退職代行を使うと会社から連絡は来る?
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依頼した後がいちばん不安になる
退職代行を検討している人が最後まで迷うのは、料金でも手続きでもなく「本当に自分に連絡が来ないのか」です。
依頼したあとに上司から着信が続いたら、結局は自分で対応することになる。それなら代行に払う意味がないのではないか——という不安は当然だと思います。
この記事では、依頼後に何が起きるのかを時系列で整理します。

時系列で見る、依頼後の実際
- 退職代行に依頼する
依頼当日ヒアリング(退職日・有給・貸与品)
本人は業者とのやりとりのみ
翌営業日の朝業者から会社へ連絡
本人の対応はなし
同日中会社が事実確認・社内手続きを開始
本人の対応はなし
数日以内貸与品の返却、私物の受け取り
郵送で対応
- 1〜2週間で離職票・源泉徴収票などが届く
原則として、業者が会社へ連絡する際に「本人への直接連絡は控え、当方を通してほしい」と伝えます。多くの会社はこれに従います。理由は単純で、揉めることに会社側のメリットがないからです。
それでも連絡が来ることはある
ただし「絶対に来ない」とは言えません。会社側にも本人に連絡する自由はあり、代行業者にそれを止める強制力はないためです。ここを「一切来ません」と説明する業者があれば、その説明は不正確です。
実際に連絡が来やすいのは次のようなケースです。
- 会社が制度として退職代行を経験しておらず、対応が分からない
- 貸与品や業務データの所在が本人にしか分からない
- 個人的な関係が強い上司が、業務と切り離して連絡してくる
連絡が来たときの対処
対処はシンプルで、出なくて構いません。
退職の意思表示は、会社の承諾がなくても効力を持ちます。民法627条1項がこう定めているためです。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
期間の経過だけで終わる仕組みなので、話し合いに応じる義務はありません。
そのうえで実務的には、次の順で対応するのが穏当です。
- 着信には出ず、依頼した業者に「連絡が来た」と共有する
- 業者から会社へ、改めて直接連絡を控えるよう伝えてもらう
- どうしても応答が必要な場合は、業者を通じて書面でやりとりする
電話に出ないことに罪悪感を覚える人は多いのですが、代行を依頼した時点で窓口は業者に移っています。応答しないことは不誠実ではありません。
会社が連絡してはいけない、という決まりはない
代行を使えば会社からの連絡が法的に禁止される、と受け取られることがありますが、そうした規定はありません。会社が本人に連絡すること自体を止める根拠はないためです。
止められるのは「連絡すること」ではなく、代行が窓口になることで連絡する必要を無くす、という形です。 用件が代行を通して片づけば、会社の側にも直接連絡する理由が残りません。
逆に言うと、代行が扱えない用件が残っていると連絡は来ます。たとえば次のようなものです。
- 貸与品の返却先や方法
- 保険証の返却
- 私物の送付先
- 離職票などの書類の送り先
これらは事務手続きなので、あらかじめ依頼時に伝えておくと、やり取りの往復が減ります。連絡を止める工夫より、連絡する用件を残さない工夫のほうが効きます。
なお、しつこい連絡や自宅への訪問が続く場合は、代行の運営元によって対応できる範囲が変わります。交渉を伴う対応は労働組合か弁護士でなければ行えません。どの業者がどの組合と組んでいるかは退職代行の労働組合は誰なのかで13社ぶん調べました。
労働組合が交渉を申し入れたときは、会社は拒めない(労働組合法7条2号)
会社が本人に連絡すること自体を止める決まりはありません。ただし依頼した先が労働組合の場合、会社の側に別の条文がかかります。
二使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
これは不当労働行為として禁じられている行為のひとつです。組合が団体交渉を申し入れたら、会社は正当な理由なく断れません。 断ったかどうかは、会社と本人の間ではなく労働委員会の判断に移ります。
民間業者に依頼した場合、この条文は働きません。交渉ができるかどうかは運営元の種別で決まるところで、退職代行サービスの比較に整理しました。

家族や実家に連絡が行くことはあるか
これも頻繁に聞かれる点です。緊急連絡先として実家の番号を提出している場合、会社がそこへかける可能性は理論上あります。
ただし、退職の意思が明確に伝わっている状況で家族へ連絡する行為は、業務上の必要性を欠くため、社会通念上も適切とは言えません。不安がある場合は、依頼時のヒアリングで「家族への連絡を控えるよう伝えてほしい」と要望を出しておくと、業者から先方へ伝えてもらえます。
連絡の記録は残しておく
会社から連絡が来た場合、内容と日時を控えておくと後で役に立ちます。
- 着信の日時と回数
- 留守番電話やメッセージの内容
- 自宅を訪問された場合はその日時
代行に伝えるときも、記録があるほうが状況を正確に共有できます。「何度も来ている」より「何日の何時に何回」のほうが動きやすくなります。
スクリーンショットや着信履歴はそのまま残しておいてください。消してしまうと、後から再現できません。
書類が届かないときは
退職後に必要になるのは主に、離職票・源泉徴収票・年金手帳(預けている場合)・健康保険資格喪失証明書です。
返してもらうものについては、労働基準法23条1項に期限があります。
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
「権利者の請求があつた場合においては」とあるので、請求が起点です。黙って待っていると7日の数え始めが立ちません。業者経由で請求してもらってください。
離職票が届かない場合は、会社を通さない道があります。雇用保険法8条です。
被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。
「被保険者であつた者」が「いつでも」請求できると書かれています。会社が動かなくても、本人がハローワークに確認を請求できるということです。源泉徴収票のほうは税務署が窓口になります。
この段階まで来ると本人が直接動く必要が出てきますが、退職自体は既に成立しているため、会社と交渉する場面にはなりません。
まとめ
- 原則として本人への連絡は行われないが、来る可能性はゼロではない
- 来ても出なくてよい。窓口は業者に移っている
- 家族への連絡が不安なら、依頼時に要望として伝えておく
- 書類が届かない場合は行政の窓口が使える
依頼前の不安の多くは「何が起きるか分からない」ことから来ています。流れが分かっていれば、想定外は起きにくくなります。
運営元によってできることが違う点については退職代行はLINEで無料相談できる窓口まとめを、そもそも自力で伝える選択肢と比べたい場合は会社を辞めたいけど言えない人のための選択肢を参照してください。