退職相談は無料の公的窓口でできる
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退職のことを相談したいとき、最初に出てくるのは有料のサービスです。ただ、同じ内容を無料で相談できる公的な窓口があります。
このページは、公的窓口で何ができて何ができないかを厚生労働省の案内から確認し、有料のサービスが要るのはどこからかを整理します。
先に、社内に言うかどうかを分ける
相談先は社内と社外に分かれます。この2つは順番が決まっていません。
社内、つまり上司に切り出すのは、退職の意思を伝える行為そのものです。ここでつまずいている場合、相談ではなく伝え方の問題なので、退職は何ヶ月前に言えばいいかと会社を辞めたいけど言えない人のための選択肢に分けました。就業規則の申し出期限と、民法が定める期間は別物なので、そこを先に見ることになります。
このページが扱うのは社外です。上司に言う前でも相談できます。 公的窓口は在職中の相談を断りません。むしろ、言う前に制度を確かめておいたほうが、条件を引き出せる余地が残ります。
辞めたあとの手続き(失業給付や離職票)はハローワークですが、それは退職が決まってからの話で、この相談とは窓口が違います。順序は退職後の手続きは起算点が違うにあります。

総合労働相談コーナー
厚生労働省が設置している窓口です。案内にはこう書かれています。
予約不要 、ご利用は 無料 です。
設置場所も示されています。
各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの378か所に設置しております。
予約が要らず、費用もかかりません。 面談か電話で、専門の相談員が対応します。土日祝と年末年始(12月29日から1月3日)は閉まっています。
扱う範囲は退職に限りません。解雇、雇止め、労働条件の引き下げ、いじめや嫌がらせなど、労働に関する相談を広く受けています。パートやアルバイト、学生や就活生からの相談も対象です。
公的窓口が持っている手段
相談を聞くだけの窓口ではありません。
「 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 」に基づき、労働相談をお受けするほか、 「助言・指導」や「あっせん」 をご案内しています。
助言・指導は、都道府県労働局長が当事者に対して行うものです。あっせんは、第三者が間に入って話し合いをまとめる手続きです。どちらも無料で、法律にもとづいた仕組みです。
法律違反が疑われる場合は、扱いが変わります。
労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は、労働基準監督署等の行政指導等の権限を持つ担当部署に取り次ぐことになります。
賃金の未払いや違法な長時間労働は、行政指導の権限を持つ部署へ回ります。「相談したけれど何も起きなかった」となりにくいのは、この経路があるためです。
未払いの賃金については、相談ではなく申告という手続きを自分で選ぶこともできます。労働基準法104条にもとづく権利で、年間約2万件のうち最も多いのが賃金不払いです。何ができて何ができないかは未払い残業代を労働基準監督署に相談するに整理しました。
相談したことを理由に不利益を受けない
窓口を使うのをためらう理由に、会社に知られたときの扱いがあります。根拠法の側に、そこを直接書いた条文があります。個別労働関係紛争解決促進法4条3項です。
事業主は、労働者が第一項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
1項の援助は、都道府県労働局長への助言・指導の申出です。求めたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いが禁じられています。
あっせんを申請した場合も同じです。同法5条2項が準用しています。
前条第三項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
相談だけでなく、助言・指導の申出とあっせんの申請まで対象です。 使ったこと自体を理由に不利益を受ける前提にはなっていません。
転職活動中でも相談できる
対象になるのは在職中の人だけではありません。同法3条です。
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対し、労働関係に関する事項並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。
「求職者」と「募集及び採用に関する事項」が入っています。 内定を巡る話や、求人票と実際の条件が違った話も、相談の対象です。
ただしあっせんのほうは範囲が狭くなります。同法5条1項です。
都道府県労働局長は、前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
括弧の中で募集・採用の紛争が除かれています。
相談・情報提供(3条)
- 求職者も使える
助言・指導(4条)
- 求職者も使える
あっせん(5条)
- 求職者は除かれる
違うのはあっせんだけ。在職中の労働者は3つとも使える
在職中の労働者は3つとも使えます。
採用のことは聞けるが、あっせんまでは進めないという形です。条件が違ったときの扱いは労働条件が違うときに退職できるかにまとめました。
