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時短勤務の給料はどう決まるか|年金の特例

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この記事の見出し(6)
  1. 短縮の原則は1日6時間
  2. 減った時間ぶんが減るのは違法ではない、ただし線がある
  3. 社会保険料は3か月で下げられる
  4. 保険料が下がると、本来は年金も下がる
  5. 辞めるかどうかを考えるとき
  6. まとめ

子どもが小さいあいだ時短で働くと、給料は下がります。下がり方は法律で決まっているのか、下がったままだと年金も減るのか。気になるのはここですが、答えは3つに分かれます。

賃金は減る。社会保険料は下げられる。将来の年金は、申し出れば減らない。根拠になる条文がそれぞれ別なので、順に見ていきます。

短縮の原則は1日6時間

時短勤務そのものの根拠は、育児介護休業法23条1項です。3歳に満たない子を養育する労働者について、事業主に措置を義務づけています。

事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十三条の三第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。

何時間まで短くできるかは、この条文には書かれていません。同法施行規則73条にあります。

法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置は、一日の所定労働時間を原則として六時間とする措置を含むものとしなければならない。

「6時間とする措置を含む」という書き方なので、6時間だけしか選べないという意味ではありません。7時間の選択肢を用意すること自体は妨げられませんが、6時間を選べる状態にしておくことが事業主に求められています。

条文が義務づけているのは労働時間のほうだけです。減った時間ぶんの賃金をどうするかは、23条にも施行規則73条にも書かれていません。 8時間が6時間になれば、その2時間ぶんは原則として支払われません。

時短勤務で労働時間が短くなり賃金が減る構図と、申出によって厚生年金の将来給付が守られる特例を、賃金・保険料・年金の三要素の関係で矢印や囲み、アイコンだけで示した図のイメージ図です

減った時間ぶんが減るのは違法ではない、ただし線がある

働いていない時間の賃金が出ないこと自体は、時短に限った話ではありません。問題になるのは、減った時間より大きく下げる場合です。育児介護休業法23条の2はこう書いています。

事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

「前条」は23条、つまり時短の措置です。時短を申し出たこと、あるいは時短になったことを理由とする不利益な取扱いが禁止されています。

働かなかった時間ぶんの減額

  • 8時間が6時間になった分
  • 所定労働時間に応じた計算

時短にしたこと自体を理由にした扱い

  • 時間の割合を超える引き下げ
  • 賞与や手当を一律で外す
  • 降格させる

下がった理由が、働かなかった時間ぶんか、時短にしたこと自体か

賃金が下がったとき、23条の2に当たるかどうか

自分の場合がどちらかは、時短前後の時間と賃金の比を出せば見当がつきます。時間が4分の3になったのに賃金が半分になっているなら、減った時間では説明がつきません。

社会保険料は3か月で下げられる

賃金が下がっても、社会保険料はしばらく前の額のまま引かれます。標準報酬月額が年に一度の定時決定で決まっているためです。

これを早く下げる仕組みが厚生年金保険法23条の2にあります。育児休業等を終了して3歳未満の子を養育している人が申し出ると、終了日の翌日が属する月から3か月の報酬で標準報酬月額を決め直します。

育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。

条文にある通り、これは申出があったときの改定です。黙っていても下がりません。また報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月は計算から外れます。

時短勤務後の判断を分岐図で示し、保険料が短期間で下がることで年金に影響が出る可能性や、申出による年金保護、退職の選択肢を矢印とアイコンで整理した図のイメージ図です

保険料が下がると、本来は年金も下がる

標準報酬月額は保険料の計算に使われますが、将来の年金額の計算にも使われます。だから保険料が下がることは、そのまま年金が減ることを意味します。時短で3年続ければ、その3年分が低い額で記録されます。

ここに例外を置いているのが厚生年金保険法26条です。3歳未満の子を養育する被保険者が申し出ると、下回った月について、下がる前の標準報酬月額で年金額を計算します。

従前標準報酬月額を当該下回る月の第四十三条第一項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。

「みなす」のは年金額の計算だけです。保険料は下がったままなので、保険料は下がり、年金の記録は下がらないという形になります。

時短で賃金が下がったあとの申出保険料と年金の記録

  1. 何も申し出ない保険料は前の額のまま、年金の記録も前のまま次の定時決定まで保険料が高いままです
  2. 23条の2の申出だけをする保険料は下がり、年金の記録も下がる3か月の報酬で決め直します
  3. 23条の2と26条の両方を申し出る保険料は下がり、年金の記録は下がらない26条は年金額の計算だけをみなします
時短にしたとき、申出でどれが動くか(厚生年金保険法23条の2・26条)

26条には遡れる範囲の定めもあります。申出があった日の属する月の前月までの2年間が上限です。何年も経ってから気づいた場合、2年より前の月は戻りません。

辞めるかどうかを考えるとき

時短で手取りが下がることは避けられませんが、下がったぶんの一部を雇用保険から受け取れる給付があります。育児時短就業給付金は賃金の10%が上限にまとめました。

保育所に入れず、時短ではなく休業を延ばしたい場合は、給付金のほうにも要件があります。2025年4月に確かめ方が変わった点は育児休業給付金の延長は2025年4月から3要件にあります。

辞めるほうへ傾いたときは、辞める前に決めることが1つあります。 在職のまま次を探すか、辞めてから探すかです。時短で在職している間は前者を選べます。仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかにまとめました。

まとめ

  • 時短の根拠は育児介護休業法23条1項で、対象は3歳未満の子を養育する労働者
  • 1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含めることが施行規則73条の求め
  • 減った時間ぶんの賃金を保障する条文は無い
  • 時短にしたこと自体を理由とする不利益な取扱いは23条の2が禁じている
  • 社会保険料は厚生年金保険法23条の2の申出で3か月分の報酬から決め直せる
  • 将来の年金は26条の申出で下がる前の標準報酬月額のまま計算される
  • 26条の申出が遡れるのは申出の月の前月までの2年間

どちらの申出も、事業主を経由して出すものです。時短にする相談をするときに、この2つを一緒に確かめておくと後から取り返す手間が減ります。

出典