退職の段取り帳

懲戒解雇で退職金は出ないのか

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2026/8/17公開

「懲戒解雇だから退職金はゼロ」と言われても、その一言だけで決まりません。就業規則や労働契約などに支払う決まりがあるか、払わない・減らす定めがあるか、その定めを自分に当てはめてよいかを順に確かめます。

支給条件を探す

  • 就業規則・労働協約・労働契約を確認
  • 明文がなくても慣行がないか確認

不支給・減額の条項を探す

  • 会社が示した根拠と自分の事情を照合

全額不支給を検討する

  • 条項があっても自動的にゼロにはならない
  • 事情と退職金の性格を踏まえて判断

懲戒解雇という名称だけで支給・不支給は決まらない

退職金を請求できるか確かめる順序

手元に残すもの:就業規則や労働契約の支払いの決まり、解雇理由の通知、会社から示された金額です。規程が見当たらなければ、退職金の有無と計算方法を文書で尋ねます。以下で法律上の扱いと、請求できる期間を確かめます。

茨城労働局の相談案内は明文の規則がなくても慣行となっている場合を挙げ、厚生労働省の裁判例解説は不支給条項がある場合の判断を示しています。

退職金は法律が定めた給付ではない(労働基準法89条3号の2)

労働基準法には「退職金を支払わなければならない」という条文がありません。出てくるのは、定めをする場合の書き方についてです。

退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

これは就業規則に記載すべき事項を並べた条文の一部で、「定めをする場合においては」から始まっています。

つまり、退職金があるかどうかは会社ごとの制度や合意、慣行によります。就業規則に定める場合は、範囲・計算方法・支払時期まで書くことが求められます。

最初に就業規則を見て、労働契約や労働協約、過去の支給例も照合します。

定めがあれば賃金にあたる(11条・24条1項)

規程がある場合、その退職金は法律上どう扱われるのか。定義の条文がこうなっています。

この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

「その他名称の如何を問わず」とあります。呼び方は関係ありません。支給条件が明確で労働者が請求できる退職金は、労働の対償として支払われる賃金にあたります。

賃金にあたるなら、支払い方の原則が掛かります。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

「その全額を」です。会社の判断で一部を差し引くことは、この原則に触れます。

不支給にするには根拠が要る

ここまでの条文を冒頭の図に当てはめると、まず退職金を払う条件と、払わない・減らす根拠を見ることになります。

「懲戒解雇だから」という理由だけで全額不支給にはなりません。 払わない・減らす条項があっても、自分の事情に当てはまるか、全額ゼロにしてよいかは別に確かめます。

したがって聞くべきことは2つです。規程のどの条文を根拠にしているのか。そして、自分の行為がその条文に当てはまると考える理由は何か。

口頭で言われた場合は、書面で示すよう求めてください。根拠を示せない不支給は、争う余地があります。

規程が見つからないとき

退職金規程は就業規則の一部か、別規程として置かれています。どちらでも、労働者に周知されていることが前提の文書です。

在職中なら人事や総務に閲覧を求められます。辞めた後でも、自分に適用されていた規程の内容を確認したいという求め方はできます。

「規程は見せられない」と言われた場合、その状態自体が問題を含みます。記載事項を条文が定めている以上、内容が確認できなければ計算の根拠も示せないことになります。

やり取りはメールなど日付の残る形にしてください。後から作れないのは、いつ何を求めていつ断られたかの記録です。

解雇理由や離職票は別に確かめる

退職金規程上の扱いと、解雇そのものの有効性、ハローワークが判断する離職理由は別の問いです。予告手当の例外は解雇予告手当で、離職票への異議は離職理由の判定で確認できます。ここでは退職金の規程と支払額に絞ります。

退職金の時効は5年、他の賃金は3年(労働基準法115条・附則143条3項)

払われないまま時間が経つと、請求できなくなります。期間は労働基準法115条にあります。

労働基準法115条を開く

この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

ただし、この5年はそのまま動いていません。労働基準法附則143条3項が読み替えを置いています。

143条3項を開く

第百十五条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から三年間」とする。

読み替えられたあとも、退職手当だけは5年のままです。残業代や未払いの月給は「当分の間」3年になります。

退職手当

  • 5年
  • 読み替えの対象から外れている
  • 就業規則が定めた支払期日から数える

退職手当を除く賃金

  • 3年(当分の間)
  • 本則は5年
  • 残業代・未払いの月給がこちら

違うのは退職手当かどうか。同じ会社への請求でも、消える時期が2年ずれる

賃金の請求権が消える時期(労働基準法115条を附則143条3項が読み替えたあと)

数え始めるのは「行使することができる時」です。退職金は就業規則が定めた支払時期に払うものなので、その支払期日から数えます。懲戒解雇を告げられた日ではありません。

争う場合に相談する先

賃金の未払いとして扱える部分があれば、労働基準監督署が窓口になります。ただし監督署がするのは是正指導で、取り立てではありません。仕組みは未払い残業代を労働基準監督署に相談するにまとめました。

規程の解釈そのものを争う場合は、法律の専門家が扱う領域になります。退職代行のうち弁護士が運営しているものは、退職金の請求まで扱うと公式サイトに記載しています。

民間業者や労働組合が運営するものでは、この請求はできません。運営元による違いは退職代行|弁護士と労働組合の違いで条文をたどりました。

支払時期と請求できる期間は退職金はいつ支払われるかにまとめました。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
5件
出典
1件(法令 1)
公開

引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。

料金と運営元の確認

弁護士法人ガイア総合法律事務所
運営元
弁護士
料金
当サイトでは未掲載

公式サイトに画像で掲載されているため未掲載

弁護士法人ガイア総合法律事務所

弁護士が対応し、有給消化・離職票・源泉徴収票の取り寄せ・残業代・退職金の請求まで行うと記載(2026年8月18日確認。ページはほぼ画像で、この記述は img の alt 属性にある)。meta description に「即日退社、有給消化、社宅住み、入社したばかりの方、公務員、役員、業務委託全部対応します」とある。「自衛隊」「無期限サポート」の語はページに無い。LINE・電話での無料相談あり

運営元の種別は、各サービスの公式サイトで確認しています。広告主の掲載条件によりURLを記載できないサービスがあるため、リンクの有無は確認の有無とは関係ありません。料金は税込価格が文章で明示されているものだけを掲載しています。

出典

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