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偽装請負かどうかは指示で決まる

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この記事の見出し(9)
  1. 契約が請負でも、派遣とみなされる
  2. 何を自分でやっていれば請負か
  3. もう1つの柱は「独立して処理」
  4. 派遣の許可があるかどうかで結論が変わる(職業安定法44条)
  5. 派遣だったとして、自分に何が関係するか
  6. 「みなし」で直接雇用になる場合がある
  7. どこに相談するか
  8. 記録しておくもの
  9. まとめ

契約は請負や業務委託なのに、現場では発注元の社員から直接指示を受けている。この状態が「偽装請負」と呼ばれます。

判断するのは契約書の名前ではありません。このページは、厚生労働省の告示が挙げている基準を確認します。

契約が請負でも、派遣とみなされる

判断のしかたは、労働者派遣事業と請負を区分する告示に置かれています。

請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であつても、当該事業主が当該業務の処理に関し次の各号のいずれにも該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とする。

「請負の形式による契約」と書いたうえで、要件を満たさなければ派遣事業として扱うという構造です。契約書に何と書いてあるかは、出発点にすらなっていません。

そして要件は「次の各号のいずれにも該当する場合」なので、1つでも欠ければ派遣事業になります。

契約書の形式が請負でも、発注者からの指示があると派遣とみなされることを、書類・発注側・作業側の矢印や指示アイコン、判断を示す天秤などで視覚化したイメージ図です

何を自分でやっていれば請負か

告示が挙げているのは大きく2つの柱です。

1つめは、自分の労働者の労働力を自ら直接利用していること。その中身として、

労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。

が挙げられています。ここでいう「自ら」は、労働者を雇っている側の会社です。発注元が直接やり方を指示していれば、この要件は満たされません。

労働時間についても同じ形で書かれていますが、括弧に重要な限定があります。始業・終業の時刻や休日などに関する指示その他の管理を自ら行うこと、とされたうえで、そこから「これらの単なる把握を除く」とされています。

発注元が入退場の時刻を記録しているだけなら、それは「単なる把握」にあたります。記録することと、指示することは分けて考えます。

もう1つの柱は「独立して処理」

2つめは、請け負った業務を自己の業務として独立して処理していることです。その中身のひとつがこれです。

業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。

さらに、事業主としてのすべての責任を負うことと、単に肉体的な労働力を提供するものでないことが挙げられています。

機材や資材を自分で用意している、専門的な技術や経験で処理している、といった要素がここに入ります。人を送っているだけの状態は、この柱を満たしません。

見る場所請負として成立する側

  1. 業務の指示雇っている会社が出している
  2. 労働時間の管理雇っている会社がしている発注元は把握のみ
  3. 配置の決定雇っている会社が決めている
  4. 資金自ら調達し支弁している
  5. 提供しているもの労働力そのものではない
人を送っているだけの状態は、この柱を満たさない

派遣の許可があるかどうかで結論が変わる(職業安定法44条)

派遣事業とみなされた場合、次に効いてくるのが許可の有無です。許可を受けていれば、期間制限などの派遣のルールが掛かる状態になります。

許可を受けずに行っていれば、無許可の労働者派遣にあたります。さらに、間に何社も入る形は職業安定法が正面から禁じています。

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

「自らの指揮命令の下に労働させてはならない」と、使う側も名指しされています。送り出す側だけの問題として書かれていません。

派遣だったとして、自分に何が関係するか

自分の働き方が派遣にあたるなら、期間制限のルールが関係してきます。事業所単位と個人単位で扱いが違い、延長できるのは事業所単位だけです。数え方は派遣の3年ルールは2種類あるに整理しました。

労働条件そのものについては、書面で何が示されているかが出発点になります。就業場所と業務の変更の範囲は2024年4月から明示事項に加わっていて、見る項目は労働条件通知書で確認する項目にまとめました。

労働時間の単なる把握(時計+虫眼鏡)と指示による業務統制(指差しと作業ツール)の境目、記録しておくものや相談先、派遣と認められた場合の直接雇用へのつながりを示したイメージ図です

「みなし」で直接雇用になる場合がある

労働者派遣法には、違法な状態で受け入れていた場合に、発注元が労働契約の申込みをしたものとみなす仕組みが置かれています。偽装請負もその対象に含まれます。

みなしが働くと、こちらが承諾すれば発注元との労働契約が成立する形になります。受け入れていた側が「知らなかった」だけでは免れないという組み立てです。

ただし、これは自動的に雇用されるという意味ではありません。承諾するかどうかは自分で決めることになり、期限もあります。制度があることと、実際に使えるかは別なので、労働局で個別に確認してください。

どこに相談するか

労働者派遣に関することは、都道府県労働局の需給調整事業を担当する部署が窓口です。労働基準法違反にあたる部分があれば、労働基準監督署が扱います。

窓口が分かれているので、何を問題にしたいかで先に決めてください。公的な相談窓口の全体像は退職相談は無料の公的窓口でできるに整理しました。総合労働相談コーナーは、どこに持っていくかの整理から相談できます。

賃金の未払いが絡む場合は監督署です。申告の仕組みと、監督署がしないことは未払い残業代を労働基準監督署に相談するにまとめました。監督署は是正指導をしますが、取り立てはしません。

記録しておくもの

告示の基準は、実際に誰が何をしていたかで判断されます。したがって残すべきなのは、指示のやり取りそのものです。

  • 発注元の社員から作業内容の指示を受けたメールやチャット
  • 朝礼や会議への参加を求められた記録
  • 残業や休日出勤を発注元から求められた記録
  • 席や担当の割り振りを発注元が決めた記録

日付と誰からかが分かる形で残してください。後から作れないのはこの部分です。

まとめ

  • 判断するのは契約書の名前ではなく、実際に誰が指示しているか
  • 告示は「請負の形式による契約」でも、要件を欠けば労働者派遣事業を行う事業主とするとしている
  • 要件は「いずれにも該当する場合」なので、1つ欠ければ派遣事業になる
  • 労働時間は「単なる把握を除く」とされている。記録と指示は別
  • 資金を自ら調達し支弁していること、単に肉体的な労働力を提供するものでないことも要件
  • 職業安定法は、供給された労働者を自らの指揮命令の下に労働させることも禁じている
  • 窓口は都道府県労働局の需給調整事業と、労働基準監督署に分かれる

契約書を見ても分かりません。誰が指示を出しているかを書き出してください。

出典