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労働基準監督署への相談と、申告は別のもの

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この記事の見出し(12)
  1. 労働者には申告する権利がある
  2. 申告すると何が起きるか
  3. 会社に名前が伝わるのかどうか
  4. 監督官が何をできるか
  5. ただし、取り立ててくれる制度ではない
  6. 退職した後でも申告できる
  7. どこの監督署に行けばよいか
  8. 申告に持って行くもの
  9. 違反そのものは珍しくない
  10. 相談だけなら別の窓口もある
  11. 弁護士に頼む判断
  12. まとめ

残業代が支払われていないと気づいたとき、最初に出てくるのは弁護士への相談です。ただ、その前に費用のかからない手続きがあります。

このページは、労働基準監督署(労基署)への申告で何ができて何ができないかを、厚生労働省と労働局の案内から整理します。

労働者には申告する権利がある

制度として明記されています。

労働者は、労働基準関係法令違反がある場合には、労働基準監督官に行政指導を求めること(申告)ができます(労働基準法第104条等)。

「行政指導を求めること」が労働者の権利として置かれています。 相談ではなく申告です。会社の同意も、弁護士への依頼も要りません。

実際にどれくらい使われているかも公表されています。

申告受理件数は、1年間で約2万件(令和5年)にのぼり、その内訳は、賃金不払に関するものが最も多く、次に解雇に関するものとなっています。

年間約2万件で、最も多いのが賃金不払いです。 珍しい手続きではありません。

対象は残業代に限りません。解雇予告手当が支払われていない場合も労働基準法違反にあたるので、同じく申告できます。 いくら請求できるはずかの数え方は解雇予告手当は30日分に整理しました。

労働基準監督署への「相談」と「申告」の二つの入口を、左右に分かれた通路とアイコン(相談を示す会話吹き出し+虫眼鏡、申告を示す書類+天秤)で表し、申告側から別の建物へ矢印が伸び、金袋に斜線を入れて取り立てではないことを示したイメージ図です

申告すると何が起きるか

山梨労働局が流れを説明しています。

労働基準法や労働安全衛生法などに違反すると考えられる事実がある場合、労働者は労働基準監督署に申告することが可能です。申告の内容を基に、労働基準監督署が調査をし、その結果、法違反が認められた場合は、会社に対して是正勧告を行います。

順序は「申告 → 調査 → 是正勧告」です。是正勧告に従わない場合の扱いも示されています。

監督指導の結果、是正勧告を受けた法違反を是正しないなど重大・悪質な事案については、強制捜査を含む司法警察権限を行使し、送検します。

労働基準監督官には司法警察権限があります。 一般の行政職員とは違い、悪質な事案では刑事事件として扱われます。会社にとっては軽い話ではありません。

これは案内の書きぶりではなく、労働基準法102条に置かれています。

労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

「この法律違反の罪について」と範囲が区切られています。 労働基準法の違反について司法警察官の職務を行うのであって、会社とのもめごと一般を捜査する立場ではありません。未払いの賃金を取り立ててもらえるわけではないのも、ここから来ています。

会社に名前が伝わるのかどうか

申告をためらう理由でいちばん多いのがここです。条文には2つの手当てがあります。

1つは104条2項で、申告をしたことを理由に解雇その他不利益な取扱をしてはならないと定めています。もう1つが105条です。

労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。労働基準監督官を退官した後においても同様である。

退官した後も同じ、と書かれています。申告した人が誰かは、職務上知り得た秘密にあたります。

ただし名前を出さないことと、会社に見当が付かないことは別です。特定の労働者にしか当てはまらない違反を申告すれば、調査の内容から誰の話か分かってしまうことがあります。

そこまで含めてどう進めるかは、申告のときに相談できます。氏名を伏せた申告を受け付けるかどうかは監督署の運用によるので、窓口で確かめることになります。

監督官が何をできるか

101条1項が権限を定めています。事業場に臨検し、帳簿と書類の提出を求め、使用者にも労働者にも尋問できる、という内容です。2項で身分を証明する証票を携帯することになっています。

会社が「そんな記録は無い」と言っても、賃金台帳の作成は108条、その保存は109条で義務づけられています。記録が出てこないこと自体が別の違反になります。

ただし、取り立ててくれる制度ではない

ここが最も取り違えられる部分です。

監督指導は、法違反等を是正していただくことが目的ですので、是正を確認すれば、監督指導は終了となります。

目的は法違反の是正であって、あなたの代わりに未払い分を回収することではありません。 是正勧告で会社が支払えば結果として解決しますが、金額の交渉をしたり、支払わない会社から強制的に取り立てたりはしません。

