退職の段取り帳

時短勤務の給料はどう決まるか|年金の特例

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2026/9/3公開

育児のために時短にしたとき、減った時間ぶんの賃金を法律が一律に補うわけではありません。 ただし、時短を申し出たこと自体を理由に不利に扱うことは禁止されています。給与明細で時短前後の時間・基本給・手当を分け、下がった理由を会社へ確かめてください。

育休明けに時短で働く人には、社会保険料の基になる額を決め直す申出と、将来の年金計算で前の額を使う申出もあります。給与、保険料、年金の記録は別々に確認します。

働く時間に応じて変わる

  • 所定労働時間と基本給を並べる
  • 時短前後の計算方法を会社へ聞く

時間以外も変わった

  • 手当・賞与・評価の理由を確かめる
  • 申出を理由にした不利益取扱いか相談する

勤務時間に応じた変化か、時短を申し出たこと自体による扱いか

時短前後の給与明細で、下がった理由を分けて見る

短縮の原則は1日6時間

時短勤務そのものの根拠は、育児介護休業法23条1項です。3歳に満たない子を養育する労働者について、事業主に措置を義務づけています。

育児介護休業法23条1項を開く

事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十三条の三第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。

何時間まで短くできるかは、この条文には書かれていません。同法施行規則73条にあります。

法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置は、一日の所定労働時間を原則として六時間とする措置を含むものとしなければならない。

「6時間とする措置を含む」という書き方なので、6時間だけしか選べないという意味ではありません。7時間の選択肢を用意すること自体は妨げられませんが、6時間を選べる状態にしておくことが事業主に求められています。

条文が義務づけているのは労働時間のほうだけです。減った時間ぶんの賃金をどうするかは、23条にも施行規則73条にも書かれていません。 8時間が6時間になれば、その2時間ぶんは原則として支払われません。

時間以外の賃金も変わったら理由を聞く

働かなかった時間ぶんの賃金が減ることと、時短を申し出たこと自体を理由に賃金や評価を下げることは違います。厚生労働省の指針も、この2つを分けています。

働いていない時間の賃金が出ないこと自体は、時短に限った話ではありません。線を引いているのは育児介護休業法23条の2です。

事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

「前条」は23条、つまり時短の措置です。時短を申し出たこと、あるいは時短になったことを理由とする不利益な取扱いが禁止されています。

時短前後の時間と基本給を並べ、手当や賞与の計算方法も聞いてください。賃金が勤務時間の割合より大きく下がっていても、その数字だけで違法とは決められません。理由が時短の申出そのものなのか、就業規則や賃金規程とともに確かめます。

申し出たことで不利に扱われたら(52条の4)

禁じられているだけでは、起きたときに動けません。同じ法律の52条の4が、都道府県労働局長による援助を置いています。

都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

求めるのは当事者の一方でよく、会社の同意は要りません。時短を申し出たことを理由に評価や配置が変わったなら、ここに持ち込めます。

育休明けの報酬をもとに4か月目から改定できる

賃金が下がっても、社会保険料はしばらく前の額のまま引かれます。標準報酬月額が年に一度の定時決定で決まっているためです。

これを早く見直す仕組みが厚生年金保険法23条の2にあります。育児休業等を終了して3歳未満の子を養育している人が申し出ると、終了日の翌日が属する月から3か月の報酬をもとに、4か月目から標準報酬月額を改定できます。日本年金機構の手続き案内も、3か月の平均と4か月目の改定を分けて説明しています。

厚生年金保険法23条の2を開く

育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。

これは申出があったときの早期改定です。申出がなくても、後の定時決定などで変わることはあります。また報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月は計算から外れます。

保険料が下がると、本来は年金も下がる

標準報酬月額は保険料の計算に使われますが、将来の年金額の計算にも使われます。標準報酬月額が下がったままなら、その期間の将来の年金額の計算にも影響します。

ここに例外を置いているのが厚生年金保険法26条です。3歳未満の子を養育する被保険者が申し出ると、下回った月について、下がる前の標準報酬月額で年金額を計算します。

従前標準報酬月額を当該下回る月の第四十三条第一項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。

「みなす」のは年金額の計算だけです。保険料は実際の標準報酬月額で計算し、将来の年金額の計算には従前の額を使う形です。これは年金全体の額を保証する意味ではありません。日本年金機構の特例案内も申出の手順を示しています。

時短で賃金が下がったあとの申出保険料と年金の記録

  1. 早期改定を申し出ない

    この特例での4か月目の改定はない

    後の定時決定などによる変更は別

  2. 23条の2だけ申し出る

    4か月目から標準報酬月額を改定できる

    下がれば保険料と年金計算の両方に影響

  3. 26条の特例も申し出る

    保険料は実額、年金計算は従前の額

    早期改定とは別の申出。条件に当たる養育期間が対象

時短にしたとき、申出でどれが動くか(厚生年金保険法23条の2・26条)

26条には遡れる範囲の定めもあります。申出があった日の属する月の前月までの2年間が上限です。何年も経ってから気づいた場合、2年より前の月は戻りません。

23条の2と26条は別の申出で、どちらも事業主を経由して出すものです。時短にする相談をするときに、自分に必要な手続きをそれぞれ確かめておくと後から取り返す手間が減ります。

辞めるかどうかを考えるとき

時短で手取りが下がることは避けられませんが、下がったぶんの一部を雇用保険から受け取れる給付があります。育児時短就業給付金は賃金の10%が上限にまとめました。

保育所に入れず、時短ではなく休業を延ばしたい場合は、給付金のほうにも要件があります。2025年4月に確かめ方が変わった点は育児休業給付金の延長は2025年4月から3要件にあります。

辞めるほうへ傾いたときは、辞める前に決めることが1つあります。 在職のまま次を探すか、辞めてから探すかです。時短で在職している間は前者を選べます。仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかにまとめました。

3歳を過ぎて時短の義務が外れたあとも、会社には別の措置を用意する義務が続きます。3歳以降に会社が用意する2つ以上の措置 にまとめました。

この記事で確かめたこと

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