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有給の買取ができる場合とできない場合

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この記事の見出し(12)
  1. 39条は「与えなければならない」と書いてある
  2. 例外は「法を上回る分」
  3. 買い取ってもらえないなら、どうするか
  4. 退職が決まっていると、変更できる先が無くなる
  5. 「消化中に転職先で働く」はできるか
  6. 残日数の数え方
  7. 買い上げに応じてもらえた場合の扱い
  8. 会社が「就業規則で買い取る」と定めている場合
  9. 引き止められたとき
  10. 会社が応じないとき
  11. 有給を使った期間も在職中
  12. まとめ

退職が決まって有給が残っていると、「買い取ってもらえないか」と考えます。結論から書くと、会社に買い取る義務はありません。

理由は条文の書き方にあります。

39条は「与えなければならない」と書いてある

労働基準法39条1項です。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

「与えなければならない」であって、相当額を払えばよいとは書かれていません。労働局の説明も同じところを指しています。

労働基準法では、「有給休暇を与えなければならない」と規定されていますので、金銭を支給しても与えたことにはなりません。また、買上げの予約をして請求できる年次有給休暇日数を減らしたり、請求された日数を与えないことはできません。

金銭を払っても「与えた」ことにならない、と書かれています。つまり買い上げは、休暇を与える義務の代わりにはなりません。

有給休暇を金銭で買い取ることが原則認められないという主旨を、カレンダー(有給)と貨幣のやり取りが法律の秤で矢印をさえぎられる構図で表したイメージ図です

例外は「法を上回る分」

同じ説明にただし書きが続きます。

ただし、法を上回る日数の年次有給休暇についてはこの限りではありません。

39条が定めているのは最低限の日数です。会社がそれに上乗せしている分は、法律が与えることを義務づけている範囲の外にあるので、扱いが変わります。

自分の会社が上乗せしているかどうかは、就業規則の年次有給休暇の条項で確かめられます。上乗せが無ければ、買い上げの対象になる部分はありません。

買い取ってもらえないなら、どうするか

退職日までに消化するのが確実です。 これも39条に根拠があります。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

前半が時季の指定です。いつ取るかを決めるのは働く側で、会社が選ぶのではありません。

後半のただし書きが、いわゆる時季変更です。ただし読み方に注意が要ります。書かれているのは「他の時季にこれを与えることができる」で、与えないでよいとは書かれていません。

退職が決まっていると、変更できる先が無くなる

ここが退職時に効いてきます。

時季変更は「他の時季に与える」ことなので、与えられる日が残っている必要があります。 退職日が決まっていて、そこまでに他の営業日が無ければ、変更する先がありません。

だから有給を使い切りたいなら、退職日から逆算して、残日数が収まるように退職日を設定するのが順序になります。先に退職日を決めてしまうと、消化しきれない分が出ます。

退職日そのものの決め方は退職日を月末にするかどうかで社会保険料が変わるにまとめました。

「消化中に転職先で働く」はできるか

有給を消化している期間も在職中なので、二重就労になります。就業規則で兼業を禁じている会社では、そこに引っかかります。

入社日を消化の終わりより後ろにしておくと、この論点は起きません。転職先に事情を伝えて日付を調整するほうが、あとの手続きも単純になります。

在職期間が重なると、社会保険の資格取得と喪失が同じ月に並びます。どちらで払うかの整理が必要になるので、重ねないほうが手間が減ります。

残日数の数え方

何日残っているかは、給与明細か勤怠システムに出ていることが多いです。出ていなければ会社に聞けます。

39条は勤続年数に応じて日数が増える仕組みなので、入社日と出勤率がわかれば計算の見当はつきます。1年6か月以降は条文の表で1年ごとに加算されます。

買い上げに応じてもらえた場合の扱い

上乗せ分などで買い上げが成立したとき、支払われる金額は賃金として扱われます。給与明細に載り、源泉徴収の対象にもなります。

退職金とは別なので、退職所得の控除は使えません。その年の給与収入に足されるので、年末調整や確定申告のときに効いてきます。

退職の年の税金の整理は退職した年の確定申告と還付にまとめました。

退職時に残った有給の日数の扱いを分岐で示した図。転職先で消化する場合と、会社が買い取る場合(法で保護された範囲を超える分のみ買い上げが想定される)に分かれることを示すイメージ図です

会社が「就業規則で買い取る」と定めている場合

39条が義務づけているのは休暇を与えることまでで、それを超えて会社が買い上げを定めること自体は妨げられていません。

だから就業規則に定めがあるなら、そちらは会社と働く側の約束として効きます。定めがあるかどうかは、退職の相談をする前に確かめておくと交渉の材料になります。

逆に、定めが無いのに「買い取るから消化はするな」と言われた場合は、引用した労働局の説明と逆の扱いになります。

引き止められたとき

「引き継ぎがあるから消化は無理」と言われることがあります。これは時季変更の話に見えますが、変更できる先が無い以上、そのままでは条文の求めに合いません。

言い出しにくい場合の順序は退職の切り出し方、交渉まで頼むかどうかは退職代行のデメリットを2つに分けるにまとめました。交渉できるのは弁護士と労働組合だけなので、有給で詰まりそうならそこを先に確かめてください。

