転職は何から始めるか|書類を集めるところから
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転職を思い立って最初に調べると、自己分析から始めろと書かれています。
それも要りますが、先にやらないと取り返しがつかないことがあります。 在職中にしか手元に来ない書類を揃えることです。
なぜ書類が先なのか
辞めた後にも請求できます。ただし相手は元の勤め先です。辞め方によっては連絡が取りづらくなり、時間もかかります。
在職中なら、人事に頼むだけで済みます。手間の差が大きいというだけの話ですが、辞めた直後は手続きが重なるので、この差が効きます。

会社の保存義務は5年ある(労働基準法109条)
そもそも会社側に、記録を残す義務があります。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
5年間です。 だから「もう記録が無い」と言われたときに、条文の側から確かめられる余地があります。
ただしこれは会社が保存する義務で、こちらに交付する義務とは別です。交付を求める根拠は、次に挙げる条文になります。
退職の証明は、請求した項目だけが書かれる(22条1項・3項)
退職時に出してもらえる書類の中身は決まっています。
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
5つの項目が並んでいますが、全部を頼む必要はありません。続く項がこうなっています。
前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
請求しなかった項目は書いてはいけないという書き方です。「退職の事由は書かないでください」と頼むのではなく、最初から使用期間だけを請求すれば、事由の欄は生まれません。
転職先から退職証明書を求められたときは、何の確認が必要なのかを先に聞いて、その項目だけを請求してください。
在職中に揃えておくもの
実務でよく要るのは次のあたりです。
- 労働条件通知書(入社のときにもらったもの)
- 直近12か月ぶん以上の給与明細
- 源泉徴収票(年の途中で辞めるなら退職後に交付される)
- 雇用保険被保険者証(会社が預かっている場合がある)
- 資格の証書や研修の修了証
給与明細は特に見落とされます。 雇用保険の加入月数を数えるときにも使います。数え方は暦の月ではないので、明細が無いと自分で確かめられません。順序の決め方は20代の転職は在職中かで順序が変わるにまとめました。
雇用保険被保険者証が手元にない場合の動き方は雇用保険被保険者証が手元にないときにあります。
入るときの条件も条文で決まっている(15条1項)
集めた書類は、次の会社に入るときにも効きます。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
入社の時点で明示する義務があります。 口頭だけで済ませることは想定されていません。
そして、その内容が違っていた場合の定めがあります。
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
「即時に」です。 2週間を待つ必要がありません。条件が違っていたと分かったときに、その場で辞められるという定めです。
これを使うには、明示された条件が手元に残っている必要があります。入社時の書面を保管しておく理由がここにあります。
源泉徴収票だけは辞めた後になる
書類の中で1つだけ、在職中には手に入らないものがあります。源泉徴収票です。
年の途中で辞める場合、退職の日以後1か月以内に交付することが所得税法で定められています。つまり辞める前に頼んでも出てきません。
在職中に頼めるもの
- 労働条件通知書、給与明細、雇用保険被保険者証、資格の証書
- 人事に頼むだけで済む
辞めた後に出るもの
- 源泉徴収票
- 退職の日以後1か月以内に交付することが所得税法で定められている
分かれ目は書類の重さではなく、頼む相手が社内の人事のままか、元の勤め先になるか
年内に次の会社へ入るなら、そこへ提出して年末調整をしてもらいます。提出しないと自分で確定申告することになります。扱いは転職した年の年末調整にまとめました。
届かない場合の請求先も決まっています。会社を通さずに動ける道があるので、退職の書類は受け取るものと返すものを先に見ておくと、待つ時間を減らせます。
職務経歴書は書類から作れる
集めた書類は、そのまま職務経歴書の材料になります。
労働条件通知書には職種と配属が書かれています。給与明細には在籍していた月が並びます。資格の証書には取得年月があります。記憶で書くより正確で、早く終わります。
在籍期間を月単位まで正確に書けると、選考で確認が入ったときに食い違いません。経歴の食い違いは、意図が無くても不利に働きます。
思い出せない期間があるなら、雇用保険の記録で確かめられます。本人がハローワークに請求できるので、前の会社に聞かなくても分かります。

在職中だからこそ確認できること
もう1つ、辞めてからでは確かめにくいものがあります。有給休暇の残日数です。
給与明細や勤怠システムに出ていることが多いのですが、出ていない場合は人事に聞くことになります。辞めると言った後に聞くと、消化の交渉と同時になって話がこじれます。
残日数だけを先に確認しておけば、退職日を決めるときの材料になります。辞める日の決め方で手取りが変わる部分もあるので、退職後の住民税も先に見ておいてください。
順番にすると
やることを並べると次のようになります。
- 在職中に、上に挙げた書類を揃える
- 給与明細で、雇用保険に加入していた月数を数える
- 在職中に探すか辞めてから探すかを決める
- 求人を見る
- 応募先の数字を求める
求人を見るのは4番目です。 先に見ると条件のよいものが出たときに順番が飛びます。
応募先に求められる数字は、第二新卒歓迎・既卒歓迎の求人なら法律で決まっています。第二新卒は離職者数を聞けるにまとめました。
自己分析より先に効くこと
自己分析が要らないという話ではありません。ただ、書けない理由が自分の中ではなく情報の側にあることは多くあります。
その会社の残業時間も離職者数も知らないまま志望動機を書こうとすると、書けないのが当然です。先に数字を求めてから書くほうが早くなります。
求人票の読み方は求人票の見方にあります。
相談を挟むかどうか
書類を揃えたあとなら、相談も具体的になります。在籍期間も希望条件も手元にある状態で話せるためです。
書類を先に揃える順番が変わる窓口もあります。JAIC就職カレッジは公式サイトにこう書いています。
就職カレッジ®を利用した方は全員書類選考ナシで優良企業、最大20社と面接が出来ます。面接の前に専門スタッフが面接対策も行うので、万全の状態で面接に臨めます。
書類選考を挟まない場合でも、在籍期間や社名は面接で聞かれます。そこで答えられるかは、上で集めた書類が手元にあるかで決まります。つまり順番が変わっても、集める作業そのものは残ります。
なおこの窓口は対象を18歳〜35歳としていて、就職を希望する地域にも条件があります。
求人を見る前に希望の条件そのものを決めたい場合は、窓口の形が変わります。キャリナビ転職は求人を紹介する形ではなく、45日間かけて条件を整理する形だと公式サイトが案内していて、対象は20歳〜34歳です。運営は株式会社夢キャリで、有料職業紹介事業の許可番号 23-ユ-303256 は厚生労働省の人材サービス総合サイトでも引けます(2026年9月11日確認)。
どちらの形でも、上で集めた書類は先に手元にあるほうが早く進みます。 在籍期間も賃金も、記憶ではなく書類のほうが正確だからです。
渡す情報の範囲は転職エージェントに渡す情報の範囲にまとめました。
履歴書の様式そのものにも注意があります。JIS規格の様式例は削除されていて、出回っているテンプレートには古い欄が残っています。履歴書の様式はJIS規格が削除されているにまとめました。
集めた書類から職務経歴書を作る手順は職務経歴書に決まった様式は無いにまとめました。
まとめ
- 最初にやるのは自己分析ではなく、在職中にしか楽に取れない書類を揃えること
- 会社の保存義務は5年。記録が無いと言われたときの目安になる
- 退職の証明は、請求した項目しか書かれない
- 給与明細は雇用保険の月数を数えるのに使う
- 入社時に明示された条件が事実と違えば、即時に契約を解除できる
- 求人を見るのは4番目
まず引き出しを開けてください。順番はそこからです。