雇用保険被保険者証をもらってないとき
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転職先から提出書類の一覧が届いて、そこに雇用保険被保険者証(雇用保険に入っていたことを示す書類)があることがあります。探しても見当たらず、前の会社からもらった記憶がない、持ってない、という状態はよく起きます。
これは紛失とは限りません。制度のほうが、本人に渡らない経路を認めています。このページは、その仕組みと、無いときにどうするかを省令の条文から確認します。
交付するのはハローワーク(雇用保険法施行規則10条1項)
まず、誰が発行するものなのかです。雇用保険法施行規則にこうあります。
公共職業安定所長は、法第九条の規定により被保険者となつたことの確認をしたときは、その確認に係る者に雇用保険被保険者証(様式第七号)を交付しなければならない。
発行するのは会社ではなく公共職業安定所長で、交付先は本人です。つまり、本来は自分が持っているはずのものにあたります。
「雇用保険証」と呼ばれることもありますが、条文上の名前は雇用保険被保険者証です。窓口で聞くときはどちらでも通じます。健康保険証とは別のものです。

会社を通して渡してよい、と書かれている(規則10条2項)
続く項が、手元に無くなる理由を説明しています。
前項の規定による被保険者証の交付は、当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができる。
「事業主を通じて行うことができる」とあるので、会社が受け取る形が認められています。このとき、会社が本人に渡さずそのまま保管していれば、本人は一度も見ないまま在職することになります。
実務ではこの形が多く、退職のときに離職票などと一緒に返されます。返却の書類にまとめて入っていることがあるので、まず退職時に受け取った封筒を確認してください。
在職中に受け取った記憶がない
- 交付が会社を通して行われ、会社が保管していた
退職時の書類に入っていた
- 気づかずに保管している場合がある
本当に失くした
- 再交付の手続きがある
手続きが要るのは最後だけ。前の2つは探せば出てくる
会社に渡すのは「提示」(規則6条・13条)
転職先に出すとき、原本を預けたままにするのか気になるところです。条文は「提示」と書いています。
被保険者証の交付を受けた者は、被保険者となつたときは、速やかに、その被保険者証をその者を雇用する事業主に提示しなければならない。
転勤のときも同じ書き方です。
被保険者は、その雇用される事業主の一の事業所から他の事業所に転勤したときは、速やかに、被保険者証をその事業主に提示しなければならない。
求められているのは見せることで、譲り渡すことではありません。会社が保管する運用そのものは交付の規定で認められていますが、提示で足りる場面であれば、確認が済んだ時点で返してもらえるか聞いて差し支えありません。
会社が本当に必要としているもの
転職先が雇用保険の資格取得を届け出るとき、届書に記載するのは被保険者番号です。番号は被保険者証に印字されているので証そのものを求められますが、手続きに入っていく情報は番号のほうです。
このため、証が見つからないときでも、番号が分かれば手続きが止まらないことがあります。退職時に受け取った書類のなかに番号の記載がないかを先に探してください。書類そのものが届いていない場合の進め方は離職票が届かないときに整理しました。
まず転職先の担当者に、番号での対応が可能かを聞いてみてください。「無い」とだけ伝えるより、番号を添えて聞くほうが早く終わります。
届け出には期限もあります。同じ省令は、被保険者になった事実があった日の属する月の翌月10日までに資格取得届を出すよう事業主に求めています。探しているうちに月をまたぐと、会社側の期限に触れることになります。 見つからないと分かった時点で早めに伝えるほうが、双方の手間が小さくなります。

再交付は本人がハローワークへ(規則10条3項)
見つからない場合の手続きも省令にあります。
被保険者証の交付を受けた者は、当該被保険者証を滅失し、又は損傷したときは、雇用保険被保険者証再交付申請書(様式第八号)に運転免許証、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十一条の三第一項に規定する書面その他の被保険者証の再交付の申請をしようとする者が本人であることを証明することができる書類を添えて公共職業安定所長に提出し、被保険者証の再交付を受けなければならない。
読み取れることを挙げます。
1つめは、提出先が公共職業安定所長であることです。前の会社に頼む手続きではありません。在職中の会社と気まずくなっている場合でも、自分だけで進められます。
2つめは、添えるのが本人確認書類であることです。運転免許証が例として名指しされています。前の会社が発行した書類は要件になっていません。
3つめは、条文が「滅失し、又は損傷したとき」としている点です。会社が持っていて返ってこない、という状態はここに当てはまらないので、先に会社へ確認するほうが順序として正しくなります。
前の会社と連絡を取りたくない場合
退職の経緯によっては、書類のことで連絡するのが難しいことがあります。その場合でも、ハローワークは手続きの窓口として機能します。
番号も証も分からない場合は、下の再交付の手続きに進むことになります。条文が求めているのは本人確認書類だけなので、前の会社の協力は要りません。
退職時の書類が届かないまま止まっている場合の考え方は退職の書類と、届かないときの手順にまとめました。書類ごとに、誰に義務があるのかが違います。
入社してからの保険の切替と混同しない
雇用保険被保険者証は、健康保険証や年金手帳とは別の書類です。入社時にまとめて求められるので混ざりやすいのですが、根拠になる法律が違います。
健康保険と厚生年金の切替は、退職日と入社日の間隔で必要な手続きが変わります。その順序は退職後の健康保険と年金|20日と14日に整理しました。入社直後に保険証が届かない場合の扱いは入社直後に保険証が無いときにあります。
雇用保険のほうは、間が空いても手続きが消えるわけではありません。被保険者であった期間は番号に紐づいて残るので、次の会社で資格取得を届け出れば通算されます。被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)の数え方は辞める前に|失業給付の受給要件にあります。
まとめ
- 交付するのは公共職業安定所長で、交付先は本人
- ただし事業主を通じて交付してよいと省令が定めている。会社が保管したままのことがある
- 手元に無いときは、まず退職時に受け取った書類を確認する
- 会社に対して求められているのは「提示」で、譲り渡すことではない
- 手続きで使われるのは被保険者番号。番号は離職票にも記載がある
- 再交付の提出先は公共職業安定所長で、添えるのは本人確認書類
- 条文の再交付は「滅失し、又は損傷したとき」。会社が保管している状態は先に確認する
手元に無いことは、必ずしも失くしたことを意味しません。