会社が応じないとき

労働基準監督署に相談できます。全国の労働局・監督署に総合労働相談コーナーが置かれていて、無料です。

窓口は退職相談ができる窓口にまとめました。

誰に頼めるかは運営元で決まる

会社が応じないときに間に入ってもらう場合、頼む相手によってできることが違います。

民間業者

  • 退職の意思を伝えることはできる
  • 有給や退職日の交渉はできない

労働組合

  • 退職の意思を伝えられる
  • 有給や退職日の交渉もできる

弁護士

  • 退職の意思を伝えられる
  • 有給や退職日の交渉もできる

意思を伝えるところは3つとも同じ。分かれるのは交渉ができるかどうか

会社が応じないとき、頼む相手によってできることが違う

交渉は法律事務にあたるので、民間業者が行うと弁護士法72条に触れます。退職代行の労働組合は誰なのかで条文から整理しました。

買取そのものは交渉しても通らないことがあります。上で見たとおり、労働基準法39条は「与えなければならない」と定めていて、金銭を払っても与えたことにはならないためです。交渉できるのは消化のほうです。

有給を使った期間も在職中

消化している間も雇用は続いています。社会保険の資格も続くので、その月の保険料はかかります。転職先の入社日と重なる形にすると、二重加入の整理が必要になります。

退職後の保険の扱いは退職後の健康保険と国民年金にまとめました。

まとめ

  • 有給の買い上げに、会社の義務はない
  • 39条は「与えなければならない」と書いていて、金銭を払っても与えたことにならない
  • 例外は法を上回る日数の分だけ。就業規則で確かめる
  • 使い切りたいなら、退職日から逆算して残日数が収まるようにする
  • 時季変更は「他の時季に与える」こと。退職日以降には与えられない

在職中に使い切れなかったぶんがいつ消えるかは有給の繰り越しは2年で消えるにまとめました。

紹介したサービスの運営元

サービス運営元料金
男の退職代行労働組合21,800円(税込) / 追加費用: 組合費が別途1,000円かかると公式サイトに明記。アルバイト・パート(社会保険未加入)は18,800円(税込)で、こちらも組合費は別途
わたしNEXT労働組合21,800円(税込) / 追加費用: 組合費が別途1,000円かかると公式サイトに明記。アルバイト・パート(社会保険未加入)は18,800円(税込)で、こちらも組合費は別途
弁護士法人ガイア総合法律事務所弁護士記載なし(理由は下)
円満退職ユニオン労働組合記載なし(理由は下)
男の退職代行
合同労働組合 toNEXTユニオンが運営。「有給を全て消化してからの退職と、お給料を満額支給してもらえるようサポート」と明記。男性専門。FAQ には「ほとんどのケースで有給消化しての退職に成功しております」としたうえで「(可能かどうかは会社側の就業規則や判断となります)」と併記されている(2026年8月22日に再確認)
わたしNEXT
合同労働組合 toNEXTユニオンが運営。女性専門。FAQ に「ほとんどのケースで有給消化しての退職に成功しております」とあり、「(可能かどうかは会社側の就業規則や判断となります)」と併記されている(2026年8月22日に再確認)
弁護士法人ガイア総合法律事務所
弁護士が対応し、有給消化・離職票・源泉徴収票の取り寄せ・残業代・退職金の請求まで行うと記載(2026年8月18日確認。ページはほぼ画像で、この記述は img の alt 属性にある)。meta description に「即日退社、有給消化、社宅住み、入社したばかりの方、公務員、役員、業務委託全部対応します」とある。「自衛隊」「無期限サポート」の語はページに無い。LINE・電話での無料相談あり 公式サイトに画像で掲載されているため未掲載
円満退職ユニオン
労働組合法人 円満退職ユニオンが運営。主な対応内容として退職の意思の通知・退職日の調整・有給休暇の取得についての協議・最終賃金についての確認・退職届など必要書類の確認・退職後に必要となる書類についての確認を明記。全国対応(オンライン可)。「“争わずに、手続きを整える”ことに徹します」とあり、損害賠償請求や訴訟など法律上の争いが生じている場合は弁護士への相談が適しているとして、必要に応じて弁護士を案内するとしている(2026年8月22日に再確認。8月18日に書いていた「貸与物の整理」はページに無い。「貸与」「返却」とも0件で、対応内容の一覧は上の6項目) 公式サイトのFAQに「一案件一律16,000円で追加料金はありません。」とテキストで記載があるが、税込か税別かの表記が無いため金額として掲載していない。2026年9月19日に22,000円から改定された(2026年9月18日確認)

運営元の種別は、各サービスの公式サイトで確認しています。広告主の掲載条件によりURLを記載できないサービスがあるため、リンクの有無は確認の有無とは関係ありません。料金は税込価格が文章で明示されているものだけを掲載しています。

出典