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倒産で給料が未払いのとき|国が8割

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この記事の見出し(11)
  1. 払うのは会社ではなく政府
  2. 立て替えられるのは8割(賃確法施行令4条)
  3. いちばん効くのは6か月の期限
  4. 対象になる賃金の範囲
  5. 期限はもう1つある
  6. 残りの2割はどうなるか
  7. 監督署に行くときに持っていくもの
  8. 給料が出ないまま辞めた後のこと
  9. 倒産していない場合
  10. まとめ
  11. 残りの2割と、制度に乗らない分

会社が倒産して、給料が払われないまま辞めることになった。相手に資金が無いのだから諦めるしかない、と考えてしまう場面です。

そのための制度が別に用意されています。払うのは会社ではなく国です。このページは、その中身と期限を公的資料から確認します。

払うのは会社ではなく政府

独立行政法人労働者健康安全機構は、制度をこう説明しています。

未払賃金の立替払制度は、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティーネットとして、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて、その未払賃金の一部を政府が事業主に代わって立替払する制度です。

「政府が事業主に代わって」という部分がこの制度の全部です。会社に資金が残っているかどうかと切り離されています。

規模も小さくありません。

令和6年度における立替払支給者数は、30,591人、立替払額は約110億円です。

年に3万人が使っている制度で、例外的な救済ではありません。

会社が倒産して給料が未払いになったときに、国が未払賃金の8割を立て替える仕組みと、退職後の短い申請期限(6か月)を期限から逆算して動く必要があることを、建物・お金・タイムラインで示したイメージ図です

立て替えられるのは8割(賃確法施行令4条)

金額の範囲は政令が定めています。

法第七条の政令で定める範囲内の未払賃金に係る債務は、同条の未払賃金に係る債務のうち、同条の請求をする者に係る未払賃金総額(その額が、次の各号に掲げる同条の請求をする者の区分に応じ、当該各号に定める額を超えるときは、当該各号に定める額)の百分の八十に相当する額に対応する部分の債務とする。

百分の八十、つまり8割です。 全額ではありません。

同じ政令は、その前提となる未払賃金総額に退職日の年齢で上限を置いています。

退職日の年齢立て替えられる額

  1. 30歳未満88万円未払賃金総額の上限は110万円
  2. 30歳以上45歳未満176万円未払賃金総額の上限は220万円
  3. 45歳以上296万円未払賃金総額の上限は370万円
立替払の上限(政令)。退職日の年齢で決まる

上限は総額のほうに掛かるので、上限を超える場合は「上限額の8割」が支払われます。右の列がその金額です。

いちばん効くのは6か月の期限

制度を知っていても、ここで落ちることがあります。

なお、退職後6か月以内に、裁判所への破産手続開始等の申立て又は労働基準監督署長への認定申請がなされなかった場合は、立替払の対象になりませんので、会社が倒産して賃金の未払が発生した場合は、できるだけ早く労働基準監督署に行き、ご相談ください。

起点は自分の退職日で、期限は6か月です。 そして期限内に必要なのは、自分が請求することではなく、申立てか認定申請がなされていることです。

会社が破産手続をとらないまま連絡が取れなくなる、という形は実際に起きます。その場合に動くのが「労働基準監督署長への認定申請」のほうです。倒産の手続きが始まっていなくても、監督署に事実上の倒産を認定してもらう道があります。

だから、会社の動きを待つ必要はありません。待っている間に6か月が過ぎると、制度そのものが使えなくなります。

対象になる賃金の範囲

何が立替払の対象かも決まっています。

立替払の対象となる未払賃金は、労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているものです。

定期賃金と退職手当です。 賞与は入りません。

金額の下限もあります。

また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。

2万円未満だと対象外なので、少額の未払いはこの制度では回収できません。その場合は別の窓口になります。

期限はもう1つある

6か月とは別に、請求そのものの期限が置かれています。

労働者は、未払賃金の額等について、法律上の倒産の場合には破産管財人等による証明を、事実上の倒産の場合には労働基準監督署長による確認を受けたうえで、独立行政法人労働者健康安全機構に立替払の請求を行いますが、これは破産手続開始の決定等がなされた日又は監督署長による認定日の翌日から起算して2年以内に行う必要があります。

