社でも必ず書面などで示されます。「絶対的記載事項」と呼ばれるものです。
根拠は労働基準法施行規則5条で、同条3項が1号から4号の事項を挙げています。
法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第一項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。
一方で、退職手当・賞与・食費の負担・安全衛生・表彰と制裁・休職などは、会社にその定めがあるときだけ明示すればよい項目です(同条1項ただし書)。書かれていないこと自体は、決まりに反しているとは限りません。
雇用契約書との違い
似た書類の雇用契約書とは、届く場面も内容も重なりますが、法律の側での扱いが違います。
労働条件通知書は、労働基準法15条1項が使用者に義務づけている明示のための書類です。出さないこと自体が法律違反になります。いつもらうものかも、同じ条文にあります。
労働基準法15条 1項を開く
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
「労働契約の締結に際し」です。働き始めてからではありません。入社日を過ぎても受け取っていないなら、その時点で15条1項が守られていないことになります。
雇用契約書は、労働契約を結んだことを両者で確認する書類です。労働契約法6条はこう定めています。
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
合意で成立すると書かれていて、書面は要件になっていません。
- 労働条件通知書:会社が出す義務がある。署名は要らない
- 雇用契約書:義務ではない。両者が署名や記名押印をする
「労働条件通知書兼雇用契約書」という1枚にまとめた書式もあります。 署名したからといって、書かれた条件が事実と違ってよいことにはなりません。15条2項の即時解除は、署名の有無に関わらず使えます。
書面でなくてよい場合がある
こちらが希望すれば、書面の代わりにファクシミリや電子メール等で受け取ってもかまいません。条件は、受け取った側が出力して書面を作れることです。
施行規則5条4項の本文は、書面の交付を原則にしています。
法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。
メール等でよいとするのは、続くただし書です。希望していないのに口頭だけで済まされている場合は、書面の交付を求められます。
「変更の範囲」の書かれ方で読み分ける
変更の範囲は、書き方で意味が大きく変わります。
- 「本社」 — 変更の予定がない
- 「本社および〇〇支社」 — その範囲内での異動があり得る
- 「会社の定める全ての事業所」 — 実質的に制限がない
3つ目の書き方は違法ではありませんが、転勤の可能性が広いという情報として読むべきです。 面接で「転勤はない」と言われていた場合、口頭の説明と書面が食い違っています。
食い違いに気づいたら、入社前に確認してください。「書面ではこうなっていますが、認識に相違はないでしょうか」と聞いておけば、記録が残ります。
聞き直しメールのひな形は、当サイトの質問文12例と記録シート(note・100円)に収録しています。
3時点の説明を並べる比較シートは税込300円、買い切りです。無料見本と動作環境を先に読めます。
条件が違っていたときにできること
それでも、入社後に条件が違うと分かることがあります。この場合の選択肢は、厚生労働省の「確かめよう労働条件」に示されています。
実際の労働条件が当初約束した労働条件と違っているような場合には、労働条件が約束どおりになっていないことを理由に、即時に退職することができます(労働基準法15)
通常の退職は申し入れから2週間かかりますが、このケースは即時に退職できるとされています。ただし約束と違ったことを示せるのが前提で、通知書を保管しておく実益はここにあります。
この即時解除の扱いは退職代行で即日辞められる?法律上の線引きで詳しく整理しています。実際に条件が違っていた場合に何ができるかは労働条件が違うときに退職できるかにまとめました。
なお、求人票は通知書とは別の書面で、職業安定法が明示を義務づけています。条件を変えて契約する場合は変更内容の明示が必要とされていて、黙って変えることは禁じられています。見るべき順序は求人票の見方|違う条件なら明示義務があるに整理しました。両方を保管しておくと照合できます。
通知書が渡されない場合
内定後に通知書が渡されない、入社当日まで見せてもらえないときは、内定を承諾する前に書面での提示を求めてください。15条1項の明示は使用者の義務で、渡されないまま入社を決めるのは、条件を確認せずに契約するのと同じです。
求めても出てこない場合、その対応自体が入社後の運用を示す材料になります。労働基準監督署の総合労働相談コーナーには、費用をかけずに持ち込めます。都道府県労働局やハローワークも、求人条件に関する相談窓口を設けています。
前職の退職手続きと並行するとき
入社日は、前職の退職日と有給消化の見通しを立ててから相談してください。
- 退職日の決め方と手続き — 仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くか
- 有給が消化できないと言われた場合 — 退職前の有給消化|断られたときの根拠
- 入社してから有給が付くまでの期間 — 有給休暇の付与日数|転職先では6か月から
前職で20日あった人でも、新しい職場では法律上は6か月後に10日から数え直しになります。これは下限で、就業規則が上回ることは差し支えないので、早く付与されるかを通知書と就業規則で確認できます。
書面を見て辞退を決めることもあります。辞退そのものは厚生労働省が「基本的に問題ない」と示していて、履行を強制されることはありません。線引きは内定辞退で損害賠償を求められるかに整理しました。
提示された年収に何が含まれるかは、明示の対象として省令に並んでいます。月給・賞与・退職手当は3つの別項目です。年収交渉は明示される項目で話すにまとめました。
条件が出ていない段階で返事を求められたときは内定の承諾期限は待ってもらえるかに、試用期間の延長は試用期間を延長すると言われたらにまとめました。
求人の段階で条件を絞れる窓口もある
内定が出る前、求人の段階で条件を確認しながら探す方法もあります。
JAIC就職カレッジは、18歳〜35歳を対象にした就職支援サービスです。利用すると書類選考なしで、面接前に無料の講座と対策が付くと公式サイトに書かれています。対象は成果条件のある地域(東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・岐阜・三重・大阪・京都・兵庫・福岡・熊本)に限られます。
窓口を使っても明示の義務は無くならないので、入社が決まったら通知書そのものを確認してください。
条件の違いを理由に何かを求めるとき
明示された条件と違うことを理由に何かを求める段になると、報酬を得て代わりに交渉できるのは弁護士だけです。根拠は弁護士法72条で、運営元ごとの違いは退職代行|弁護士と労働組合の違いにまとめました。
先に、求人票と通知書と実際の3つを並べて手元に置いてください。どこが食い違っているかが決まらないと、どの窓口でも判断ができません。
応募前は求人広告の六つの情報も確認します。広告の情報だけで、契約時の詳しい条件まで確認したことにはなりません。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 7件
- 出典
- 5件(法令 3)
- 更新
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。