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育児時短就業給付金は賃金の10%が上限

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この記事の見出し(9)
  1. 対象は2歳未満の子を養育するための時短
  2. 出るのは賃金の10%まで
  3. 出ない場合が3つ引かれている(雇用保険法61条の12第2項・8項・10項)
  4. 育休給付から続けて取れる
  5. 月ごとに見る給付になっている
  6. 上限額は毎年8月に見直される(61条の12第9項)
  7. 時短のまま移る、という選び方もある
  8. 辞めるかどうかを考えるとき
  9. まとめ

子どもが小さいあいだ時短で働くと、賃金がそのぶん下がります。そこで辞めるかどうかを考える人は多いのですが、下がったぶんの一部を雇用保険から受け取れる給付があります。

雇用保険法61条の12の育児時短就業給付金です。条文を読むと、出る場合と出ない場合の線がはっきり引かれています。

対象は2歳未満の子を養育するための時短

条文は対象を「その二歳に満たない子を養育するための所定労働時間を短縮することによる就業」としています。子の年齢で切られていて、時短の理由が育児であることが要ります。

短縮の幅は条文に書かれていません。何時間減らせば対象になるという線は、雇用保険法の側には出てきません。

時短を求められる期間とは1年ずれている

時短そのものを会社に求める根拠は、雇用保険法ではなく育児介護休業法にあります。同法23条1項は、3歳に満たない子を養育する労働者について、申出に基づいて所定労働時間を短縮する措置を講じなければならないと事業主に義務づけています。

給付のほうは2歳未満です。措置の義務が3歳未満、給付が2歳未満で、1年ずれています。 2歳から3歳までのあいだは、時短を求めることはできても給付は出ません。

さらに23条1項にはただし書きがあり、労使協定で対象から外せる労働者が並んでいます。引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者が、その1つ目です。勤め先の労使協定を見ないと、自分が対象かどうかは決まりません。

育児のために時短で働くと賃金が下がることと、雇用保険法61条の12に基づき賃金の10%を上限に給付が一部を補填する仕組みを、縮む給与袋と下向き矢印、手渡しされる小さなコインで因果関係として表したイメージ図です

出るのは賃金の10%まで

額は6項にあります。時短後に支払われた賃金の額に率を掛けた額です。率は、賃金が時短前の90%未満なら10%です。6項1号にあります。

90%以上100%未満のときは逓減します。これが6項2号です。時短前に近づくほど率が下がる作りで、下がり方は厚生労働省令に送られています。

時短後に支払われた賃金時短前の90%

90%未満

率は10%。ここが上限になる(6項1号)

90%以上100%未満

10%から逓減する。下がり方は厚生労働省令に送られている(6項2号)

賃金に掛ける率が変わる境目(雇用保険法61条の12第6項)

もらえる額そのものではなく、賃金に掛ける率が10%だという点に注意してください。 時短で下がったぶんが10%戻るのではありません。

出ない場合が3つ引かれている(雇用保険法61条の12第2項・8項・10項)

条文は、支給しない場合を別に置いています。読む順に並べます。

賃金が高いとき(61条の12第2項)

2項です。

前項の規定にかかわらず、支給対象月に支払われた賃金の額が、厚生労働省令で定めるところにより、労働者をその賃金の額の高低に従い区分し、その区分された階層のうち最も高い賃金の額に係る階層に属する労働者の賃金の額の中央値の額を基礎として厚生労働大臣が定める額(第六項及び第九項において「支給限度額」という。)以上であるときは、当該支給対象月については、育児時短就業給付金は、支給しない。

支給限度額という上限があり、時短後の賃金がそこに届いていると出ません。金額そのものは条文に書かれていません。厚生労働大臣が定める額です。

計算した額が小さすぎるとき

8項は、計算した額が基本手当日額(失業手当の1日あたりの額)の上限額の80%を超えないときは支給しないとしています。時短の幅が小さく、率を掛けた額がわずかになる場合がここに入ります。

高年齢雇用継続給付と重なるとき(61条の12第10項)

10項です。

育児時短就業給付金の支給を受けることができる者が、同一の就業につき高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金の支給を受けることができる場合において、その者が高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金の支給を受けたときは育児時短就業給付金を支給せず、育児時短就業給付金の支給を受けたときは高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金を支給しない。

どちらか一方です。60歳以降の賃金低下で出る給付の中身は高年齢雇用継続給付金|60歳以降に賃金が75%未満なら出るにまとめました。

育休給付から続けて取れる

条文は、支給の条件を2通りで書いています。時短を始めた日の前2年間に、みなし被保険者期間(雇用保険に入っていた月数を、この給付のために数え直したもの)が通算12か月以上あることが基本です。

