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有給の付与日数は6か月後の10日から

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この記事の見出し(8)
  1. 入社した日には、有給はまだ無い
  2. 条文そのものを読む(労働基準法39条1項)
  3. 「継続勤務」は在籍していた期間
  4. 出勤率8割は、分母のほうに決まりがある
  5. 会社には5日取らせる義務がある
  6. 半日単位は義務ではない
  7. 前の会社の残日数は引き継げない
  8. まとめ

入社した日には、有給はまだ無い

転職して最初に戸惑うことのひとつが、有給休暇の扱いです。前の職場では当たり前に使えていたので、同じ感覚でいると予定が立ちません。

年次有給休暇は、入社と同時に発生するものではありません。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、労働基準法39条の定めをこう説明しています。

まず年休権の発生要件として、雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない旨を、また同2項では、1年6カ月以上継続勤務した労働者(前年の出勤率が8割以上の者に限る。)に対しては、継続勤務2年6カ月までの継続勤務1年ごとに1日、同3年6カ月以後の継続勤務1年ごとに2日を加算した有給休暇(ただし、20日が限度)を与えなければならない旨を定めています。

なお、この制度の法律上の名前は「年次有給休暇」です。有給・有休・年休はどれもその略で、指しているものは同じです。引用した厚生労働省の資料も「年休」と書いています。

要点は2つです。6か月の継続勤務と、全労働日の8割以上の出勤。この両方を満たして初めて10日が発生します。

引用した内容を勤続期間ごとに並べると、次のようになります。

雇入れからの継続勤務期間付与される日数

  1. 6か月10日
  2. 1年6か月11日
  3. 2年6か月12日
  4. 3年6か月14日
  5. 4年6か月16日
年次有給休暇の付与日数(労働基準法39条)。法律上の下限で、就業規則がこれを上回るのは差し支えない

3年6か月以後は1年ごとに2日ずつ加算され、20日が上限です。転職すると、この積み上げが最初からやり直しになります。 前職で20日あった人でも、新しい職場では6か月後に10日からの再スタートです。

なお、法定より早く付与する会社もあります。ここで示したのは法律上の下限で、就業規則がこれを上回ることは差し支えありません。入社時に渡された書類の記載を確認してください。労働条件通知書のどこを見るかは労働条件通知書で確認する項目に整理しています。

入社から6か月の継続勤務と出勤率8割で有給が発生し、最初に10日分が付与されそこから年ごとに増える仕組みを、タイムライン、6か月の地点、8割を表す円グラフ、小さな日数トークンの増加で示したイメージ図です

条文そのものを読む(労働基準法39条1項)

厚生労働省の解説を読む前に、条文を見ておくと要件の形がはっきりします。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

要件は3つで、しかも並列ではありません。

  1. 雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務すること
  2. その間に全労働日の八割以上出勤すること
  3. 満たしたら、使用者は十労働日を「与えなければならない」

3つめです。条文は「与えることができる」ではなく「与えなければならない」と書いています。会社の裁量ではありません。申請して認められるものではなく、要件を満たした時点で発生します。

また「継続し、又は分割した」ともあるので、まとめて取ることも分けて取ることも条文が想定しています。

なお、この10日は最低限です。会社が独自にこれを上回る日数を与えることは妨げられません。就業規則のほうが有利なら、そちらが適用されます。

「継続勤務」は在籍していた期間

6か月を数えるとき、実際に出社した期間だけを数えるわけではありません。

継続勤務とは労働契約が存続している期間、つまり在籍している期間を指すと説明されています。そのうえで、次のように書かれています。

したがって、労働者が在籍している限り、休職、長期病欠、組合専従等の期間も通算されます。

入社後に体調を崩して休職した場合でも、在籍していれば期間としては通算されます。休職そのものに法律の定めは無く、会社の就業規則で決まります。仕組みは休職は法律ではなく就業規則で決まるにまとめました。 ここを「働いた月数」と誤解していると、発生日を実際より遅く見積もることになります。

出勤率8割は、分母のほうに決まりがある

もうひとつの要件が出勤率です。全労働日とは、6か月または1年の暦日数から所定の休日を除いた日数とされ、その8割以上の出勤が第2の要件になります。

そして、出勤していない日でも出勤として扱われるものがあります。業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間、産前産後の休業期間、育児休業や介護休業の期間は、出勤したものとみなして計算しなければならないとされています。育児休業のあいだに出る給付と、復帰せずに辞める場合の扱いは育児休業給付金をもらってから辞められるかにまとめました。

さらに年次有給休暇を取得した期間も、出勤したものとして取り扱われる必要があります

有給を使った日が出勤率を下げることはありません。 「使いすぎると次の付与に響くのでは」と考えて控える必要はない、ということになります。

前の会社の残日数がそのまま引き継がれないこと、会社に有給を5日取得させる義務があること、半日単位の取得が義務ではないこと、条文を確認するという点を三つのパネルで示したイメージ図です

会社には5日取らせる義務がある

2019年の働き方改革関連法により、年10日以上の有給が付与される労働者については、基準日から1年以内に5日以上を取得させることが使用者の義務になりました。違反には罰則が定められています。

ただし、本人が自分で5日取得した場合、使用者の時季指定義務は消滅するとされています。つまり、会社から時季を指定される前に自分で取っておけば、希望する日を選べます。 指定されてから調整するより、先に予定を出すほうが自由度は高くなります。

半日単位は義務ではない

「半日だけ使いたい」という場面もありますが、これは会社の制度次第です。

年休の付与単位は1暦日単位での付与が原則であり、労働者が半日単位で請求しても、使用者はこれに応じる義務はありません

半日単位や時間単位は、就業規則や労使協定で定めがある場合に使えるものです。 前職で半日単位が使えたからといって、転職先で同じとは限りません。制度があるかどうかは就業規則で確認できます。

前の会社の残日数は引き継げない

転職時によく問題になるのが、前職に残っていた有給です。

また労働者が会社を退職した場合、退職日をもって年次有給休暇の権利は消滅します。

退職日をもって消えるため、次の会社へ持ち越すことはできません。 有給は会社との労働契約に紐づくもので、個人に蓄積される権利ではないためです。

したがって、残日数がある状態で辞めるなら、在職中に消化するかどうかを退職日の前に決める必要があります。退職前の消化を断られたときの根拠は退職前の有給消化|断られたときの根拠にまとめています。

入社日を先に約束してしまうと、この消化期間が取れなくなることがあります。退職日と入社日の間隔は、残日数を数えてから決めるほうが取りこぼしが起きません。

まとめ

  • 年次有給休暇は入社時には発生しない。6か月の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤が要件
  • 最初の付与は10日。以後1年ごとに加算され、上限は20日
  • 継続勤務は在籍期間を指し、休職や長期病欠の期間も通算される
  • 産前産後や育児介護の休業期間、有給を取得した日は出勤として扱われる
  • 年10日以上付与される人には、会社に5日取得させる義務がある
  • 半日単位は会社に応じる義務がなく、制度があるかどうかによる
  • 前職の残日数は退職日に消滅する。次の会社へは引き継げない

付与日や単位の扱いは就業規則で上乗せされていることがあります。実際の日数は、入社時の書類と就業規則を確認してください。

使わなかったぶんは翌年度へ繰越されますが、無期限ではありません。労働基準法115条の2年で消えます。中身は有給の繰り越しは2年で消えるに分けました。

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出典