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フリーターが正社員になる法律上の道

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この記事の見出し(9)
  1. 会社は措置を講じなければならない(パート有期法13条)
  2. 3つのうちどれかが必ずある(13条1号〜3号)
  3. 待遇の差は説明を求められる(14条2項・3項)
  4. 仕事が正社員と同じなら、扱いを分けられない(9条)
  5. 雇い入れのときに文書で示される決まりがある(6条1項)
  6. 外に応募する場合に効くもの
  7. 辞める順番で損をしないために
  8. 相談先を分けて考える
  9. まとめ

フリーターから正社員を目指すとき、外に応募することばかり考えがちです。

もう一つ道があります。今の勤め先で正社員になる道です。 しかもそれは会社の善意ではなく、法律が事業主に求めているものです。

会社は措置を講じなければならない(パート有期法13条)

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律に、こう書かれています。

事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間・有期雇用労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。

「講じなければならない」です。 努力義務ではありません。ここでいう通常の労働者が、いわゆる正社員にあたります。

短時間・有期雇用労働者(パート・アルバイトや契約社員)を雇っている会社は、このあと挙がる3つのうち少なくとも1つをやることになります。

事業主が講じるべき三つの措置(求人の周知、希望申出の機会、転換試験)と待遇差の説明を求める権利を、会社を中心に矢印とアイコンで表現した図のイメージ図です

3つのうちどれかが必ずある(13条1号〜3号)

条文が挙げているのは次の3つです。

通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に周知すること。

正社員の募集をするなら、その中身を店舗や事業所のパート・アルバイトにも知らせるというものです。外の求人サイトにだけ出して中には黙っている、という形は想定されていません。

通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に対して与えること。

社内で正社員のポストを埋めるときに、希望を出す機会を与えるというものです。

一定の資格を有する短時間・有期雇用労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

転換試験の制度です。勤続年数などの条件を満たすと受けられる形が多くなります。

どれか1つでよいので、会社によって形が違います。だから「うちにはそういう制度は無い」と言われたときは、3つのうちどれをやっているのかを確かめる余地があります。

正社員の募集を周知する

  • 正社員の募集を行うときに、業務の内容・賃金・労働時間をその事業所のパート・アルバイトにも知らせる

配置の希望を申し出る機会を与える

  • 社内で正社員のポストを新たに埋めるときに、希望を出す機会を与える

転換のための試験制度を設ける

  • 勤続年数などの条件を満たすと受けられる形が多い

入口が募集・配置・試験と違うだけで、どれも通常の労働者への転換を推進するための措置として並んでいる

事業主が講じることになっている措置(パート有期法13条1号〜3号)

待遇の差は説明を求められる(14条2項・3項)

もう一つ、同じ法律に使える条文があります。

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。

「求めがあったときは…説明しなければならない」です。正社員と自分の待遇がなぜ違うのかを、理由まで説明させることができます。

言い出しにくい定めですが、そこにも手当てがあります。

事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

聞いたことを理由に不利益な扱いをすることは禁じられています。 シフトを減らされる、更新されないといった形も、理由がこれなら該当します。

仕事が正社員と同じなら、扱いを分けられない(9条)

もう一段強い条文があります。

事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

長いので分けて読みます。条件は2つです。

  • 仕事の内容と責任の重さが正社員と同じ
  • 異動や配置換えの範囲も、雇用が終わるまで通して同じ見込み

この2つを満たすと、アルバイトであることを理由に待遇を分けられません。基本給も賞与も対象に挙がっています。

現実には配置の範囲まで同じという例は多くありませんが、小規模な事業所で、正社員と同じ仕事をずっと同じ店舗で続けている場合は検討する価値があります。

雇い入れのときに文書で示される決まりがある(6条1項)

同じ法律には、入るときの定めもあります。

事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(次項及び第十四条第一項において「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」という。)により明示しなければならない。

文書での明示です。 口約束では足りません。

「厚生労働省令で定めるもの」の中身

条文は品目を挙げずに省令へ送っています。送り先は同じ法律の施行規則2条1項で、そこに並んでいます。昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、そしてもう1つです。

四短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

相談窓口が、待遇の3つと同じ列に入っています。 昇給や賞与と並んで、困ったときにどこへ言えばいいかを先に示させる作りです。上で見た13条の措置や14条の説明を求める相手も、たいていはこの窓口になります。

同じ規則の2項が、書いた内容そのものを縛っています。

事業主は、法第六条第一項の規定により短時間・有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。

賞与ありと書いておいて出さない、という形は条文の側で塞がれています。

待遇そのもの

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • いずれも有無であって、金額までは求められていない

言いに行く先

  • 雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
  • 13条の措置や14条の説明を求める相手になる

違うのは、金額の話か、言いに行く先の話か

雇い入れのときに明示される特定事項(パート有期法6条1項と施行規則2条1項)

手元にその文書が無いなら、それ自体が一つの情報です。相談窓口だけでも聞き直せます。 明示の義務は雇い入れのときに生じていて、あとから消えるものではありません。今後の転職先を選ぶときにも、入るときに何を出してくるかを見ておいてください。

後半の論点をまとめた図。仕事の内容が同じなら区別できないこと、雇い入れ時の書面提示、辞める順番で不利益を受けない保護、外部応募や相談先の分離などをアイコンで整理した図のイメージ図です

外に応募する場合に効くもの

今の勤め先で見込みが無いと判断したら、外を探すことになります。そのときフリーターの経歴が不利になると感じる人が多いのですが、新卒枠に応募できる場合があります。

厚生労働省は、卒業後3年以内の既卒者を新卒枠で受け付けるよう事業主に求めています。中身は就職浪人は新卒枠に応募できるにまとめました。

第二新卒歓迎・既卒歓迎の求人には、求めれば会社が答えなければならない数字もあります。直近3年の採用数と離職数、平均残業時間などです。第二新卒は離職者数を聞けるにあります。

辞める順番で損をしないために

アルバイトを辞めてから探すか、続けながら探すかで変わるものがあります。

失業給付は、雇用保険に加入していた期間が必要です。アルバイトでも加入していることがあります。週の労働時間や見込みの雇用期間で決まるので、自分が入っていたかどうかを先に確かめてください。

数え方は暦の月ではありません。順序の決め方は20代の転職は在職中かで順序が変わるに整理しました。

アルバイトでも年次有給休暇はあります。残っているなら消化してから辞めるほうが得です。付与の条件はパート・アルバイトの退職代行にまとめています。

相談先を分けて考える

正社員転換の制度について会社と話が進まないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談先になります。この法律を所管している窓口です。

外の求人を探す側では、20代であればエージェントを使う選択もあります。対象年齢が決まっているので、外していると申し込んでから断られます。

費用の出どころは転職エージェントはなぜ無料なのかにあります。求職者から手数料を取れないことも条文で決まっています。

まとめ

  • 今の勤め先で正社員になる道は、事業主が措置を講じなければならないと法律にある
  • 3つのうちどれか1つでよいので、会社ごとに形が違う。どれをやっているか聞ける
  • 正社員との待遇差は、求めれば理由まで説明させられる
  • 聞いたことを理由に不利益な扱いをすることは禁じられている
  • 外に出る場合、卒業後3年以内なら新卒枠に応募できることがある
  • アルバイトでも雇用保険と有給がある。辞める順番で損をしないよう先に確かめる

外に応募する前に、今いる場所の制度を1つ確かめてください。

出典