育児休業給付金の延長は2025年4月から3要件
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保育所に入れなかったので育児休業を延ばしたい、というときに気になるのは、休業そのものより給付金が続くかどうかです。2025年4月から、この延長の確かめ方が変わりました。申込書の写しを出すことになり、出せないと延長が認められないことがあります。
変わったのは法律の本体ではなく、雇用保険法施行規則のほうです。どこがどう変わったのかを条文で追うと、何を用意しておけばよいかが見えてきます。
延ばせるのは1歳6か月まで、そこからもう一度で2歳まで
育児休業給付金の根拠は雇用保険法61条の7第1項です。対象は原則として1歳に満たない子を養育するための休業です。ただし条文の括弧の中に、伸びる場合が書かれています。1歳6か月に満たない子まで、さらに2歳に満たない子までです。
伸びる条件は法律には書かれておらず、「厚生労働省令で定める場合」に投げられています。つまり延長できるかどうかを実際に決めているのは、雇用保険法ではなく施行規則です。
- 育児休業を開始した日
1歳に達する日まで原則の期間
61条の7第1項の本体
1歳6か月に達する日まで1回目の延長
施行規則101条の25に当たるとき
2歳に達する日まで2回目の延長
101条の26が101条の25を準用する
- 支給が終わる
- 101条の25のどれにも当たらない
- 1歳に達する日で終わる
1歳6か月から2歳までの延長について、施行規則101条の26はこう書いています。
前条の規定は、法第六十一条の七第一項のその子が一歳六か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合について準用する。
「前条」は101条の25です。2回目の延長でも確かめられることは1回目と同じで、時期が半年ずれるだけです。

101条の25第1号に入った括弧書きが、2025年4月の変更点
保育所に入れなかったことを理由とする延長は、施行規則101条の25の第1号にあります。
育児休業の申出に係る子について、児童福祉法第三十九条第一項に規定する保育所、認定こども園法第二条第六項に規定する認定こども園又は児童福祉法第二十四条第二項に規定する家庭的保育事業等(以下この号及び第百一条の二十九の二において「保育所等」という。)における保育の利用を希望し、申込みを行つているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合(速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合に限る。)
長い条文ですが、変わったのは末尾の括弧です。以前は「申し込んだのに当面入れない」ことが確認できれば足りていました。今は、その申し込みが速やかな職場復帰のためのものだと公共職業安定所長が認めることまで要ります。
厚生労働省の案内も、この2段構えで書かれています。これまでは市区町村が出す入所保留通知書などで確認していました。2025年4月からはそれに加えて、申し込みが速やかな職場復帰のために行われたと認められることが要ります。
判断するのはハローワークなので、申し込んだ側の事情は書類で示すことになります。そのために必要になったのが、市区町村へ出した利用申込書の写しです。
満たすかどうかを分ける3つの点
厚生労働省の資料は要件を3つに分けています。どれか1つでも欠けると延長は認められません。
保育所等への利用申し込みの中身延長が認められるかどうか
- あらかじめ申し込んでいる入所申込日が1歳の誕生日の前日まで問い合わせただけで申し込んでいないと外れます
- 速やかな職場復帰のための申し込み入所希望日・通所時間・申込書の記載で見られる入所保留を希望する旨を書いていると外れます
- 1歳の誕生日の翌日時点で入れない市区町村の通知書で確認される通知書の発行日にも範囲があります
1つ目について、厚生労働省の資料はこう書いています。
単に申し込みを失念していた場合や、入所申し込みを行おうと市区町村に問い合わせたところ、「入所が困難」との返答があり、期限内に申し込みを行わなかった場合は、延長は認められません。
窓口で「どうせ入れない」と言われた話は珍しくありませんが、言われて申し込みをやめると、この要件から外れます。入れない見込みでも、期限内に申し込みまで済ませておく必要があります。
2つ目は、申込書の中身を見られる部分です。入所希望日は原則として1歳の誕生日の翌日以前でなければなりません。申し込んだ保育所等が、片道30分以上かかる施設だけになっていないことも見られます。ただし合理的な理由があれば別です。資料が挙げているのは、通勤経路の途中にある場合、30分未満で通える保育所等が無い場合、開所時間が勤務時間に合わない場合などです。
3つ目は通知書です。発行年月日が、1歳の誕生日の翌日の2か月前(4月入所の申し込みでは3か月前)以後になっている必要があります。古い通知書では、その時点で入れないことの証明になりません。また、内定を辞退した場合についてはこう書かれています。
やむを得ない理由なく内定辞退を行っている場合はこの要件を満たしません。

延長できるのは、保育所に入れなかったときだけではない
101条の25には第2号以下があり、配偶者の事情による延長が並んでいます。死亡したとき、負傷や疾病で子を養育することが困難になったとき。婚姻の解消などで子と同居しないことになったとき。そして出産が近いときです。最後のものは同条第2号ニで、次のように書かれています。
六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しないとき。
保育所の話ばかりが目に入るので見落とされますが、下の子の出産が近いことは、それ自体が延長の理由になります。この場合は保育所の申し込みも入所保留通知書も要りません。
子が生まれた直後の側にも、別の給付が乗ります。本人と配偶者がそれぞれ14日以上休んだときに13%が足されるもので、延長とは数える期間も条件も別です。出生後休業支援給付金は夫婦で14日ずつにまとめました。
延長の可否と、辞めるかどうかを分けて考える
延長が認められないと、給付金は1歳の誕生日の前日で終わります。そこで働き方を変えることを考えることになります。復帰したうえで時短にするなら、賃金が下がったぶんの一部を受け取れる育児時短就業給付金があります。賃金そのものの決まり方は時短勤務の給料はどう決まるかにあります。
辞めることを考えるときは、2つを分けて見てください。給付金がいつまで出るかと、辞めた後にどうなるかです。育児休業給付金は退職したらどうなるかは別の記事にまとめています。
在職のまま次を探すか、辞めてから探すかでも、受けられるものが変わります。 育休中は在職しているので、先に決めるのはこちらの順序のほうです。仕事を辞めてから転職するか、在職中に動くかに整理しました。
まとめ
延長の可否を決めているのは雇用保険法61条の7ではなく、施行規則101条の25です。2025年4月にその第1号へ「速やかな職場復帰を図るために」という括弧書きが入りました。市区町村への申込書の写しを出すのは、そのためです。
同じ雇用保険法の中に、産後すぐの期間を受ける別の給付があります。 日数と回数の上限が条文に置かれているので、出生時育児休業給付金は28日と2回までにまとめました。
申し込みの時期、申し込んだ施設の場所、申込書の記載、通知書の日付。見られるのはこの4つで、どれも申し込みの時点で決まってしまいます。入れない見込みだと窓口で言われても、期限内に申し込みまで済ませておくこと。申込書は写しを取っておくこと。この2つが後から取り返しのつかない部分です。