2つの期限は起点が違います。6か月のほうは自分の退職日から数え、2年のほうは決定日や認定日の翌日から数えます。

読み方としては、先に来るのは6か月のほうです。そちらを過ぎると2年の期限に到達する前に対象から外れます。逆に、決定や認定まで進んでいれば、請求の準備に2年の余裕があることになります。

証明や確認を受ける相手も分かれています。裁判所の手続きが動いている場合は破産管財人等、動いていない場合は労働基準監督署長です。どちらの経路になるかで、話をしに行く相手が変わります。

残りの2割はどうなるか

立て替えられるのは8割なので、残りが手元に残ります。同じ機構の説明によると、機構は立て替えた額について労働者の賃金請求権を代位取得し、事業主等に求償するとされています。

代位取得されるのは立て替えた分だけです。 残る2割の請求権は本人のもので、倒産の手続きの中で債権として届け出ることになります。配当があるかどうかは残余財産次第なので、確実に戻るとは限りません。

それでも、8割を先に確保したうえで残りを追う形になります。全額を会社から取り立てようとして時間を使うより、先に制度を使うほうが順序として合理的です。

未払い賃金の残りの2割の扱いや、申請時に持っていく書類、倒産でない場合の交渉や法的手続きなど、複数の選択肢と手続きの流れをフォルダ・チェックリスト・建物・矢印で示したイメージ図です

監督署に行くときに持っていくもの

期限から逆算すると、まず監督署へ行くのが最初の一歩になります。賃金が支払われていないことを示す材料があると早く進みます。

給与明細、雇用契約書や労働条件通知書、振込先の通帳の記録、タイムカードの写しなどです。手元に無くても相談はできます。揃うまで待つほうが期限の点で不利になります。

未払いの記録が手元にないときの集め方は残業代の証拠がないときに整理しました。考え方は倒産の場合も同じで、会社が持っている記録に頼らない材料を探すことになります。

監督署が扱う範囲そのものは未払い残業代を労働基準監督署に相談するにまとめました。申告と、この認定申請は別の手続きです。同じ窓口で両方の話ができます。

給料が出ないまま辞めた後のこと

倒産による離職は、失業給付では特定受給資格者にあたる扱いになります。給付日数が長くなり、給付制限も付きません。区分の判定は離職理由は会社の記載で決まらないにあります。

区分が変わると保険料も動きます。国民健康保険料は前年の給与所得を100分の30として計算されるので、収入が無い時期の負担が下がります。届け出が要る点を含めて会社都合退職のデメリットはあるかに整理しました。

離職票が会社から届かない場合でも、手続きは止まりません。仮決定という経路があり、進め方は離職票が届かないときにまとめました。倒産の場合は会社に人が残っていないことがあるので、この経路のほうが現実的です。

倒産していない場合

会社が営業を続けていて、単に払わないという場合、この制度は使えません。そちらは遅延利息と請求の期限の話になります。退職後は年14.6パーセントが付くので、金額の計算が変わります。給料が未払いのとき|退職後は年14.6%に整理しました。

まとめ

  • 倒産で賃金が払われないとき、政府が事業主に代わって立て替える制度がある
  • 立て替えられるのは未払賃金総額の8割
  • 総額には退職日の年齢で上限があり、110万円・220万円・370万円の3区分
  • 退職後6か月以内に、申立てか監督署長への認定申請がなされていないと対象外
  • 期限内に必要なのは自分の請求ではなく、申立てか認定申請があること
  • 対象は定期賃金と退職手当。賞与は入らない
  • 総額2万円未満は対象外
  • 令和6年度は30,591人・約110億円が支払われている

会社の動きを待たないでください。6か月を過ぎると制度そのものが使えなくなります。

残りの2割と、制度に乗らない分

立替払で戻るのは8割です。残りの2割は制度の外にあります。 賞与や、総額2万円未満のものも対象になりません。

そこを会社や破産管財人に求める段になると、報酬を得て代わりに請求できるのは弁護士だけです。根拠は弁護士法72条で、運営元ごとの違いは退職代行|弁護士と労働組合の違いにまとめました。

ただし順番は変わりません。先に6か月の期限のほうを押さえてください。立替払は費用がかからず、期限を過ぎると制度ごと使えなくなります。

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