したがって、次のような場合は監督署だけでは終わりません。

監督署

  • 明らかな不払いには是正勧告を行う
  • 金額に争いがあると判断が難しい場合がある
  • 応じない会社は送検はあり得るが、回収は別
  • 遅延損害金や付加金は対象外

弁護士

  • 明らかな不払いは請求できる
  • 金額に争いがあれば交渉・立証を行う
  • 応じない会社には訴訟・差押えまで進める
  • 遅延損害金や付加金も請求の対象になる

違うのはお金を取り戻すところまで行けるか。監督署は是正させる役で、回収は別

同じ状況でも、監督署と弁護士でできることが違う

「払わせる」と「取り立てる」は別です。 ここを分けて考えると、どちらに行けばよいかが決まります。

退職した後でも申告できる

辞めてから気づくことも多い論点です。

労働者の方が退職済みであったとしても、申告は可能ですが、労働基準法などには時効があるのでご注意ください。

在職中でなければ使えない制度ではありません。 ただし期限があります。

賃金請求権についての消滅時効期間を賃金支払期日から5年(これまでは2年)に延長しつつ、当分の間はその期間は3年となります。

起点は賃金の支払期日で、当分の間は3年です。 条文上は5年ですが、経過措置で3年になっている状態です。給与ごとに時効が進むので、古い月の分から順に消えていきます。気づいた時点で残っている範囲を確認してください。

どこの監督署に行けばよいか

会社が遠方でも問題ありません。

申告はどこの労働基準監督署でしていただいても構いません。ただし、実際の調査は会社の所在地を管轄する労働基準監督署が行います。

申告する窓口と、調査する監督署は別で構いません。 転居した後や、会社に近づきたくない事情がある場合でも、自宅の近くで手続きを始められます。

申告後の流れを示す図で、書類が矢印で虫眼鏡や是正指導を示すクリップボードへ進み会社へ向かう様子、会社への名前伝達が不確実であることを点線矢印で示し、持参物の書類束やカメラ、相談窓口の電話や集団のアイコン、弁護士を示す天秤とブリーフケースの図を配置したイメージ図です

申告に持って行くもの

山梨労働局は、用意するものとして次を挙げています。

・その他、当該申告に関連すると思われる書類(メール等の記録を含む)

・申告対象となる会社の所在地、電話番号、業務内容、代表者氏名、労務管理担当者氏名

後者は会社を特定するための情報で、退職後だと調べ直しになることがあります。在職中に手元へ控えておくと、あとで探す手間が減ります。

前者の「メール等の記録」が実務では効きます。労働時間を示す材料はタイムカードだけではありません。始業と終業を含む業務メール、勤怠システムの画面、入退館の記録、手帳の記載も、時間の裏付けとして使えます。会社を離れると社内システムにアクセスできなくなるので、辞める前に手元へ残すかどうかで、後から取れる選択肢が変わります。 何を受け取れるかは退職の書類は受け取るものと返すものにまとめました。

もっとも、手元に何も無くても申告できないわけではありません。労働時間を記録して3年間保存するのは会社側に求められている措置なので、記録の所在はまず会社側にあります。この点は記録を取っていなくても残業代は請求できるかに整理しました。

名前を会社に伝えるかは選べる

申告をためらう理由の多くは、会社に知られることへの不安です。ここは確認されます。

また、労働基準監督署が調査を行うにあたって、通常、〇〇さんから申告があったということを会社に伝えますが、これを行っていいかについても確認させていただいています。

「通常は伝える」が前提で、そのうえで可否を聞かれる形です。伝えない扱いを希望することもできますが、その場合は調査の進め方が変わることがあります。在職中で関係を続ける必要があるのか、退職後で構わないのかによって、選ぶ答えは変わります。

なお、申告したことを理由とする不利益な取扱いは労働基準法で禁じられています。とはいえ実際に働きにくくなる可能性まで消えるわけではないので、在職中に申告する場合は、この点を窓口で相談したうえで決めてください。