それでも公的窓口がやらないこと
ここが、有料サービスとの境目になります。
公的窓口は、あなたの代わりに会社へ退職を伝えません。 案内に書かれているのは相談の受付と、助言・指導やあっせんの案内、そして法違反が疑われる場合の取り次ぎです。本人に代わって意思を伝える業務は含まれていません。
つまり、次のような場合には公的窓口だけでは足りません。
| 状況 | 公的窓口 | 退職代行 |
|---|---|---|
| 制度や法律を知りたい | 対応する | 対応の範囲外のことがある |
| 会社の対応が違法か判断したい | 対応する。監督署へ取り次ぐ | 判断は行わない |
| 話し合いの間に入ってほしい | あっせんの案内がある | 運営元によっては交渉ができる |
| 自分では言えないので代わりに伝えてほしい | 対応しない | これが本体 |
「自分では言い出せない」が理由なら、公的窓口では解決しません。逆に「これは違法ではないか」「制度としてどうなっているか」が知りたいなら、無料の窓口で足ります。
あっせんは相手が応じないと進まない
無料で使える手続きなので期待したくなりますが、あっせんには限界が明示されています。
不参加の場合はあっせんを実施せず打ち切り となり他の紛争解決機関の説明紹介になります。
会社側が参加を断れば、そこで終わります。呼び出しに応じさせる力はありません。
参加した場合も、結論が出るとは限りません。
当該あっせん案等は、あくまで話合いの方向性を示すものであり、 その受諾を強制するものではありません。
あっせん案には従わせる効力がありません。 あくまで話し合いの方向性を示すものです。
つまり、あっせんが効くのは相手に話し合う意思がある場合です。連絡そのものを避けられている、会社が退職を認めないと言い張っている、といった段階では、無料であっても届きません。
なお、あっせんの当日に相手と顔を合わせることはありません。双方が別室で待機し、あっせん委員が個別に意見を聞く方式です。会社の人と対面するのが嫌で相談をためらっている場合、この点は懸念になりません。

監督署が扱うのは法違反であって、退職そのものではない
もうひとつ、間違えやすい線があります。
労働基準監督署は労働基準法などの違反を扱う行政機関で、賃金の未払いや違法な長時間労働には権限があります。一方、「辞めさせてもらえない」という状況そのものは、会社との民事的なやり取りにあたります。
そのため、監督署に行っても「退職を認めさせる」ことはしてもらえません。ただし、辞めさせない理由として違法な扱いが絡んでいる場合(例えば退職を申し出たら賃金を払わないと言われた)は、その部分が対象になります。
自分の状況のどこが法違反にあたるかを切り分けるところから、総合労働相談コーナーで相談できます。どの窓口が使えるかを判断するのも相談の内容に含まれます。
順番をつけるとこうなる
費用のかからないものから並べると、次の順序になります。
- 総合労働相談コーナー。予約不要・無料。制度の確認と、違法性の判断はここ
- 労働基準監督署。賃金の未払いなど、法違反の申告
- 退職代行の無料相談。多くの窓口が申し込み前の相談を無料で受けている
- 有料の依頼
3までは費用がかかりません。4に進む前に、1で足りるかどうかを確かめる価値があります。
ただし時間の制約はあります。公的窓口は土日祝が閉庁で、平日の日中に電話か訪問が必要です。明日から出社したくない、という状況では間に合わないことがあります。
依頼する側になったときの選び方
公的窓口では足りないと分かった場合、次に決めるのは依頼先です。
ここで料金から見ないでください。 運営元によって法的にできることが違い、民間業者は会社と交渉ができません。弁護士法72条の制限があるためです。有給の消化や退職日の調整を頼みたいなら、労働組合か弁護士になります。
運営元ごとの範囲は退職代行の窓口を運営元で選ぶに、料金の確かめ方は退職代行の料金は公式サイトで確かめられるかに整理しました。
なお、退職代行の無料相談と公的窓口は、性格が違います。前者は依頼を受ける側による相談で、後者は行政の窓口です。両方に相談して構いません。 費用はどちらもかかりません。
心身の不調があるとき
体調を崩している場合は、退職の相談とは別に相談先があります。自治体の保健所や精神保健福祉センターでは、無料で相談を受けています。
辞めるかどうかを決める前に、休職という選択肢があるかも確認してください。傷病手当金の要件は退職前後の傷病手当金にまとめています。在職中に受給が始まっていれば、退職後も条件を満たす限り続きます。
会社が倒産して賃金が払われないまま辞めた場合は、専用の制度があります。**国が未払賃金の8割を立て替えますが、退職後6か月以内に申立てか監督署長への認定申請がなされていないと対象外になります。**期限は倒産で給料が出ないとき|国が8割に整理しました。
まとめ
- 総合労働相談コーナーは全国378か所、予約不要・無料
- 助言・指導とあっせんの案内があり、法違反が疑われる場合は監督署に取り次ぐ
- 本人に代わって会社へ退職を伝えることはしない。ここが有料サービスとの境目
- 「言い出せない」が理由なら公的窓口では解決しない
- 制度や違法性の確認が目的なら、無料の窓口で足りる
- 土日祝は閉庁。急ぐ場合は間に合わないことがある
個別の事情によって扱いが変わります。判断に迷うときは、まず無料の窓口で状況を伝えてみてください。