転職エージェントの実績は人材サービス総合サイトで調べられる
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転職エージェントを選ぶとき、判断材料はたいてい各社のサイトと口コミです。どちらも書き手に都合のいい情報が残りやすく、比べても差が出にくい。
ただ、エージェント自身が書かない数字が、国のサイトに公開されています。このページは、何が見られるのかと、その読み方を条文から確認します。
実績の公開は義務になっている
根拠は職業安定法の第32条の16第3項です。
有料職業紹介事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該有料職業紹介事業者の紹介により就職した者の数、当該有料職業紹介事業者の紹介により就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る。)のうち離職した者(解雇により離職した者その他厚生労働省令で定める者を除く。)の数、手数料に関する事項その他厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。
「行わなければならない」なので、任意の開示ではありません。公開先は厚生労働省が運営する人材サービス総合サイト(jinzai.hellowork.mhlw.go.jp)で、登録も料金も要らず誰でも検索できます。
条文に出てくる項目を並べると、こうなります。
公開される項目中身
- 就職者数その事業者の紹介で就職した人の数
- 無期雇用就職者数うち、期間の定めのない契約を結んだ人の数
- 6か月以内の離職者数うち、入社6か月以内に解雇以外の理由で辞めた人の数
- 離職が判明せず辞めたかどうか確認できなかった人の数
- 手数料に関する事項手数料表と、職種ごとの平均手数料率
- 返戻金制度早期離職時に手数料を返す仕組みの有無と内容
数字は前年度分だけでなく、その前の4年度分も並びます。単年の上下ではなく、傾向として読めるようになっています。

効くのは「6か月以内の離職者数」
この中で、求職者にとって意味が大きいのは3つ目です。
エージェント経由で入社した人が、半年以内にどれだけ辞めているか。これは求人票にも面談にも出てこない数字で、事業者が自分から書く理由もありません。 就職者数に対する割合を出せば、紹介の精度をおおまかに見ることができます。
ただし、読むときに知っておくべき前提があります。
1つ目は、集計方法に代替が認められていること。 業務運営要領は、原則として雇用主への調査を求めていますが、返戻金制度を設けている事業者は、返戻の対象になった人数を数える方法で代えてよいとしています。つまり、返戻の条件から外れた離職は数に入っていない可能性があります。
2つ目は、「離職が判明せず」の列があること。 追跡できなかった人はここに入ります。この列が大きい事業者は、離職者数が小さくても実態が分かりません。離職者数だけを見て比べると読み違えます。並べて見てください。
平均手数料率が2025年4月から加わった
もうひとつ、比較的新しい項目があります。業務運営要領にこう書かれています。
ニに掲げる情報には、取扱職種ごとの常用就職(無期雇用又は4ヶ月以上の有期雇用)1件当たりの平均手数料率を含むこと(令和7年4月1日からの追加事項)。
企業がいくら払っているかの実績値です。前年度に多く扱った上位5職種について、手数料の合算額を、就職した人の年間賃金見込みの合算額で割って算出すると定められています。
エージェントの費用を求職者が払わない仕組みそのものは転職エージェントはなぜ無料なのかにまとめました。そちらでは金額の目安を書いていません。よく言われる「年収の3割」という数字が、確認した公的資料に見つからなかったためです。その空白を、事業者ごとの実績値で埋められるようになったのがこの項目です。
ただし全職種に載るわけではありません。
また、常用就職の件数が前年度10件以下の職種については、当該平均手数料率の掲載を要しないこと。
扱いの少ない職種は対象外です。自分が狙う職種が上位5職種に入っていなければ、そもそも表示されません。
行政処分を受けていないかも調べられる
詳細検索条件には、行政処分の絞り込みがあります。選べるのは「行政処分なし」「改善命令」「停止命令」「廃止命令」「許可取消処分」です。
それぞれの根拠も条文にあります。もっとも重い許可の取消しは、職業安定法32条の9第1項です。
厚生労働大臣は、有料職業紹介事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第三十条第一項の許可を取り消すことができる。
期間を区切った営業停止も定められています。
厚生労働大臣は、有料職業紹介事業者が前項第二号又は第三号に該当するときは、期間を定めて当該有料の職業紹介事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
より軽い段階が改善命令です。
厚生労働大臣は、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者又は労働者供給事業者が、その業務に関しこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、これらの者に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
処分歴があること自体が、そのまま今の運営の評価にはなりません。いつ、何に対する処分かで意味が変わります。それでも、口コミよりは確かな材料です。