違反そのものは珍しくない

申告に踏み切れない理由に「自分の会社だけ特別なのでは」という迷いがあります。実績の数字が公表されています。

監督指導は、1年間に約17万件(令和5年)実施しています。そのうち定期監督(主体的、計画的に実施する監督指導)等では、約70%の事業場において何らかの労働基準関係法令違反が認められました。

調査した事業場の約7割で、何らかの違反が見つかっています。申告を受けて調べた場合だけでなく、計画的に回った場合でもこの割合です。特殊な事案を持ち込むことになるわけではありません。

そして同じページには、これらの違反のほとんどが監督官の指導によって是正されている、とも書かれています。是正勧告は、実際に会社を動かしています。

相談だけなら別の窓口もある

申告まで踏み切るか迷う段階なら、まず相談という選択もあります。総合労働相談コーナーは予約不要・無料で、全国378か所にあります。制度の確認や、自分のケースが法違反にあたるかの切り分けから相談できます。扱う範囲は退職相談は無料の公的窓口でできるに整理しました。

弁護士に頼む判断

上の表で「弁護士」の側に当てはまるなら、費用をかける意味があります。

特に金額に争いがある場合です。 固定残業代の扱い、管理監督者かどうか、労働時間として認められる範囲。こうした論点は監督署の是正勧告だけでは決着しません。

報酬を得る目的で法律事務を扱うことは弁護士法72条で制限されているため、未払い賃金の請求を代理できるのは弁護士だけです。 退職代行を名乗る民間業者や、労働組合が行える範囲とは違います。運営元ごとの違いは退職代行|弁護士と労働組合の違いで条文をたどりました。

申告しようにも記録が手元に無い、という場合が実際には多くなります。タイムカードの写しが無くても、証拠として扱われうるものは他にあります。集め方は残業代の証拠がないときにまとめました。

会社が倒産して賃金が払われないままの場合は、申告とは別の経路があります。国が未払賃金の8割を立て替える制度があり、退職後6か月以内に申立てか監督署長への認定申請がなされていないと対象外になります。期限と対象は倒産で給料が出ないとき|国が8割に整理しました。

倒産していない会社に対して請求する場合は、退職後なら年14.6パーセントの遅延利息が付きます。給料が未払いのとき|退職後は年14.6%にまとめました。

仕事が原因のけがや病気については、同じ監督署が労災の請求を扱います。事業主の証明が得られなくても請求でき、判断するのは会社ではなく監督署です。退職後の扱いは労災の権利は退職しても変わらないにまとめました。

まとめ

  • 労働者には労働基準法104条にもとづく申告権がある。費用はかからない
  • 年間約2万件の申告があり、最も多いのが賃金不払い
  • 監督署が行うのは是正指導。あなたの代わりに取り立てる制度ではない
  • 是正に応じない重大・悪質な事案は送検されることがある
  • 退職後でも申告できる。ただし賃金請求権の時効は当分の間3年
  • 申告はどこの監督署でもできる。調査は会社の所在地の管轄が行う
  • 会社名を伝えてよいかは確認される。伝えない扱いを希望することもできる
  • 労働時間の材料はタイムカードだけではない。メールや勤怠画面も裏付けになる
  • 監督指導を受けた事業場の約7割で何らかの違反が見つかっている
  • 金額に争いがある場合は、交渉と立証ができる弁護士の領域になる

まず無料の窓口で自分のケースがどちらに当たるかを確かめてから、費用をかけるかどうかを決めてください。

給与から罰金として引かれている場合の上限は会社の罰金制度はどこまで許されるかに条文から書きました。

会社の都合で休まされた日の手当は休業手当は平均賃金の60%以上にまとめました。

そもそも時間外労働をさせてよいのかという前提もあります。36協定と届出が無ければ、残業代の有無と関係なく労働基準法32条に違反します。上限の数字は36協定の残業時間は月45時間・年360時間にまとめました。

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弁護士法人ガイア総合法律事務所弁護士記載なし(理由は下)
弁護士法人ガイア総合法律事務所
弁護士が対応し、有給消化・離職票・源泉徴収票の取り寄せ・残業代・退職金の請求まで行うと記載(2026年8月18日確認。ページはほぼ画像で、この記述は img の alt 属性にある)。meta description に「即日退社、有給消化、社宅住み、入社したばかりの方、公務員、役員、業務委託全部対応します」とある。「自衛隊」「無期限サポート」の語はページに無い。LINE・電話での無料相談あり 公式サイトに画像で掲載されているため未掲載

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