離職票が届かないときも国民年金の免除は間に合う
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離職票が来ないまま日が過ぎると、年金の手続きも止まっている気がしてきます。実際には止まる部分と止まらない部分が分かれていて、止まる側も後から取り返せます。
離職票がないときに年金免除を申請できるかも、ここで扱います。
切り替えの届出に離職票は出てこない
会社を辞めると、厚生年金の第2号被保険者から国民年金の第1号被保険者に変わります。その届出について、国民年金法12条1項がこう定めています。
被保険者(第三号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。
届け出る先は市町村長で、届け出る中身は「種別の変更に関する事項」です。条文にも省令にも、離職票を添えろとは書かれていません。
窓口が求めるのは退職した事実が分かるものなので、退職証明書や健康保険の資格喪失証明書でも足ります。健康保険側の扱いは離職票が届かない間の国民健康保険にまとめました。
つまり切り替えそのものは、離職票を待たずに進みます。

離職票が要るのは、免除のほう
止まるのはこちらです。失業を理由にした保険料の特例免除について、日本年金機構がこう書いています。
この特例を受けたいときは、失業等の事実を確認できる次の書類が必要です。
そこに並んでいるのが、勤務先から交付される雇用保険被保険者離職票のコピーと、ハローワークから交付される雇用保険受給資格者証・雇用保険受給資格通知のコピーです。
離職票「でなければならない」とは書かれていません。 ハローワークで受給の手続きが進んで受給資格者証が出れば、そちらでも通ります。離職票が来ないまま失業給付の手続きを始める方法は離職票が届かない|仮決定手続きで待たないにまとめました。
同じページには、これらを用意できない場合の書類も並んでいて、最後に「その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類」とあります。窓口で相談する余地が残されている、という書き方です。
2年1か月前まで遡れる
いちばん効くのがここです。申請できる期間が明記されています。
保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)が申請できます。
過去にさかのぼって申請できます。離職票が2か月後に届いたとしても、その間の月をまとめて申請の対象にできます。
だから順番はこうなります。
- 退職したら、まず市町村の窓口で第1号への切り替えをする(離職票は要らない)
- 保険料の納付書が届く。払えないなら未納にせず、そのままにしておく
- 離職票か受給資格者証が手に入った時点で、免除を申請する
- 申請の対象に、待っていた月を含める
急いで払う必要も、慌てて未納を確定させる必要もありません。
2回目以降は書類が要らない
同じ失業について何度も出す場合の扱いも書かれています。
なお、過去に同一の失業等の事由により免除・納付猶予を申請し、失業等の事実が確認できる書類を添付したことがある場合は、あらためて添付する必要はありません。
免除は年度ごとに申請するので、翌年度も続けて申請することがあります。同じ失業が理由なら、離職票をもう一度用意する必要はありません。
未納のままにすると、そこだけ何も残らない
遡れるとはいえ、放っておいてよいという話ではありません。
保険料の全額を免除された期間は、老齢基礎年金を受け取る際に、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(税金分)を受け取れます。手続きをせず未納となった場合、2分の1(税金分)は受け取れません。
全額免除
- 受給資格期間に算入される
- 年金額は全額納付の2分の1が反映される
納付猶予
- 受給資格期間に算入される
- 年金額には反映されない
未納
- 受給資格期間に算入されない
- 年金額にも反映されない
差は「申請したかどうか」だけ。払えないこと自体は同じでも、届け出れば算入される
差は「申請したかどうか」だけです。同じく1円も払っていないのに、結果が違います。
2年1か月という期限は、この差を取り返せる猶予でもあります。そこを過ぎると、申請そのものができなくなります。

免除にしても、あとから満額に戻せる
「免除にすると年金が減るから、無理してでも払ったほうがよいのでは」と考えて、手続きを避けてしまうことがあります。そこにも道が用意されています。
免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により後から納付(追納)して老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることができます。
免除を受けた期間は、10年以内なら後から納められます。再就職して収入が戻ってから払えばよい、という順序が組めます。
一方で未納の期間は、2年を過ぎると納めることができません。免除は「後で払う権利を残す手続き」でもあります。
順番として、迷ったらこうなります。
- いま払えないなら、免除を申請する
- 収入が戻ったら、10年以内に追納する
- 追納しなくても、全額免除なら2分の1は残る
払わずに放置した場合だけ、この3つがどれも選べません。
前年の所得は見られない
もう1つ、この特例の意味があります。
失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります
通常の免除は前年の所得で判定されます。全額免除の基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」なので、去年ふつうに働いていた人は通りません。
失業の特例は、そこを外します。去年の収入が高かった人ほど、この特例を使わないと詰まります。
期限が2つ並ぶので、混ぜない
退職の直後は、性質の違う期限が同時に来ます。
| 手続き | 期限 | 離職票 |
|---|---|---|
| 国民年金の種別変更 | 14日以内 | 要らない |
| 国民健康保険の届出 | 14日以内 | 要らない |
| 任意継続の申出 | 20日以内 | 要らない |
| 年金保険料の特例免除 | 2年1か月前まで | 要る(代替可) |
上の3つは待てません。下の1つは待てます。 離職票が来ないことを理由に上の3つを止めてしまうのが、いちばん損な形になります。
健康保険と年金の期限そのものは退職後の健康保険と年金|20日と14日に整理しました。
会社が離職票を出さないとき
そもそも会社が出さない場合は、年金とは別の窓口の話になります。交付を請求できることと、拒んだ場合の罰則は離職票が届かない|仮決定手続きで待たないに条文で書いてあります。
年金の窓口で会社の対応を解決することはできませんが、年金の手続きは会社の対応が終わるのを待たなくてよいという点は変わりません。
まとめ
- 国民年金の種別変更は市町村長への届出。条文にも省令にも離職票は出てこない
- 失業を理由にした特例免除には失業を確認できる書類が要るが、受給資格者証などでも通る
- 免除は申請時点から2年1か月前まで遡れる。離職票が遅れても取り返せる
- 同じ失業で2回目以降を申請するときは、書類の再提出が要らない
- 未納は受給資格期間にも年金額にも残らない。免除なら全額納付の2分の1が残る
- 14日と20日の期限は待てない。免除だけが待てる
免除の前に済ませる種別変更のほうは、届書の記載事項も期限も条文にあります。国民年金の切り替えは14日以内にまとめました。