この2つは、雇用保険の給付にも効く
上に出てきた停止命令と改善命令は、失業給付の移転費(引っ越し代)の条文にも顔を出します。職業安定法施行規則13条の2第2項がこう定めています。
法第十八条の二の厚生労働省令で定めるものは、法第三十二条の九第二項(法第三十三条第四項、第三十三条の二第七項及び第三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定により職業紹介事業の全部又は一部の停止を命じられている者及び法第四十八条の三第一項の規定により業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命じられている者(当該必要な措置を講じていない者に限る。)とする。
雇用保険法施行規則86条は、移転費の対象になる紹介元から、この者を除いています。処分を調べることは、引っ越し代が出るかを確かめることでもあります。 移転費と広域求職活動費の違いは広域求職活動費と移転費|面接と引っ越しの費用が出るにまとめました。
調べる手順
登録は要りません。手順はこれだけです。
- 人材サービス総合サイトを開き、上部の「職業紹介事業」を選ぶ
- 都道府県は必須なので、本社の所在地にチェックを入れる
- 事業主名称に会社名を入れる(部分一致で検索できる)
- 処分歴も見たいときは「詳細検索条件」から行政処分を指定する
- 検索すると、就職者・離職者数・手数料・返戻金制度が一覧で並ぶ
許可番号が分かっているなら、そちらのほうが確実です。「13-ユ-305514」のような形式で、有料職業紹介事業者は自社サイトへの明示が求められています。名称は表記ゆれで引っかからないことがあるので、番号のほうが早いことがあります。
許可を確かめる先が、このサイトの外にあることもあります。記事末尾の表に挙げたJAIC就職カレッジを運営する株式会社ジェイックは上場企業なので、有価証券報告書にも許可のことが書かれています。有効期間は2023年8月1日から2028年7月31日までです。上場していれば、この経路がもう1本使えます。
なお、都道府県を選ばないと検索できない作りなので、本社所在地が分からない場合は先に会社概要を見てください。

数字が「-」のこともある
検索しても、就職者数や離職者数の欄が「-」になっていることがあります。これは事業者の怠慢とは限りません。掲載時期が項目ごとに決まっているためです。
就職者数は翌年度の4月に、6か月以内の離職者数は翌年度の10月から12月にかけて掲載する扱いになっています。設立から日が浅い事業者や、集計の時期をまたいで見た場合は、まだ数字が入っていないことがあります。
とはいえ、複数の事業者を同じ時期に並べれば、出している側と出していない側の差は見えます。同じ条件で比べるために、調べる日をまとめてください。
実際に同じ日で5社を並べた結果は就活エージェントのおすすめを数字で確かめるに置きました。常用就職に占める無期雇用の割合が、会社によって14.9%から100%まで開きます。
分からないこともある
このサイトで分かるのは実績と処分歴で、次のことは分かりません。
- 担当者との相性
- 自分の経歴に合う求人を持っているか
- 連絡の頻度や返信の速さ
数字は入口の足切りには使えますが、決め手にはなりません。最終的には面談で確かめることになります。面談で何を聞くかは転職エージェントはなぜ無料なのかの後半に整理しました。
内定が出たあとは、求人票と実際の条件が一致しているかの確認が残ります。食い違っていた場合の扱いは労働条件通知書で確認する項目にまとめています。
既卒や就職浪人の状態で使う場合も、確かめ方は同じです。卒業後3年以内なら新卒枠に応募できるよう指針が求めているので、公的窓口と民間の紹介を並行して使えます。線引きは就職浪人は新卒枠に応募できるにまとめました。
許可番号を持っている会社が、派遣の許可も持っていることがある
人材サービス総合サイトは、職業紹介と労働者派遣を別々の事業として載せています。同じ会社が両方の許可を持っていると、2件出てきます。
このサイトが載せているUZUZ第二新卒を例にします。運営する株式会社UZUZは、会社概要の「届出等」の欄に有料職業紹介事業許可 13-ユ-305514 と労働者派遣事業許可 派13-306316 を並べて載せています(2026年8月30日確認)。
読者にとっては、次のことを意味します。
- 調べるときは、どちらの事業の実績を見ているかを確かめる。 就職者数や離職者数は職業紹介のほうの数字です
- 紹介と派遣で、雇う相手が変わる。紹介なら求人した会社と直接、派遣なら派遣元と雇用契約を結びます
会社概要に許可番号が並んでいれば、そのまま人材サービス総合サイトに入れて引けます。番号を載せていない会社は、社名で引くところから始めることになります。
まとめ
- 就職者数・6か月以内の離職者数・手数料・返戻金制度の公開は、職業安定法32条の16第3項の義務
- 公開先は厚生労働省の人材サービス総合サイト。登録不要で誰でも検索できる
- 効くのは入社6か月以内の離職者数。 ただし「離職が判明せず」と並べて読む
- 離職者数は、返戻金の対象者数で代用して集計してよいとされている
- 2025年4月から、職種ごとの平均手数料率も対象(前年度10件以下の職種は除く)
- 行政処分(改善命令・停止命令・廃止命令・許可取消)で絞り込める
- 掲載時期が決まっているため、「-」が即座に不誠実を意味するわけではない
面談を申し込む前に、登録も費用もなしで確かめられます。