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退職時の保険証の返却|返すのは保険証か資格確認書か

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この記事の見出し(10)
  1. 従来の保険証は、もう有効ではない
  2. 返す対象は「資格確認書」(健康保険法施行規則51条1項)
  3. 回収するのは会社(健康保険法施行規則51条1項)
  4. 使えるのは退職日まで
  5. 任意継続を選ぶ場合は自分で返す(規則51条2項・52条)
  6. 見つからないとき(規則49条)
  7. 家族の分も対象になる
  8. 返したあと、次が届くまで
  9. 古い説明を読むときの注意
  10. まとめ

退職の手続きを調べると「保険証を返却する」と書かれています。ところが手元を見ると、そもそも返す保険証が無いことがあります。

この論点は制度が変わっていて、古い説明が多く残っています。このページは、いま何を返すのかを厚生労働省の記載と条文から確認します。

従来の保険証は、もう有効ではない

厚生労働省はこう書いています。

従来の健康保険証は、2024年12月2日以降新たに発行されなくなり、マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)を基本とする仕組みに移行しています。

新規発行が止まっただけでなく、期限も切れています。

従来の健康保険証の有効期限は、2025年12月1日で終了しています。

さらに、期限切れのものを持参した場合の救済も終わりました。

有効期限切れに気付かず従来の健康保険証を持参した場合は利用可能としていましたが、その対応も、2026年7月31日で終了しました。

つまり、いま手元にある古いカードは医療機関で使えません。返却の要否とは別に、これは押さえておく必要があります。

退職時に従来の保険証が無効になり、会社へ返却して資格確認書など新しい書類が受け渡される流れを矢印や記号で表したイメージ図です

返す対象は「資格確認書」(健康保険法施行規則51条1項)

代わりに置かれているのが資格確認書です。

当分の間、マイナ保険証を保有していない(マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない)方等に、「資格確認書」が無償で申請によらず交付されます。

「申請によらず」とあるので、対象になる人には自動的に届きます。退職時に返すことになるのは、こちらです。

資格確認書

  • 返す対象になる

マイナ保険証だけ

  • 返す物は無い
  • 資格の喪失は届出で処理される

期限切れの旧・保険証

  • 有効期限が終了している
  • 扱いは会社に確認する

マイナ保険証しか持っていない人には、返す物が無い

退職時に返すものは、手元にあるものによって変わる

マイナ保険証しか持っていない人は、返す物がありません。 手続きが要らないという意味ではなく、資格の喪失は会社の届出で処理されます。

回収するのは会社(健康保険法施行規則51条1項)

誰が返すのかも条文に書かれています。健康保険法施行規則にこうあります。

事業主は、次に掲げる場合においては、遅滞なく、資格確認書を回収して、これを保険者に返納しなければならない。

主語が事業主です。 本人が保険者へ直接送るのではなく、会社が回収して会社が返します。退職時に会社へ渡す、という流れはここから来ています。

同じ規定では、返納すべき資格確認書は原則として資格喪失届に添えることとされています。会社が退職の届出をする際にまとめて処理する形です。

このため、返す先を自分で探す必要はありません。郵送で返す場合も、宛先は会社になります。

使えるのは退職日まで

回収が資格喪失の届出と一緒に処理されることから、使える範囲も決まってきます。資格が無くなるのは退職日の翌日なので、受診に使えるのは退職日までです。

翌日以降に使ってしまうと、後から医療費の返還を求められます。返す物が手元に残っていても、期限が延びるわけではありません。

逆に、返したあとに受診が必要になった場合の経路も用意されています。いったん窓口で全額を負担しても、加入手続きが済めば後から取り戻せます。返却を渋って手元に置いておく意味は無いので、先に返して、次の加入手続きを急ぐほうが結果として早く終わります。その流れは下の「返したあと、次が届くまで」に書きました。

なお、次の保険でも同じ扱いが続きます。引用のとおり資格確認書は「申請によらず」交付されるので、マイナ保険証を持たない限り、国民健康保険でも次の会社の健康保険でも自動的に届きます。返したせいで次が来なくなる、ということはありません。

任意継続を選ぶ場合は自分で返す(規則51条2項・52条)

例外があります。

前項の場合において、被保険者が任意継続被保険者であるときは、当該被保険者は、五日以内に、これを保険者に返納しなければならない。

任意継続被保険者は会社を経由しないので、本人が5日以内に保険者へ返納するという書き方になっています。期限が明示されているのはこちらだけです。

任意継続そのものを選ぶかどうかの判断は退職後の健康保険と年金|20日と14日に整理しました。申出の期限が20日と短いので、返却より先にそちらを決めることになります。

見つからないとき(規則49条)

紛失している場合、条文は再交付を前提にした書き方をしています。

被保険者は、資格確認書の再交付を受けた後、失った資格確認書を発見したときは、直ちに、発見した資格確認書を保険者に返納しなければならない。

読み取れるのは、失くしたこと自体が手続きを止めないことです。再交付という経路があり、後から出てきた場合にどうするかまで定められています。

退職時に見つからないなら、隠さずに会社へ伝えてください。紛失届などの様式が用意されているので、そこで処理されます。黙って返さないままにすると、資格喪失の処理が滞ります。

誰が回収するか(会社が回収する場合と任意継続で本人が返す場合)、見つからないときの対応、家族分の扱いを矢印と記号で整理したイメージ図です

家族の分も対象になる

扶養に入っている家族がいる場合、その分も同じ健康保険から交付されています。本人の資格が無くなれば家族の資格も同時に無くなるので、家族の分も一緒に返します。

退職後に家族をどの制度へ移すかは、先に決めておくほうが混乱しません。配偶者の扶養に入る場合の条件は退職後に扶養に入る|失業給付との関係に整理しました。失業給付を受けると扶養から外れることがあるので、順序が効いてきます。

返したあと、次が届くまで

返却してから次の資格が確認できるようになるまで、空白ができることがあります。その間に受診すると、窓口でいったん全額を負担することになります。

ただし後から取り戻せます。 加入手続きが済んだあとに療養費として請求する経路があり、必要な書類と流れは退職後の健康保険と年金|20日と14日にまとめました。

国民健康保険に入る場合、資格喪失を証明する書類を求められることがあります。会社からの書類が届かないまま期限が近づいたときの進め方は退職の書類と、届かないときの手順にあります。離職票が届かない間に国民健康保険へ入るときの扱いは離職票が届かない間の国民健康保険にまとめました。

健康保険は返す側の手続きですが、雇用保険は受け取る側の手続きです。 こちらは会社が回収するものが無いかわりに、自分で満たしておく期間の要件があります。中身は辞める前に|失業給付の受給要件にまとめました。

古い説明を読むときの注意

このジャンルは、2024年から2026年にかけて短い間隔で変わりました。「退職時に保険証を返す」と書かれた説明の多くは、変更前に書かれたものです。

日付の入っていない説明は、いつ書かれたのかを確かめてください。制度の名前が「被保険者証」のままになっているものは、更新されていない可能性があります。

まとめ

  • 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了している
  • 期限切れのものを持参した場合の救済も2026年7月31日で終了した
  • 代わりに、マイナ保険証を持たない人には資格確認書が申請によらず交付される
  • 退職時に返す対象は資格確認書。マイナ保険証だけの人は返す物が無い
  • 回収するのは事業主で、原則として資格喪失届に添えて返納される
  • 任意継続を選ぶ場合だけ、本人が5日以内に保険者へ返納する
  • 紛失していても手続きは止まらない。再交付の規定がある

返す物が無いことと、手続きが要らないことは別です。

出典