もう1つは、その子について育児休業給付金を受けていて、育児休業が終わってから引き続き時短で働く場合です。この場合は12か月の期間を改めて見ません。

育休から時短へそのまま移る形が、条文の中に用意されています。 育児休業給付金そのものの日数と回数は育児休業給付金をもらってから辞められるかにまとめました。

育休の側にも、同じ2025年4月から始まった上乗せがあります。本人と配偶者がそれぞれ14日以上休むと13%が足される形で、条件は出生後休業支援給付金は夫婦で14日ずつにあります。時短のほうは10%、育休の上乗せは13%と率が違うので、どちらの期間にどれだけ休むかで受け取る額が変わります。

給付が支給されない三つのケース(賃金が高すぎる、賃金が小さすぎる、別の給付との重複不可)をそれぞれの硬貨の山と×印で示し、月ごとに見る給付であることを示すカレンダー矢印、育休給付から続けて取れることを示す矢印、年次の見直しや辞めるかどうかを考える分岐を含めて整理したイメージ図です

月ごとに見る給付になっている

5項が支給対象月を定めています。時短を始めた月から終えた月までのうち、その月の初日から末日まで引き続き被保険者で、かつ介護休業給付金や育児休業給付金などを受けられる休業を取らなかった月です。

月の途中で辞めると、その月は対象から外れます。休業と時短が同じ月に混ざる場合も外れます。

上限額は毎年8月に見直される(61条の12第9項)

9項に見直しの決まりがあります。

厚生労働大臣は、年度の平均給与額が令和五年四月一日から始まる年度(この項の規定により支給限度額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年度の八月一日以後の支給限度額を変更しなければならない。

平均給与額が動けば上限額も動きます。切り替わるのは8月1日です。

だから金額を調べるときは、いつ時点の額かを見てください。 去年の数字が載ったままのページがあります。

時短のまま移る、という選び方もある

この給付は、いま勤めている会社で時短にする場合の話です。時短のまま別の会社へ移った場合は、みなし被保険者期間の数え方が変わります。 移った先で12か月を数え直すことになるので、上の「育休給付から続けて取れる」形は使えません。

そのうえで、時短正社員の求人を扱う窓口はあります。リアルミーキャリアは時短勤務を前提にした求人を集めていて、運営の株式会社リアルミーは有料職業紹介許可 13-ユ-308876 を持っています。

ただし厚生労働省の人材サービス総合サイトで引くと、この事業者の就職者数と離職者数の欄は「-」のままです。数字が埋まっていない会社は珍しくありませんが、職業紹介の実績は人材サービス総合サイトで見られるで書いたとおり、比べる材料が1つ減るということではあります。

対象になる人も絞られています。求人は都内23区がメインです。希望の勤務先が一都三県以外の場合と、正社員の経験がない場合は外れます。産休・育休の期間中で、お子様の預け先が決まっていない場合も同じです。預け先が決まってから動くほうが、話が早く進む相手です。

辞めるかどうかを考えるとき

時短で続けるか辞めるかを比べるなら、手取りの差だけでは足りません。辞めれば給付は止まりますが、続ければ賃金の10%までが上乗せされます。

一方で、上の3つの線に当たれば1円も出ません。自分がどこに入るかは、時短後の賃金が決まらないと分かりません。勤め先と時間を相談する段階で、時短後の賃金額まで確かめておくことです。

辞める方向で考える場合、退職の時期そのものが給付に効くことがあります。育児休業給付金をもらってから辞められるかと、離職後の給付は失業保険はいつからもらえるかにあります。

保育所に入れず休業のほうを延ばす場合は、給付金の延長にも要件があります。育児休業給付金の延長は2025年4月から3要件を先に見てください。

給付金ではなく賃金そのものの決まり方と、年金が減らない特例は時短勤務の給料はどう決まるか|年金の特例にまとめました。

まとめ

  • 対象は2歳未満の子を養育するための時短(61条の12第1項)
  • 賃金に掛ける率は10%が上限。時短前の90%以上に戻ると逓減する(6項)
  • 賃金が支給限度額以上なら出ない(2項)
  • 計算した額が基本手当日額の上限の80%を超えないなら出ない(8項)
  • 高年齢雇用継続給付とはどちらか一方(10項)
  • 育休給付から続けて時短に入る場合、12か月の期間は改めて見ない(1項)
  • 支給限度額は毎年8月1日に見直される(9項)

時短後の賃金がいくらになるかで結論が変わります。その額を先に確かめてから、続けるか辞めるかを考えてください。

出典