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退職日を月末にするか、前日にするか

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「前日に辞めると1か月分浮く」は半分だけ合っている

退職日を相談できる状況になると、月末にするか、その前日にするかという話が出てきます。月末の前日に辞めると社会保険料が1か月分浮く、という言い方をされることがあります。

厚生年金の保険料が止まるところまでは、そのとおりです。ただし止まった月の分は、別の制度の保険料として自分に来ます。 消えるわけではありません。

どちらが小さくなるかは人によって変わり、次の会社に入る日によっても変わります。ここを分けて見ないと、1日ずらしたのに負担が増える、ということが起こります。

資格を失うのは退職日ではなく、その翌日

起点はここです。日本年金機構の年金Q&A(2025年9月1日更新)は、月の途中で退職した場合をこう説明しています。

退職した日の翌日に厚生年金の被保険者資格を喪失することとなります。保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があります。

退職日の当日ではなく、翌日に資格を失います。 そして保険料は、その喪失日が属する月の前月分までです。

3月30日に辞めた場合、喪失日は3月31日です。3月の前月、つまり2月分までが厚生年金保険料の対象になります。3月分は引かれません。

月末に辞めた場合

同じQ&Aは、月末退職の場合を続けて説明しています。

なお、月の「末日」に退職した場合は、翌月1日が資格喪失日となりますので、退職した月分までの保険料を納める必要があります。この場合は、給与計算の締切日によって、退職時の給与から前月分と当月分の被保険者負担分が控除される場合があります。

3月31日に辞めた場合、喪失日は4月1日なので、3月分までが対象になります。前日に辞めた場合と比べて1か月分多いのは事実です。

後半も見ておいてください。最後の給与から2か月分の保険料が引かれることがあります。 会社は前月分を当月の給与から控除する形をとっていることが多く、そこに当月分が加わるためです。最後の給与の手取りが想定より少なくなる原因のひとつがこれです。

前日に辞めた月は、自分で払う側になる

ここが「浮く」と言われる部分の実際です。

厚生年金の資格を失った日から、国民年金の第1号被保険者になります。日本年金機構の案内(2024年7月1日更新)は、4月15日に辞めて以後就職しない場合をこう書いています。

4月16日から国民年金第1号被保険者となり、4月末以降も第1号被保険者である場合、4月分の保険料から納付します。

月末の時点でどの制度に入っているかで、その月の保険料が決まります。 4月16日から第1号で、4月末もそのままなら、4月分は自分で納めることになります。

3月30日退職に置き換えると、3月31日から第1号です。月末時点で第1号なので、3月分の国民年金保険料が発生します。 厚生年金保険料が引かれなかった月は、そのまま無料になる月ではありません。

健康保険も同じ日で切れるので、その月は国民健康保険に入るか、家族の扶養に入るかを選ぶことになります。厚生年金保険料(本人負担分)が、国民年金保険料と国民健康保険料に置き換わるという理解が実際に近くなります。

金額の大小は、報酬額・住んでいる市区町村・扶養している家族の人数で変わります。一律にどちらが得とは言えません。 選択肢ごとの比べ方は退職後の健康保険と年金|20日と14日に整理しています。

もうひとつ、厚生年金の加入月数が1か月短くなります。 目先の保険料とは別に、将来受け取る老齢厚生年金の計算に入る月が1つ減ります。

次が決まっているなら、空白を作らない

次の会社の入社日が決まっている場合は、話が変わります。同じ案内の、4月16日入社の例です。

4月16日から国民年金第2号被保険者となり、4月末以降も第2号被保険者である場合、4月分の保険料を納付する必要はありません。

月末時点で厚生年金に入っていれば、その月の国民年金保険料は要りません。 月の途中に空白があっても、月末に間に合っていれば埋まります。

逆に危ないのが、3月30日に辞めて4月1日に入社する形です。3月31日の1日だけ第1号になり、3月末時点で第1号なので、3月分の国民年金保険料が発生します。 1日ずらしたことで、切替の手続きも1回増えます。

次が決まっているなら、退職日を月末、入社日を翌月1日にすると空白が生まれません。 この場合の手続きの少なさは仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかでも扱っています。

健康保険も同じ届出で切れる

健康保険と厚生年金は、別々に手続きするものではありません。

健康保険および厚生年金保険の資格を喪失する者(70歳以上被用者を含む)が生じた場合は、事業主が「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を提出します。

1枚の届出で両方が同じ日に切れます。 退職日をずらせば、健康保険証が使えなくなる日も一緒に動きます。次の保険の手続きをする日も同じだけずれます。

3つの形を並べる

3月を例にすると、次のようになります。

退職日と入社日3月分の厚生年金保険料3月分の国民年金保険料
3月31日退職・次は未定納める(会社経由)不要
3月30日退職・次は未定納めない納める(自分で)
3月30日退職・4月1日入社納めない納める(3月31日だけ第1号のため)
3月31日退職・4月1日入社納める(会社経由)不要

健康保険も同じ区切りで動くため、2行目と3行目は国民健康保険か家族の扶養の手続きが加わります。手続きの回数まで含めると、1日の差では済まなくなることがあります。

退職日は自分だけでは決められない

ここまでは保険料の話ですが、退職日そのものは会社との合意で決まります。有給の残日数、引き継ぎ、就業規則の定めが先に効きます。 保険料の都合だけで日付を動かせる場面は多くありません。

保険料以外にも、退職日で変わるものがあります。

  • 住民税の徴収方法。 辞める月によって、最後の給与から一括で引かれるか、自分で納めるかが変わります。詳しくは退職月で変わる住民税|最後の給与が減るにまとめています
  • 失業給付の被保険者期間の数え方。 区切りは暦月ではなく離職日からの1か月ごとです。条件は辞める前に|失業給付の受給要件で扱っています
  • 退職金の勤続年数。 何年何か月になるかで税額の計算が変わります

日付をひとつ決めると、複数の制度が同時に動きます。 保険料だけを見て決めると、別のところで差が出ることがあります。

まとめ

  • 厚生年金の資格を失うのは退職日の翌日。保険料は喪失日が属する月の前月分まで
  • 月末に辞めると退職月まで納める。最後の給与から2か月分引かれることがある
  • 月末の前日に辞めると厚生年金保険料は止まるが、その月は国民年金と国民健康保険が自分にかかる
  • 月末の時点でどの制度に入っているかで、その月の国民年金保険料の要否が決まる
  • 次の会社が決まっているなら、月末退職・翌月1日入社なら空白が生まれない
  • 厚生年金の加入月数が1か月減ることも計算に入れる

金額は報酬額と市区町村で変わります。自分の場合にどちらが小さくなるかは、年金事務所と市区町村の窓口で確認してください。 この記事は日本年金機構の案内にもとづいており、資料の更新日は本文中に記載しています。

出典